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藤浪 江夏氏から「エース3カ条」期待の裏返し“激辛エール”も
[2015年2月3日 6時25分配信]

往年の猛虎の大エースが、新エースに向けて
「大エース3カ条」を示した。阪神の
江夏豊臨時投手コーチ(66)が2日、沖縄・宜野座キャンプで
初めてブルペン入りした藤浪晋太郎投手(20)の
投球を視察した上で
1.15勝、2.10敗未満、3.220投球回、
の高いハードルを設定すると同時に「激辛エール」も送り、
さらなる進化を促した。

今キャンプで初めてブルペン入りした藤浪の投球に、
鋭い視線が注がれた。ブルペン捕手の背後から、
かつて猛虎のエースと呼ばれた男が目を光らせていた。
直球、カーブ、スライダー、フォーク、チェンジアップ、
カットボール、ツーシームの全球種を投じた61球。
そのすべてを見終わった江夏臨時コーチは、
おもむろに口を開いた。

「あれでよく(昨季)2ケタ(11勝)勝った。
本人もイライラして投げていたんじゃないかな。
この投手が10勝したのか、というボールを投げていた。
勢いはあったけど、もう少しコントロールの部分をね。
コントロールが定まるということは、
フォームが定まるということ」

臨時コーチという立場から見た感想は、辛口だった。
かつて自らが背負った「エース」の看板を担える素材と
評価するからこそ、見る目も厳しくなる。期待の裏返し。
苦言…いや、金言だ。さらにレジェンド左腕は
エースに求められる条件を孫世代の背番19に掲げた。

「エースと呼ばれるには、もうちょっとね。10勝、11勝…。
エースになるか、ならないかは本人次第。
本人が今のままでいいなら10勝、11勝(の投手)で
終わるかもしれないし、頑張れば(なれる)。
15近く勝って、イニング220、負けは10以下。
そうなれる素材。器としてはね。器だけじゃダメだけど」

設定されたハードルはとてつもなく高かったが、
クリアするくらいの気概を持ち、実際に
成績を残さなければ「猛虎のエース」にはなれない。
江夏氏自身も1972年に269回2/3を投げ23勝8敗と
3条件を満たしたからこそ言葉に説得力が備わる。
さらに項目別では自己最多勝利25(1968年)、
同投球回337回2/3(1970年)がある。
戦った時代が違うため単純比較はできないが、
根本は同じ。「苦しい時に踏ん張れるのが、エース」
という心得を伝えたかったに違いない。

その真意は藤浪にも伝わっている。
「いい感触で投げられました」と初ブルペンを振り返り、
江夏氏の話を伝え聞くと「現実的には難しいと思いますが、
それ(220投球回)くらい投げられるに越したことはない。
期待してくれているという意味でとらえています。
もちろん現状に満足しているわけではなく、
さらに上を目指していきたい」と力強く応じた。
時を経て、確かにこの日、「エース道」が継承された。