ふとした瞬間、父のことを想う。
駅で階段を登るとき、とか。
抗がん剤がどれも効かなくて
毎日片手にいっぱいのステロイド剤を
飲んでた父。
その数から
自分の症状を誰より察知してたと思う。
週二回、私が泊まりで看病すること、
子どもが小さくて夫が単身赴任で
きっと私の負担を分かってたけど
わがままを言った父。
声が出なくなった父は
夜中、スプーンでベットの柵を
カンカン、と鳴らして私を起こした。
いまとなれば
心からわがまま言ってくれて
よかった、と思う。
父の病気は辛かったけど
一緒にたくさん本を読んで
たくさん話した。
たくさんの時間を過ごした。
素直に
父のこと、どれだけ好きか
伝えられた大切な時間だった。
父はやっぱり私の中にいて
必要なときに逢いにきてくれる。
「亡くなった人のことを思い出した時、
その人は近くにいる」
『老いた親を愛せますか?』
岸見一郎著書より引用
岸見先生の本の中で一番好きな本。
看病が負担になってきて
あと2週間続いたら無理…と思い始めた途端に
父が逝ってしまった。
私のせいだ、と長く自分を責めてたけど
この本を読んで楽になった。
私だけじゃない、
そう思った。