「またプリン食っとるわ。」
「あいつほんまにプリン好きやのー。」

プリンはみんな好きやろ。



俺には今、もっとも好きなやつがおんねん。

「毎度ありがとうございました!」
「やっと買えた…!」

そう、それはこれや。超有名店のロイヤルプリン。
月に一個しか買えへん、貴重すぎるほど貴重なんやで…。口に入れたときの甘さ、それにこの見た目!澄んだ瞳みたいにきれいなカラメル、愛らしいたまご肌!!

「ただいまー。」
「お帰り。先お風呂入るやろ?」
「おん。」

お風呂ではいつもよりきれいに身を洗い(汚いままでは食べれへん)、夕飯もいつもより少なめ(もちプリンを味わうためや)。
俺はいざ、冷蔵庫の扉を開けた。

「…………あれ?」

……無い。冷蔵庫のどこを探しても、無い。

「なぁ、おかん。俺のプリン知らん?」
「…美味しそうだから食べちゃった☆ごめんね。」

食べちゃった?

食・べ・た?

「なんで俺のプリン勝手に食べたん!俺がどんだけ楽しみにしてたか、知ってた?」
「まぁまぁ、また買ってくるから…。」
「また買ってくるとか…。そんな問題ちゃうねん!」

やってあれは、月に一回しか販売されへんプリン…。
おかんはもう皿洗いの続きをやり始めた。

「なぁ、おかん、聞いてんの?聞いてんの!?」
「さっきから謝ってるやんか。文句言う前に宿題やりぃや!!」

くっ…。
これ以上言うとおこづかいが無しになりかねへん……。

俺はおかんが食べたプリンの容器を持って、自分の部屋へと戻った。

「プリン、ごめんな。俺、お前のこと絶対忘れへんから。俺お前のことしか見てへんし。」
『嘘よ。どうせ忘れるわ。』
「嘘ちゃうって。俺お前に嘘ついたことないやろ。」
『どうしてそこまで言い切れるの…?』
「やって俺、お前のこと…。好きやから。」

そう、俺の好きなんはお前やで。プリン。
やわらかかったり、大きかったり、甘かったり。そんなんやったらいいわけちゃうねん。今のお前が好きなんや。

「おーい!我が弟よー!!姉様のお帰りやで!!」

部屋のドアを壊す勢いで開けた東京住みの姉貴は、ずかずかと中に入ってきた。今そんな気分やないねん……プリン………。

「おぉ……なんや姉貴、今日やったん?」
「そうやけど…。何しけた顔しとんねん!これ食べて元気出しぃや。」

そう言った姉貴が俺の目の前に出したのは……、

「…プリン…。」
「あんたのために優しい優しい姉様が買ってきてやったんやで。感謝しぃ!!」
「…姉貴大好きやー!愛しとる!!」

思わず姉貴の腰に抱きついた。やってプリンやで!!あのプリンやで!!

「えー、姉弟で禁断の愛?でも彼氏おるから、堪忍な(笑)」

俺はさっそくそのプリンを口にした。うん。

やっぱこれが一番や!!




fin.