大学院・スローキャリアの話の続きです。


そもそもなぜイギリスで心理学の大学院に行こうと決めたのか?


一言で言うとコンプレックス克服・自己満足のため。しかも過去30年以上にわたる計画・実行・失敗・失望・路線変更・再挑戦の結果、小さな成功をいくつも積み重ねてきた結果なのです。


高校3年の冬。当時のわたしは日本の地方都市で地元有数の公立進学校に通う高校生だった。周りの優秀なお友達からはほぼ全科目で大きく成績を引き離されていて、常に学業最下位集団メンバーだったが、なぜか英語だけはずば抜けて良かった。


当時わたしの夢は スパイになることだった。今考えてもまだドキドキ💓するくらいホンキだった。映画が大好きで特に007ジェームスボンドに夢中だった。スパイになるために何ができるか。初めて自分の人生について真剣に考えた。


スパイは頭・身体・心を満遍なく鍛える必要がある。そして地味に努力してコツコツと成果を出す長期戦だ。心理学なら人間の行動について科学的に分析することができる。これだ❗️と。ボンドのように身軽にビルの屋上とかどこでも行けるようになるには、と思い、高校の器械体操部に入って真剣に自分を鍛えた。


そんなわけで地元の国立大学と私立大学の心理学科を1校ずつ受験した。あとは滑り止めで私立大学の英文科を。


結果は…心理学科は2校とも落ち、滑り止めの英文科だけ受かった。人生初の大挫折。自己肯定感は底辺だった。もうスパイにはなれない。幼い頃からの夢は儚く散った。


両親・先生・お友達全員から盛大にお祝いされた。受かった私大の英文科はたまたま偏差値が割と高かったので。それだけ優秀なら海外にも行けるかも、とも言われた。でもわたしは全然嬉しくなかった。


外交官だった祖父の影響もあり、幼い頃からイギリス特にスコットランドは常に身近な国・文化だった。祖父母の家にはいつも肌や目や髪の色の違うガイジンさんがいっぱいだった。祖父母の家でごはん食べたあとはいつも映画タイム🎞️🎬。ボンドガールが美人で頭脳明晰なのもすごいと思ったが、わたしが惹かれたのはむしろボンド本人およびオフィスにいる白いコートを着た研究者たちだった。


時はすぎ今から約15年前。イギリス移住してしばらく経ったある日久しぶりに007の映画を見に行った。幼い頃の思い出がものすごい勢いで蘇り「やっぱり心理学部にいきたい」と強く思うようになった。


当時は経営コンサルタントとしてちょうど脂がのった時期。ただのコンサルタントじゃなくて次世代のコンサルタントになるには、心理学の知識は役に立つはず、という若干むりくりな理由で、心理学の修士号をイギリスで取ることに決めた。


そこで初めて気づいたこと。20代で英語とビジネスを学び、40代半ばまでずっと愚直に仕事の中で実践し続けてきた経験が、今ならできるかも…という何にも代え難い「根拠のある自信」につながった。何をやっても失敗・中の下だったわたし。10代で日本の有名大学からNOを突きつけられたわたしが30年後イギリス大学院に。想像しただけで震えた😊


よし決めた。55歳までに心理学で博士号とる。15年かけてゆっくりキャリアシフトする。40歳の秋にそう決めて、まずは週末当時住んでいたオックスフォードの大学所属コミュニティカレッジに通い始めた。


結局フルタイムの経営コンサルタントという、それだけで忙しい仕事をやりながら、オックスフォード大で単位の取れる心理学科目すべてを5年半かけて受講し60単位を取得。当時付き合っていた現在の夫や大学の先生方の手厚いサポートで、わたしはますます心理学の世界にのめり込んでいった。


長くなるので続きはまた。


(本日のサンデーロースト。イギリスでは日曜日の昼ごはんはだいたいは肉の丸焼きにポテトと野菜の付け合わせ。今日は夫がステーキチップスとバナナフランベを作ってくれましたー💕)