愛しの子宮頸癌(1)発覚から手術決定まで | 愛しの不妊症

愛しの不妊症

子宮頸癌後の不妊治療で赤ちゃんを授かった経験が誰かのお役に立てばなぁと思って、ブログに記そうと思いました。

2009年5月、子宮頸部高度異形成(子宮頸癌の一歩手前、アメリカでは子宮頸癌の初期に分類される)の診断で、円錐切除術をしました。





精密検査の結果を待つまでの一週間。生まれて初めて、自分の「死」と本気で向き合った時間でした。夫にすがって、毎日泣きました。夫は黙って毎日寄り添ってくれました。もし、私と夫が逆の立場だったら、私はどうなってしまうだろうか。こんな風に夫を支えられるのだろうか。夫の気持ちを考えると、ありがたいやら、申し訳ないやらで、涙が止まりませんでした。





子宮を取られてしまうかもしれない、もう赤ちゃんを授かる事は出来ないかもしれない、下手したらもう命も長くはないのかもしれない。そんなことばかりが、ぐるぐる頭の中を巡っていました。もっと夫と一緒に生きていたい。夫との赤ちゃんをこの手に抱きたい。まだ死にたくない。





インターネットにかじりついて、あちこちの情報をかき集めました。体験者のブログやちょっとしたコメントがとても参考になったし、心の支えにもなっていたので、私の経験もそんな風に、誰かの役に立てばと思い、このブログを記す事にしました。





私は助産師という仕事をしています。仕事の中で、円錐切除後の妊婦さんや産婦さんと関わることも、多くありました。今となっては、後悔先に立たずですが、円錐切除をした後の妊娠、出産の意味、患者さんの気持ち、何一つ解っていなかったと反省の嵐です。この先、この経験を糧に、もっともっと、患者さんに寄り添う事ができるよう、努力していきたいです。





*******





さて、私の手術までの経過ですが、ずっと、細胞診で、3aという結果が何年か続いていたので、検診を重ねて行くうちに、「毎回、進行もせず、経過観察だし、いつまで検診続けるんだろう、、、めんどくさいなあ、、、。」と、検査結果も聞かず、1年くらい検診に行ってなかったときのことです。友人の夫が、保険屋さんに就職したとのことで、保険に入り直そうと思い、検診の結果が必要になったので、1年前の検査結果を取り寄せたんです。そうしたら、その結果がなんと3bに進行していました。今思えば、なんというタイミングで、友人の旦那さんが転職してくれたかと思って、こころから感謝せずにはいられません。





慌てて病院に行くと、主治医が、一年前の検査結果を前に、愕然とした面持ちで、「とにかく、再検査しましょう。紹介状も書きますから、すぐに大学病院を受診してください。」と紹介状を書いてくれました。一年間も放っておいてしまった高度異形成。一年で、どれだけ進行してしまったのだろうか。最近の体調の不調が、みんな、癌のせいに思えてしまう。





すぐに大学病院へ受診。大学病院の先生は、「この癌は、10年とか時間をかけて進行するものだから、そんなに心配いらないよ。」と言ってくれましたが、不安が完全に消える事はありませんでした。





ヒトパピローマウィルスの感染によって起こる子宮頸癌。性交渉のある女性の80%は、このウィルスに一度は感染しています。感染しても、通常は免疫力によって、ウィルスが排除されるのですが、免疫力の低下によって長期感染すると、子宮頸部異形成、子宮頸癌を引き起こします。今までの生活習慣を振り返って、体を大切にしてこなかった自分を後悔しました。





一週間後、精密検査の結果が出ると、3bのシビアで、若干進行はしていたけれど、日本ではまだ「癌」とは呼ばない段階でした。主治医の見解では、3bの内、「癌」に進行していくものは4分の1だそうで(80%が癌に移行するとしているデータもあるらしい)、今のうちに円錐切除してしまえば、妊娠にもさほど影響なく浅く手術できるでしょうとのことで手術を勧められました。大学病院の主治医は、なんと言うか、大味?な先生で、「切ってしまって、はい、おさらばよ。」と、あっけらかーんと手術の話をする先生でした。そんな簡単に言わないでよ~と思いつつ、医者があっけらかーんとしていてくれると、不安が少し解消されもして、やっぱり、深刻な状況や、しんどい状況ほど、医療従事者は、どーーんと構えて、患者さんに笑顔を見せられるくらいの余裕が必要だと実感しました。





3bでは、手術をすすめる医師と、経過観察する医師に分かれるようです。患者さんそれぞれの状況にも大きく影響を受けていて、感染しているウィルスの型、経産婦か未産婦か、3bになってどれくらい経過するのか、などなどが加味されて治療方針が決定しているようです。3b→3aと軽快することもあるようですが、3bだと軽快することが少ないらしく、3bで何らかの治療対象、という考え方が、今は主流となっているようです。細胞診は、異形成の一部分をつまんで取って検査しているだけなので、悪い部分をつまんで来れていない場合は、細胞診2でも、「癌」だった例もありますし、実際は異形成の全体を切除してみないと解らないようです。





円錐切除をする前に、レーザー治療をする病院も、最近はちらほら出て来ているらしいです。噂では、治療の成果も良さそうなのですが、どこの病院で取り入れているとか、どんな治療なのか、情報があまり入ってこないので、もし、どなたか受けた方や詳しい方いらっしゃったら、ぜひ、教えて下さい。





そんなこんなで、大学病院を紹介されてから2ヶ月後に手術の予約がとれました。





(つづく)