南の島の友人が旅立ち 葬儀のお知らせを貰う

思ったよりもずっと先だな

最後のお別れに行きたい気持ちが湧き上がる

 しばらく間が空いた何度目かの連絡で友人が

エアチケットはプレゼントする しばらく考えてみて と

何ともありがたいオファーの申し出

 

 旅立った彼は 南の島で一番最初の友人

シワが増えてふっくらした彼 会わない間の変貌

仕事もアパートも変わっていたのを知らず

随分ご無沙汰したんだな

 心が揺れ動く

お別れはしたい でも1人で耐えられるだろうか

南の島には想い出が多い

心が揺れるのはそこ

 

 いろいろな事を考える時 思っていた事

“労災申請が通ったら”     どこか言い訳のよう

今回の判断基準も最初はそこ

ただ 4月中に結果が出ると思っていたのに出ず

こんな機会がないと行けないかな と傾いた頃

事故に…

 ばたばたと過ごす中で 事故経験者の人から

修理は1ヶ月の予定が支払いがしぶられて更に2週間

車が戻るのが遅くなったと聞かされる

全部終わるまで行けないな

 

 お待たせしては悪いと 友人に連絡

「行きたい気持ちになってたんだけど 事故に遭いました」

彼女の驚きようと言ったら

ほぼ無傷だと話すと “守られたね” と言われ 少し泣く

残念だけどまずは体の様子を見てねと

 南の島に行くのはまだ早かったんだな

そんな気がした

お別れの時間はこっちでお祈りするね

 

 葬儀の日 彼女が写真を送ってくれた

我が家のテレビの方が南の島の向き

手を合わせてお別れを言う

先に空の住人の彼は友人と合流しただろうか

みんなが集まるのを眺めてgolfのメンバーを懐かしんだかな

 

 いつの間にか 他力本願になってる自分に気づく

彼が 会社を辞めることになったずっと昔

誰かに被せられた濡れ衣を晴らそうと奔走

派閥争いの力関係に泣いた

職安では「この年齢でコネ以外の就職は無理ですよ」

義父に連絡したら それきりほったらかされ

すがれる藁も無くて途方に暮れた

 手当たり次第ぐらい履歴書を送るも 一次審査も通らない

2人で落ち込んだ後 切り替えた

誰もあてにしてる場合じゃない 誰かではなく

自分達で死ぬ気でやるしかない

 

 2人で腹を括ったら 彼の意識も変化し

そこからは履歴書が通るように

彼もプライドを引っ込めてがむしゃら

互いを励まして必死に乗り越えた

 あの日から “何事も自分達の気持ち次第“  と思うように

藁もコネも他力本願 無いなら無いなりに

体育会系の根性論 今時ナンセンスなのだろうけれど

小さなチャンスは落ちてたり落としてもらうんじゃ無くて

探して探しまくって見つけるくらい

滅多に無いものだと感じた

 

 ふと気づけば 今の自分を 変えない言い訳に

他力本願を持ち出してる

南の島には彼の事をほんの少し残しに行きたい

自分の収入で行ける頃には気持ちも整理されるはず

準備ができたら言い訳なんてなしに行ってこよう

 彼がいない事で優柔不断

彼に悪いと萎縮してるようで ずるいと気づく

私が怖気付いてしないことの言い訳が彼

彼のせいでは無いのに まるで悪者のようだな

 

 周りの人達が掛ける言葉は 耳障りだったのに

ぐるぐると考えた時間の果てに消化されると

言われた言葉を思うようになる

時間が必要で自分で導き出さないと思えないけれど

間違ってはいない言葉だったんだと気づく

 言い訳は終わらせて 決断や行動をしないと

人一倍長いこといも虫だったのかも

遅いけれど気付いたから ここからだな

 

 南の島での葬儀は 遠い親戚が集まれるように

1ヶ月先にするのだと知る

家族だけで火葬を済ませ みんなで葬儀をする

後日 家族で埋葬をするのだそう

そして最後に掛ける言葉は

「またね」

 

 私も弟と別れた日 またね と声を掛けた

あの日から別れる叔母達にも 彼にも またね と別れた

最後の顔は見れなかったけれど 

友人1号 彼をよろしくね

あの大きなサイズのアロハシャツ 勿体無いから着るかな

形見になるなんて思わなかったよ

お手製チキンまた食べたかったな

 

 バイバイ 友人1号 またね