花が咲き 命の芽吹く春

暖かい日差しに 気持ちが和らぐ

風がアレルギーの素を運ぶ以外は好きな季節

 彼が居たなら休日のお昼はウォーキングをしたい

実際は昼過ぎまで彼が起きなくて仕事をこなして終わる

あの日々が幻だったように感じる事もあるし

平然と回る暮らしに順応する自分への嫌悪感が残る

春だから 冬のネガティヴな気持ちが 口をついて出る

 

 目的がない今 気を抜くとぼんやりしてることが多い

なのにぎりぎりで気付いて失敗せずに済む

彼のサポートだと感じる

側にいて助けてくれてる 幸せな妄想

 ちょっとの外出の時 

「お留守番してて 行ってくるね」

マスクだけを持っていこうと 紐を持ち上げると

一緒に掛けている彼の入ったカプセルが絡まり付いてくる

「片時も離れたくないんて 私の事大好きなんだね」

側にいないと助けられないからかな

 

 そんなぼんやりな私でも両親の助けにはなっている

父はテレビで見たと100均アイテムを

自分でお店に行ったが探しきれなかったらしく 丸投げる

ついでの時に思い出しては購入して配達

程のいいパシリのようにこなす

 足を痛めた母はお買い物に重いものが持てないので

スーパーの買い物も特売のタイミングで届ける

今の私の重要任務 こなす事があることで時間が過ぎる

 

 私との付き合いが再開し食べる物に変化が

母は色々食べた年だったとよく言う

確かにこちらのスーパーの特売は安いと思う

父は決まって「いくら?」と値段を聞く

フルーツのサイズも違うと嘆き

なんのフルーツでも1回り以上は差があるそうだ

1人で生きてく私にはありがたい地域

 

 シーズンの果物に安くなった物を混ぜて色々買う

父はバナナは小さくて良いと言う

りんごとバナナの量を減らせとうるさいのは

最近増量した体重が落ちないから

何よりもそこは減らして甘いパンを食べたいんだと

母は想像し「バカじゃないの」と呆れる

父はパンラバーでお砂糖お化け 

 

 数値の管理だとか体重が増えるのも駄目だとか

もっともらしいことを並べて好きな物には手を伸ばす

父が食べない分を母が食べる

 たまには苺をと見切りのパックを手に持つ

赤い大粒とお尻が白い小粒 大粒だけ買おうと思うも

選べずに両方購入

傷まないうちにとお皿に出す母が

「こんなに一杯!残さないでよ」と言うので

「いちご狩りだと思って満喫して 足が痛くていけないし」

何言ってんのよと笑い 太ると余計に足が痛いから

お医者に減量を言い渡されてると言う

 味比べとばかりに赤い大粒を食べる ふむふむ

酸っぱいかもと思いつつ小粒 激甘い!

両方買って正解 3人で食べ放題状態

 

 再びブドウとイチゴを持っていくと 早速いちごが出される

残さず食べなさいと母

「今日もいちご狩りだね」

「何言ってんのよ この間はぶどうを1人で食べて

 ぶどう狩り状態でまたいちご狩りだなんて」

弟が好きだから久しぶりにぶどうを届けた前回

2人で食べるくらいの量 

優先順位をつけてカロリー摂取を調整してるらしい父は

味見程度にほんの3粒くらいを食べておしまい

残りは母が食べたので ぶどう食べ放題になったらしい

 

 歳を取るとたいした遠出でもない場所も 外出が難しい

“家にいながらフルーツ狩り 楽しくて美味しいから両得”

と 言い放つ私に

“増えた体重が戻らないし 更に太ると困る”   と両親

このところ3人の増量が定着しつつある

もちろん フルーツのせいではない

 

 季節のフルーツはいつも2人で食べていた

唯一“財布の紐が緩む”それは 抜けない癖のように 今も同じ

同じではない暮らしの 同じ部分

恋しくて少し泣く