稲村さんから仇討の話を聞いた小藤次さん。
沈黙の後、話をうけるのだなと念を押します。
「それがし、おさんと出会い、身相応の幸せを
掴んだと思うております。ですが、此度、
田村どのから書状を貰い、親父の死はなんであったか、
それがしの人生はどのようなものかと思うたとき、
適わぬまでも初心に戻り、田村兵衛の仇討を
受けてみようと考え直したのです。」
稲村さんはそう言います。
たとえここで稲村さんが逃げたとしても、
今度は田村さんが追ってくるでしょう・・・
田村さんはなにがなんでも稲村さんを始末して、
藩の剣術指南につくつもりなのです。
どっちみち討たれるなら、仇討をしよう![]()
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稲村さんはそちらを選んだのです。
「稲村右源太どの、存分に戦いなされ。
不肖赤目小藤次がそなたの後見役で従う。」
おっ、小藤次さんが味方に![]()
心強いですね![]()
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剣術があまり得意ではない稲村さんのため、
小藤次さんは稲村さんの仕事でもある
竿作りの技を利用し、奇跡をおこさせようと、
細かいアドバイスをするのでした。
さて夕暮れ前、お麻さんに駿太郎くんを
一晩預ってくれるようにと頼み、長屋へ帰ると、
酒を3合飲んで眠りにつきました。
10時ごろに目を覚まし、稲村さんの下へ向かいます。
約束の時間は夜中の12時・・・![]()
3人は舟へとのりこみます。
近くの船着場におさんさんを残し、
稲村さんと小藤次さんは約束の場所に向かいます。
約束の場所である亀田藩の下屋敷は、
ひっそりとしていますが、かがり火がたかれておりました![]()
下屋敷内の稲荷社へ案内されると、
そこには田村さんと他10人ほどのお侍さんが・・・![]()
「田村どの、そなた、それがしを返り討ちにして
亀田藩の剣術指南に疲れる所存か。」
「承知か。致し方ないわ。その方ら、検分の爺を始末致せ。」
検分の爺・・・もちろん小藤次さんのことです![]()
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小藤次さんに襲い掛かったお侍さん達は、
あっという間にばたばたばたばた倒されていきます![]()
「爺、何者か。」
小藤次さんが名乗ると、その場が凍てついたように沈黙・・・
なんだか「御鑓拝借」は水戸黄門の印籠みたいですね。
いよいよ稲村さんと田村さんの戦いが始まります。
稲村さんは竿の曲がりを直すような姿勢で刀をかまえます。
その奇妙な構えに、
「おのれ、田村兵衛を愚弄致すか。」
と、田村さんも剣を振りかぶります。
お互いに間合いをつめたりひいたり・・・
そして田村さんが踏み込んだその時、
小藤次さんはお手製の竹とんぼを飛ばします。
一瞬そちらに田村さんが視線を送りました。
「今じゃ。」
その言葉に、稲村さんが一瞬早く刀を突き出します。
その刀は田村さんの喉に刺さり、
田村さんは横倒しに倒れました。
「見事に本懐を果されたな。
検分役、酔いどれ小藤次、確かに見届けたり
」
この言葉に亀田藩の家臣からはなんの声も洩れませんでした。
帰りの舟の中で、稲村さんは仇討の許可証を
細かく切り、水の中に捨てました。
※この時代、勝手に仇討は出来ません。
ちゃんと許可を取らなくてはいけないのです。
「仇を討たれたのだ、亀田藩に復帰が叶おう。」
「赤目様、おさんとも話し合いましたが、われら、
今後とも江戸の片隅で釣竿を造って暮らしていきます。
のう、おさん。」
「はい。」
おさんさんが嬉しさを隠して答える声が響きました。
次回へ続く![]()