水戸藩と精進一派が激しく鉄砲を打ち合っている最中、
靄の中から、3艘の船が現れました。
その1艘には精進さんが、そしてその脇には
後で手を縛られた間宮さんの姿が![]()
残りの2艘には遣い手の方々が乗っておりました。
その3艘の行く手には1艘の船が![]()
その真ん中に座っているのは、そう小藤次さんです![]()
「邪魔立て致すな。幕府密偵を突き殺して
那珂川に流すぞ
」
精進さんはそう言って太刀を抜き、
大きく振りかぶりました。
その時、小藤次さんが竹とんぼを飛ばしました。
その鋭く削り上げられた竹とんぼの刃は、
精進さんの手首を斬り、悲鳴を上げた精進さんは
思わず太刀を川へと落とします。
他の2艘から繰り出される攻撃を竿でかわしながら、
精進さんの船へ飛び移り、間宮さんと精進さんの間へ
体を入れます。
片手で脇差を抜いた精進さんは、小藤次さんへ斬り付けます。
しかし、一瞬早く小藤次さんが精進さんの胴を
抜き放った刀で斬りつけます。
精進さんは絶叫と共に川へ・・・
そのほかの遣い手も次々と流れに落とされていきました。
小藤次さんは刀を間宮さんに向け、
「お探しの『大日本沿海輿地余図』とやらは
見付かりましたかな。」
そう言って、間宮さんを縛っていた縄を切り解きます。
ふうとため息をつきた間宮さんは
「ほれ、そなたの足元の油紙の中が、
伊能先生のご苦心なされた絵地図よ。」
とあごで指しました。
「間宮どの、そなたの命を救うた礼が欲しい。」
と小藤次さんは言いかけます。
「赤目氏、礼が欲しいとはどういうことか。」
小藤次さんはここで間宮さんとかけひきをします。
地図は間宮さんに返す、そのかわり地図は水戸とは関わりない
人物から回収したとすること、という条件です。
船の上には間宮さんと小藤次さんの2人だけ。
仮に剣で争ったとしても、小藤次さんが断然有利![]()
それに、親戚である水戸家をつぶすのは、
幕府にとっては得策ではありません。
それに同意した間宮さんは固く約束、
小藤次さんに送られて那珂湊へと向かいます。
その夜遅く、小藤次さんは作業場へと戻りました。
お役人数人のほかはもうだれも残っていません。
小藤次さんはやり残した事があると言って
作業に取り掛かります。
お役人の1人が小藤次さんの戻りを報告に行きました。
1時間後、作業場に太田家老が現れます。
小藤次さんが間宮さんを地図付きで生かして帰したことに、
かなりびっくり![]()
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小藤次さんは、間宮さんと約束したことを、
太田家老に詳しく説明します。
長い間黙って考えていた太田家老は、
「此度の騒ぎの真相が江戸に伝われば、水戸の存続は危うい。
それがしの皺腹掻き切ってすむことではない。」
「さような事態に陥ったときには、酔いどれ小藤次が
太田左門様の介錯を務め、そなた様の死出の旅に
お供致します。ご家老、江戸のことは忘られよ。
今は水戸領内の後始末を見事に果されることが
肝要かと存じます。」
「そなた、奇怪な男よのう。」
「奇怪とお褒め頂いたついでに・・・」
といって小藤次さん、太田家老に手伝わせちゃいます。
汚れるといけないからと、太田家老の羽織を脱がせて、
行灯に油を足していきます。
そして他の明かりを消し、小藤次さん作成の行灯に
火を灯していきます。
「あ、赤目小藤次、な、なんということか
」
と太田家老の驚きの声に、外で控えていた皆さんが、
どっと中へ押し寄せました。
小藤次さん作成の羽の回る行灯の美しさに、
皆さん感動
感動
感動![]()
そして小藤次さんは布にくるまれた小さな物を、
「鞠どのにお渡ししてくれぬか。」
と静太郎さんにこっそり渡しました。
次回へ続く![]()