旅の仕度をした小藤次さんが久慈屋さんへ行くと、
店の前にはたくさんの大八車が。
小藤次さんの想像以上の荷物の量です![]()
大番頭の観右衛門さんも旅仕度です。
小藤次さん、腰の刀のほかに背中にも刀が。
高尾山には修行僧達が修行する滝があるそうで、
小藤次さん、大事な刀「孫六兼元」を研ぐにあたり、
霊水で刃を清めてから取り掛かろうと考えていました。
でも小藤次さん、ずんぐりむっくりな上に、
腰に刀を挟んで、しかも背中にも斜めがけ・・・
自分でもちょっと滑稽に見えるな・・・と苦笑い![]()
さてさて、大八車は全部で10台。
8台は納めてくる荷物で、2台はその他の荷物。
1台に3人がかり、これだけでも30人と大勢です。
※ 大八車はリアカーみたいなものです。
木製で2つの車輪がついていて、
大人8人分の働きをするので、
「大八」車だそうです。
今回の旅は、大番頭の観右衛門さん、
筆頭手代の東次郎さん、手代の浩介さん、
そして小僧の国三さんと小藤次さんの5人です。
ご主人の昌右衛門さんに見送られて出発![]()
したのは午前5時・・・早いね・・・
大八車を引く「車力」の皆さん30名。
それを取り仕切る親方「権之助」さんは
身長180㎝程で筋肉盛り上がってます。
観右衛門さんに小藤次さんを紹介されると、
ほんとうにあの御鑓拝借の英雄かと半信半疑・・・![]()
そりゃそうですよね、小藤次さんは身長150㎝そこそこ・・・
ちっちゃくて年取ってて・・・って思うんですよね、最初は。
しかし観右衛門さんが、
「まあ、その疑いは早晩引っ込めることになりますよ。」
と余裕のフォロー![]()
途中、明神屋さんというところで朝ごはんです![]()
前もって知らせているので、
国三さんが一足先に向かって到着を告げています。
メニューは鰯の焼き物・ひじきと油揚げの煮付け・
大根の千切りの味噌汁です![]()
さて、みなさんが見事な食いっぷりでご飯を食べていると、
「甲府勤番御用の者である。ただ今一行が到着すで
大八車をどけ、下郎どもを早々に追い出せ。」
と2人の武士が明神屋さんに掛け合っています。
予約のお客様だからもう少し待ってくださいと言っても、
横柄な態度で無理に立ち退かせようとしております。
そこに甲府勤番の一行が到着。
皆さん覚えておりますか?
小藤次さんシリーズ3作目で、
小藤次さんが甲府勤番支配の悪巧みをあばいて、
捕縛に協力したことを・・・
この一行はその後任に選ばれた方のようですね。
明神屋の番頭さんが必死でお願いしても、
すぐにどかせて、食事と酒を用意しろと強引です。
そこで観右衛門さんが
「明神屋の番頭さん、私どもは早々に出立しますでな、
少々お待ち下され。」
と一行にも聞こえるように言います。
すると、甲府勤番支配の「早乙女陣五郎」さんが、
「先ほどからわれらの話は耳に入っていよう。
なぜ早々に立ち退かぬ。」
と言います。名前は立派なのに横柄です・・・
3作目でも書きましたが、甲府勤番支配は、
待遇は悪くないのですが、選ばれる方というのが
江戸でも首尾のよくない方々ばかり・・・![]()
この方も例外ではないようですね。
力仕事の車力さん達にちゃんと朝ごはんを食べさせたい、
そう説明して頭を下げても聞く耳なし![]()
それどころか鑓を持ち出して、大八車を突き転がすと脅迫。
駕籠から降りてきた早乙女さん、酒臭い・・・![]()
どうやら酔った勢いもあるようですね![]()
さらっと早乙女さんをいさめた観右衛門さんに、
槍の穂先をまわしたその時でした。
われらが小藤次さん、黙ってみているわけがありません。
立ち上がって「座興はほどほどになされよ。」
と早乙女さんに向かって一言
「先の甲府勤番支配の長倉実高どのがどのような末路を
辿られたか、そなたも知らぬわけではあるまい。」
この長倉さん、小藤次さんの密かな協力で捕まった後、
本人は切腹、家は取り潰しとなっておりました。
この小藤次さんの言葉に、早乙女さんははっと気づきます。
「まさかそなた、赤目小藤次ではあるまいな。」
どうやら、昨夜は江戸を離れる名残に夜遅くまで飲んでいたようで、
残っていたお酒が早乙女さんの気を大きくしていたようです。
「酔いどれ小藤次、覚悟せぇ。
早乙女陣五郎が長尾様の仇をとって遣わす。」
・・・仇って・・・長倉さんは悪いことしてたんだから、
小藤次さん関係ないんですが・・・
周りの方々を安全な場所に下らせ、
小藤次さん、お手製の竹とんぼを手に持ちます。
早乙女さんが小藤次さんの胸に穂先の狙いをつけたとき、
竹とんぼが舞い上がりました。
早乙女さんがちらっと視線をやり、
いそいで小藤次さんに視線を戻しますが、
小藤次さんはひっそりと立ったまま。
槍を突き出そうとした早乙女さんの耳に、
竹とんぼの音が聞こえてきます。
何か仕掛けがあるのか?と突き出そうとした槍が止まります。
その直後、小藤次さんが走り寄り、
鞘ごとひきぬいた小藤次さんの刀が、
早乙女さんのみずおちを一突き
早乙女さん、背中から路面に叩きつけられて失神![]()
からからと槍が音をたてて転がり、
どおっ
というどよめきが、沸き起こりました。
次回へ続く![]()