気になっていた騒動を片付けた小藤次さん。
今日は大番頭の観右衛門さんと手代の東次郎さんの
3人で、舟に乗ってお出かけです。
向かう先は水戸家のお屋敷。
そうです
行灯作りを披露しに向かうのです。
小藤次さんの作った行灯が水戸のお殿様の目に留まり、
これを水戸家の特産品として売り出そう![]()
という計画が立てられました。
和紙、竹ともに水戸の材料を使うまさに特産品です。
舟には紙や竹など材料がたくさん積まれております。
水戸家に着くと、ご家老をはじめ重役の方々がお出迎え。
一応朝湯に入って身を清め、髭をあたってきて
よかったと一安心の小藤次さん。
早速作業場へ材料を広げるとひとつひとつ
丁寧に説明を始めます。
小藤次さんが用意した行灯の材料は8組。
どれひとつとして同じものはありません。
次に小藤次さんは組立作業にはいりました。
枠組を完成させた小藤次さんは、
下書きを加えることなく、和紙を切っていきます。
その手さばきに観右衛門さんはじめ、
水戸家の方々も驚きの声をあげます。
和紙を枠組みに張り、蝋燭立てや油皿などを取り付け、
8組全部が完成したのは夕暮れ前のことでした。
灯りをともすと、作業場からは感動のどよめきが起こります。
そして、その直後には言葉を失い、静寂に包まれました。
長い沈黙の後、小藤次さんが立ち上がります。
「ちと座興を付け加えとうなり申した。」
と言って、まず刀を腰に挟み、
和紙を20枚ほど受け取りました。
その場に居た誰も、何が始まるのか思いつきません。
小藤次さんは、ふうっ、と静かに息を吸うと止めました。
次の瞬間、手に持っていた和紙を天井に静かに投げ上げます。
和紙が小藤次さんめがけて落下し、頭上に達したとき、
刀がひらめき、和紙が見事に両断されました。
小藤次さんはなおも刀をふるい、
20枚を40枚、80枚、160枚と切り分けていきます。
皆さん、お忘れなく
この紙、
小藤次さんの頭の上にひらひらしたままですからね![]()
ついに3㎝ほどに切り刻むと、最後に刀を円に回しました。
すると、紙束がぱあっと広がり花吹雪となりました。
「常陸の国は久慈の流れに作り出された西ノ内紙、
落花大花吹雪にござる
」
ひらひらと静かに静かに舞い落ちる花吹雪・・・
「酔いどれ小藤次、恐るべし!酔狂なり!達人なり!」
とご家老の戸田さんがつぶやきます。
小藤次さんとはすでに知り合いの太田さんも
「久慈屋の大番頭どの、それがし、
背中に冷や汗が流れてどうしようもない。」
「太田様、私の膝はがくがくと鳴っております。
赤目様とは昵懇のお付き合いゆえ、およそのことは承知と、
この観右衛門、うぬぼれておりました。」
戸田家老のお指図で、作業場にお酒や料理が運ばれます。
もちろん登場、4斗樽![]()
皆さん、何度も言いますが、1升瓶40本です![]()
水戸家の材木奉行・大鳥さんも酒豪で有名だそうで、
大鳥さんは、5升は入るであろう大杯に7分ほど注ぎ、
小藤次さんに差し出します。
もちろん小藤次さん、一気に飲み干します。
朝から作業のため、水も食べ物も口にしていないので、
小藤次さんはおいしそうに悠然と飲んでおります。
返杯された大鳥さんも同じように飲み干します。
続けて小藤次さんは2杯目も飲み干します。
もちろんてらてらした顔色は変わる事がありません。
2杯目を手にした大鳥さん。2度、3度に分けて飲み干し、
「ご家老、赤目様にかかるとそれがしの大酒など
児戯にございます。」
と空の大杯を抱えたままごろんと後にひっくり返りました。
次回へ続く![]()