~内藤半左衛門との戦い①~


夜食の後に訪ねてきた銀次郎さんと一緒に家を出ます。

普段、ほとんど顔を見せない杉江さんですが、

半十郎さんが出かけると言うと、根堀り葉堀り行き先を確かめます。

やはり心の病のせいなのですが、半十郎さんは丁寧にお返事。

そうすると、杉江さんはだんだんと穏かになるのです。


さて、道すがら、話題は先日の「馬の骨」のことに。

銀次郎さんは、ちょっと回りくどい話だと思った様子。

自分だったら、格好をつけて首など切らずに前脚を斬るビックリマーク

という銀次郎さんに、半十郎さんはこう話します。

馬乗り役というのは、馬を手塩にかけて調練する、

言ってみればわが子同然馬

それに、脚があるから馬はとぶように走る。

その姿もりっぱだが、それが馬にとっての生きがい。

馬乗りとしてその脚を斬ることはできなかったのだろう・・・

それに、一撃で死に至らせないと、万が一手傷だけだった場合は、

馬はなお狂ってお殿様に襲い掛かっただろう・・・。

きっと馬の骨をあみだした矢野惣蔵さんは、

お殿様は救わなければいけない、失敗すれば剣士としての名が廃る、

そんなぎりぎりのところで「馬の骨」の技にたどり着いたのですね。

そんな話をしているうちに、2人は半左衛門さんの家に着きました。


出迎えてくれたのは内藤さん家のお嫁さんでした。

半十郎さんの記憶だと、30歳半ばになっているはずなのですが、

その女性は30歳を越えているとは見えず、

半十郎さんは内藤さんに、つい聞いてしまいましたあせる

内藤さんの息子さんは「守之助」さんといい、

半十郎さんより2歳年上。

かなりの秀才でしたが、11年前病気で亡くなっておりました。

さて、半十郎さんは内藤さんに銀次郎さんを紹介します。

一応、半十郎さんのほうが内藤産さんより身分は上。

でも年長者ということもあり口調は丁寧に。

でもそれだけではないのです・・・ガーンダウン

もちろん身分をかさにきて物を言うのは好きじゃない半十郎さんですが、

銀次郎さんはすでに、2人と対決して相手に怪我を負わせています。

そんな人物を、また関係者に紹介してまわる・・・

そのことに恥じ入っていたのです・・・ガーンダウン

でもそんな反面、銀次郎さんの手伝いをやめないのは、

半十郎さんも「馬の骨」についての興味がわいっちゃったんですシラーアップ


「話はうかがっておる」といった内藤さんは、

無愛想な表情とは打って変わった笑顔で銀次郎さんに話しかけます。

「藤蔵どのの肋を折り、沖山茂兵衛の肩をくじいたご仁が、

今度はわしの首の骨でも折りに参られたかな。」

銀次郎さんが、秘太刀の伝承者は内藤さんでは?と聞くと、

自分ではないと首を振り、じっと銀次郎さんを見ております。

「しかし、ご老人は長く師範代をつとめられ、

矢野道場の内藤半左衛門といえば、当時他道場には

敵する者がいなかったと聞きましたぞ。」

「むかし話は、とかく大げさに伝わるものだ。

なに、道場もそのころは人材不足で、ほかに人がおらんから

わしのような者も師範代をつとめざるを得なかったというだけのこと。

その証拠に、沖山茂兵衛、北爪半九郎といったほんものの逸材が

入門してくると、数年を待たずしてわしはたちまち

師範代の座を追われて、平の門人に格下げされてしもうた。」

そして内藤さんが、先日お弟子さんたち5人が集まった時の

話をし始めた時、お嫁さんの「民乃」さんがお茶を換えにきます。

そして、一度ふすまの陰に戻り羽織を抱えて来ます。

お客様2人にことわりをいれ民乃さんは内藤さんに、

「冷えてまいりましたので、お召し換えを・・・」

と声をかけます。

その介抱ぶりは手際のよいものでした。

まるで親子のよう・・・と半十郎さんは思います。

席に戻った内藤さんは話を続けます。

「馬の骨」を伝授されたのはおまえだろう、

いやおまえではないかとさぐりあいになったのですが、

結局譲られたと言うものは誰もいなかったというのです。

また、もしかしたらお弟子さんの中には「馬の骨」を

授かったものはいないのではないかという異な感じもした、

その勘があたっていれば、秘太刀探しは無駄骨だ・・・

内藤さんはそう言います。

しかしちょっとやそっとじゃ食い下がらない銀次郎さん。

ぜひ立ち会って欲しい!!といいますが、

内藤さんに厳しい表情できっぱりと断わられましたプンプン禁止


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