~秘太刀 馬の骨とは・・・~


ある日の夕方、半十郎さんは銀次郎さんからの呼び出しで、

小出家老の屋敷へと向かいます。

奥の部屋へ通されると、小出家老・銀次郎さんの他に、

半十郎さんの知らない人物がおりました。

この方は「中林市之進」さん。

普段は大阪におりまして、藩で作られたお米の売込みをしております。

稲の植え付けに先立ち、打ち合わせで帰ってきたそうなのですが、

そのときにおもしろい話を持ってきたというのですニコニコ

その話はおじいさんである市兵衛さんから聞いたもの。

「馬の骨」についての話だったのです!!

市兵衛さんと、矢野道場の当主・藤蔵さんのおじいさん・惣蔵さんは、

同じ御厩勤め(馬の調練やお世話をします)だったとのこと。

中林さんは、小出家老に促され、話し始めます。


ある日、市兵衛さんがいつものように御厩にいると、

突然、お殿様が馬を見に来られました。

馬が大好きだったお殿様は、もうすぐ江戸に帰るので、

その前に別れを告げがてら、馬乗りを楽しむために来たのです。

そんなに珍しいことではなかったので、

皆さんご挨拶をした後は、それぞれの仕事に戻っておりました。

1時間近くたったころ、まわりが静かになったので、

そろそろお帰りかな・・・見送らなければ・・・

と思って顔を上げたとき、市兵衛さんは厩の前を、

黒い大きなものの影と荒々しいひづめの音が通り抜けるのを見ました汗

それに続いて聞こえる人々の異様な叫び声!?叫び

走り出た市兵衛さんの目にうつったのは、

「沖風」という名の馬が狂ったように走る姿でした馬DASH!

1人が沖風の手綱にしがみついておりますが、

沖風はその者をひきずりながら走り続けます。

しかも、そのずっと先の方には馬をおりたお殿様の姿が叫びあせる

「しまった。」とさけんだ市兵衛さんは、馬のあとを追って走り出します。

沖風は病気の馬で、5日前から食が細くなり、

一時は立っているのも辛そうなほどでした。

うつる心配もないということなので、

厩の裏に出して、歩かせていたのです。

沖風は体が大きく、脚力も強く、おりこうさんでした馬キラキラ

厩勤めのみなさんは、沖風が回復するのを願ったいたのです。

しかし、お医者さんも見逃した病があったよう・・・

その病がついに動き出し、沖風を狂わせたのではないかと思わせる・・・

そんな感じがありました。

何人もの人間が後を追って走り出し、

中には刀を抜いている人もおります。

しかし、狂った沖風に顔で吹き飛ばされたり、

脚で蹴り飛ばされたり、あやうく踏み潰されそうになります。

手綱を持っていたものが力尽きてその手を離すと、

沖風はさらに軽々と走り、お殿様にまっすぐ向かっていきました。

その時になってやっとお殿様が動き出します。

その周りには数人の家来達がお殿様を後にかばっておりますが、

この状況では、なんとも心もとない様子に見えますえっ汗

その時、藩主の後ろから柵を越えて飛び出したものがおりました。

遠いところにいたこの人物は、やっと騒動に気が付いたようです。

家来の1人が「惣蔵、惣蔵」と連呼しました。

そう、矢野道場の惣蔵さんですビックリマークもちろん剣の遣い手。

やや小柄ですががっしりとした体つきの惣蔵さん、

沖風をしのぐほどに速い走りで、お殿様に近づきます。

しかし沖風ももう近くまで来ております。

30前後のご家来が、手を広げて沖風の前に立ちはだかりますが、

顔の一振りで倒され、肩に噛み付かれ地面に落とされてしまいますガーン

その時、惣蔵さんがお殿様たちの横をすり抜け前に出ました。

そこで立ち止まり、まるで大事な試合にのぞむように、

両腕をゆるやかに脇に垂らします。

みなさんは静かにこの対決を見守っております。

しかしその静けさも一瞬のこと、沖風は惣蔵さんに襲い掛ります。

2、3度沖風の攻撃をかわすと、いらだった沖風は両前足を振り上げ、

抱き込むようにして惣蔵さんに振り下ろしました。

その時、惣蔵さんの体が素早く動きます。

振り下した脚の前、首の下をかいくぐったように見え、

馬の左側に立ったときには、刀は鞘に納まっておりました。

沖風は地面を前脚で叩くと、静かに脚を折り、

首を前に出して動かなくなりました。

馬のお医者さんが後から調べると、

首の骨が切断されていたようです。

これが「馬の骨」なのです!!


しかし、どのような剣を遣ったのかはさっぱりわかりませんダウン

銀次郎さんは、秘太刀の遣い手を探るべく、

次なる人物をあたることにしました。


次回へ続く右矢印