なかなか秘太刀について語ろうとしない藤蔵さん。
そこで銀次郎さんは質問を変えます。
「おやじどのが病死されたのは、ざっと10年前だそうだな。
では、そのころ当道場の高弟と呼ばれたもの達の
名前を聞きたいものだ。」
これを聞いてまたまた藤蔵さんの気配が鋭く張り詰めます。
この質問に藤蔵さんは教えかねますと答えます。
だってお父さん時代のお弟子さん達の名前を教えたら、
きっといろいろ穿鑿されるはず・・・と言うと、
「すると何かな。そうひた隠しにするところをみると、
『馬の骨』は過去何かよからぬことにでもかかわり合って、
ことさら穿鑿を嫌うということでもあるのではないか。」
と銀次郎さん挑戦的な態度
・・・ストレートだね・・・![]()
これには藤蔵さんも怒り心頭![]()
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半十郎さんが2人の間に割って入ります。
別に名前を聞いたからと言って無理矢理何かを
聞き出すということではないし、そんなことは出来ない。
藤蔵さんは立場上、秘太刀については多くは語れない立場なので、
念のため他もあたってみたいということ。
お弟子さんたちの名前は、藤蔵さんが言わなくても、
調べればいずれ判明する・・・と半十郎さんが言うと、
藤蔵さんはしばらく考えた末に、ようやく5人の名前を挙げました。
この時の半十郎さん、銀次郎さんをけん制しつつ、
藤蔵さんをなだめるためにこう言ったのですが、
後から、この時の自分の言葉を強く後悔することになります・・・![]()
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半十郎さんが5人のお弟子さんについて聞いていると、
銀次郎さんが割り込んできます。
「さっき屋敷に入って来たときに、稽古所に人が2人おった。
片方は6つ、7つと見えた子供。もう一人は50前後の男だ。
あの2人も当道場の弟子か。」
子供の方は、藤蔵さんのご長男。
もう1人のほうは、矢野家の家僕で「兼子庄六」さん。
家事手伝いとお弟子さん達のお世話をさせるために、
藤蔵さんのお父さんが連れてきたそうです。
今でも畑で野菜を作ったり、入ったばかりのお弟子さんに、
型を教えたりしているそうです。
銀次郎さん、興味がなくなった様子。
帰ろうと席を立った半十郎さんの目に、
藤蔵さんが体の緊張を緩めるのが見えました。
ある日半十郎さんがお城で帰り仕度をしていると、
「谷村新兵衛」さんが顔を出します。
このかた半十郎さんの奥様・「杉江」さんのお兄さん。
若い頃から一緒に剣を学んだお友達です。
話があるという新兵衛さんと一緒に帰る半十郎さんですが、
大体話の内容はわかっております・・・![]()
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奥様の杉江さんが、ご実家で涙をこぼしながら、
「家の中がさみしくてならない」とこぼしたそうなのです。
杉江さんは1年ほど前に長男を病気で亡くしてから、
気鬱の病にかかってしまいました![]()
何日もふさぎ込んだかと思うと、
夜中に急に起きて、子供が死んだのは半十郎さんのせいだと、
ねちねちと非難したり・・・それが朝まで続くそうです・・・
新兵衛さんにはお兄さんとしての言い分、
半十郎さんには夫としての言い分がそれぞれ。
半十郎さんも決して杉江さんのことを大事にしてないわけではないのです。
杉江さんは半十郎さんが最近ちょくちょく家をあけるのは、
自分のことを嫌っているからだと言っているそうで、
半十郎さんは、内容はふせてただ、小出家老の用事だと話します。
「気をつけることだ、半十郎。」
どうやら小出派と杉原派が争いを始めるという噂があるそうです![]()
ご家老には恩義があるという半十郎さんに、
「少々加増してもらったことか。」と新兵衛さんは言います。
新兵衛さんはどちらの派閥にも属してはいません。
本人はそれを内心誇っているようなのですが、
半十郎さんにしてみるとただの臆病から来た日和見にしか見えず、
さっきの「少々の加増」もやっかみにしか聞こえません。
その後も、新兵衛さんは嫌味とも取れる言葉を続けます。
最後に「杉江を頼むぞ」と言うと新兵衛さんは歩き去ります。
そのうしろ姿を長いこと見送っていた半十郎さん。
いらいらした気持ちもおさまって、家に帰ろうとして、
ふと思いつき方向を変えます。
坂の下に杉江さんの好物である落雁を売る店があったのを思い出し、
無駄になるかもしれないが、買って帰ろうと、
のぼったばかりの坂を戻りました。
次回へ続く![]()