梅雨時の満員電車は不快だ。
無論、私だってその「不快」を作り出している当事者の1人で、みんながそれぞれ自分たちで作り出した不快な空間のなかで不快感に浸りながら通勤している。
そういうものだから、そこにはもう「お互い様精神」が芽生え、責任者不在の自然災害みたいな感覚で、充満する匂いとか、腕に張り付く隣の人の濡れた鞄とかに耐えている。
ま、自分のことは棚に上げて「前の奴のカバン超邪魔なんだけど死ね」みたいなことをTwitterに書き込んでいる不毛な人もいるにはいるけどさ。
そんな帰宅ラッシュの車内で、同僚どうしと思われる女性二人が会話をしていた。
「『能ある鷹は爪を隠すように、能ある女は膝を隠す』ってネットの記事で読んだんだけど、超共感した!やっぱ仕事のデキる女って、ミニスカートとか履かないし、男の目を惹くような派手な格好はしないものだと思う」
と一人が言い、
もう一人は、肯定するわけでも否定するわけでもなく、ふんふんと聞いている。
下世話な好奇心を掻き立てられた私は、「一体どこのどいつがそんなことを言っているんだろう」と思い、
さりげなくご尊顔を拝見したところ、
やっぱりまぁ、なんというか、ミニスカートとかは一生履かないまま人生を閉じそうな雰囲気の女性なのだった。
べつにミニスカにピンヒールでもデキる女はデキるだろうと私は思ったし、
それ以上に、そこに隠された妬みと同調圧力と相互監視によって理想化された封建的な女性像がなんとも嫌だった。
「能力の高い女が性的にも魅力的なことが許せない」
あるいは、
「セクシーな女が頭もよくて仕事もできるなんて認めたくない」
と言っているのだ。
そのことに気づいているのかな?
っていうかそもそも、そのネット記事を曲解している可能性もあるんじゃないかなぁ。私は読んでないからわからないけど。
つまり私も、
「男を落とすのが上手い女ほど、露出度の高い格好はしないし、大人しい女に見えるのだ」
という意味の話だったのなら、腑に落ちる。
無論それは、「女らしくなくてもいい、地味な上にブスでもいい」ってことでは全然なくて、
「男のプライドを満たしてくれそうで、男同士の競争に疲れた心を癒してくれる優しい心も持っていそうで、なおかつ貞操観念が高そうに見える女」が結局いちばんモテる、みたいな話。
はっきり言ってそれはまぁ、いつの時代もそうだと思う。
時はダイバーシティ。
「好みの異性のタイプ」もたしかに昔に比べて多様化してきているのかもしれない。
人生に求めるものが多様化すれば、パートナーに求めるものも当然のごとく多様化するし。
とはいえ、人間の本能が変わらないことも事実で、
結局自分を超えてきそうな女を男は好きになりくいし、
自分よりサバイバル能力の劣りそうな男を女は好きになりにくい。
どれだけ不況続きで仕事がパッとしない男が増えて、反対にジャングルでも生きていけそうな女が増えていたとしても
人々が恋愛しにくくなったと言われる背景には、たぶんこういうことがあるんだろうけど、、、
恋愛は、あるところにはちゃんとあります。
環境のせいにしても始まらないし、
反対に自分を悲観しても始まらないよねー