小説家の小池真理子さんのお名前は知っていましたが、初めて小説を読んだのは、2010年に日本経済新聞の夕刊に掲載されていた「無花果の森」でした。


夕刊をリアルタイムで読んでいたので、続きが待ち遠しかったのを覚えています。


生意気なようですが、小説を読む時に気になるのが文章のリズムで、それが合わないと読み進めるのが難しいです。


小池真理子さんの文章は私にとって心地よいリズムで、魅力的な登場人物や鋭く繊細な表現に嵌まり、その後長編、短編集も含めたくさん読みました。



中でも印象に残っているのが「午後の音楽」です。ある大人の女性とその女性の妹の夫がメールだけでやり取りする恋愛小説ではあるのですが、文章によって互いの感性が似ていることに気づき、今まで誰にも言えなかった心の奥底にある気持ちを言葉にしていく。


メールのやり取りが進むにつれ、ふたりの距離がどんどん縮まっていくことに、息が苦しくなるほどでした。細やかな感情を文章にする力量に圧倒されました。



小池真理子さんは現在68歳。ご主人は小説家の藤田宜永さんで、ともに直木賞作家で仲睦まじい素敵なご夫婦でしたが、ご主人は昨年69歳で亡くなられました。


その際に小池さんが朝日新聞に寄稿された文章の一部です。




事実婚のままだったのかと思っていましたが、50代後半に入籍されていたのですね。

小説家になることを夢見ていたおふたりが、ともに直木賞を受賞するような作家になり、小池さんは美しく、藤田さんはスタイリッシュで絵になるご夫婦でした。(過去形なのがつらい)


久しぶりに小池真理子さんの小説を読みたくなりました。まだ読んでいない小説を探そうと思います。