TVでは年末の特番が続いています。
その中でも秀逸だと思ったのがTBSドラマスペシャル「赤めだか」です。
原作である書籍が出版された時、すでに評判が良かったのを知っていたので読んでみたいなとは思っていましたがそのままになっていました。
年末にドラマ化と聞いたので楽しみにしていましたが、期待以上の素晴らしいドラマでした。
原作「赤めだか」は落語家である立川談春さんが書いたエッセイです。
ご自身の過去を、師匠である談志さんとの師弟関係を中心に描いています。
ネタばれ有りですから、まだ楽しみに取ってある方はスルーでお願いしますね(笑)。
若い頃、談志師匠の高座を聞いたきっかけで落語家を志すようになった青年。
しかし彼の親はその夢を許してくれず…。
あの手この手で(親は死んだと嘘をつき)立川流の弟子となります。
そこで与えられた名前が「談春」でした。
しかしその日々は厳しいもので…。
師匠の気まぐれのような言いつけや無理難題をこなす毎日。
新聞配達をしながら生計を立て…。
ある時は築地の焼売屋に修業に出されたり…。
弟子仲間と苦楽を共にし、「早く〝二ツ目(落語家の身分)〟に…」ともがく若き談春を描いた青春ストーリーです。
それと並行し、落語を愛し抜いた談志師匠の破天荒な生き様が、最も近くの弟子の視線で生き生きと描かれています。
まず凄いのはキャストです。
実力派をずらりと揃えた布陣には圧巻です。(以下敬称略)
主役は二宮和也(立川談春)とビートたけし(立川談志)。
この二人も凄いんですが、脇を固めるキャストも贅沢三昧です。
二ツ目の兄弟子立川志の輔を香川照之。
優しく温かい、頼りがいのある兄弟子でした。
弟子仲間には濱田岳、宮川大輔、北村有起哉が。
皆さん落語のシーンがあるんですが、まるで噺家さんのように演じています。
魚河岸の女将は坂井真紀。
キップがいいかっこいい女将さんです。
談春の両親は頑固おやじの寺島進と優しい母親の岸本加世子。
評論家の先生を演じるのはリリーフランキーなんですが、この悪役がドラマをぐっと引き立てます。
実際の人物として出演しているのが春風亭昇太、春風亭小朝、三遊亭円楽。
中村勘九郎は息子さんが演じています。
この方たちも花を添えてくれていますね。
BGMも優れたドラマでした。
中でも私が好きな桑田さんやブルーハーツの楽曲はジーンとしました。
その他にもよく聞く素敵な曲がいっぱい使われてます。
主役の談春さんのまじめな性格がドラマを通して良く分かりました。
人気ドラマ「下町ロケット」で見せた金庫番の役もハマったのがよく分かります。
二宮君が見事に演じてくれてました。
もう一人の主役、談志さん役のたけしさん。
やっぱり最高です。
談志師匠の深い愛情、上手く表現できない不器用さがほっこり伝わってきます。
談春が嘘をついて入門した事、お遣いの金魚の真相…。
師匠は全てを見抜いていました。
談春を築地に修業に行かせたのも気まぐれではなく、そこで自分自身の置かれた立場を知り、周りを見る事を学ばせる為でした。
そこでの給料を内緒で貯めていてくれた事も師匠のお人柄でしょう。
全て談志師匠の考えあっての事でした。
伝統を重んじる伝統芸能の世界。
そこに身を置きつつも新しい物を求める談志師匠。
「弟子の面倒は師匠が見る」という一般的なルールを無視し、弟子から上納金を取り「弟子は弟子、俺は俺」と言い切るその姿に「らしさ」と「愛情」を感じます。
そんな師弟の関係を見ていると、最後の二ツ目昇進お披露目舞台で談志師匠が話す一言一言が弟子への愛に溢れているのをひしひし感じました。
談志師匠のハチャメチャな生き方。
側にいたら絶対大変だろうけれど(笑)、男としての魅力はすごく感じます。
口は悪いけど、何とも色っぽい人だと以前から思っていました。
ドラマのおかげでよりセクシーなイメージを持つようになりました。
弟子、そして落語への想いに嘘は無い人だと思いました。
原作も読んでみようかな。
落語繋がりで、久々に「タイガー アンド ドラゴン」が見たくなりました。
レンタルしてこようかな(笑)。
タイトルの「赤めだか」。
その意味がドラマで分かりました。
談志と談春を繋いだ赤めだか。
久々に目頭が熱くなるドラマでした。
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