ふぁんたじー
久しぶりに会った知人に
少し前にとてもよく似てる人を見たよ、
と言われた。
テレビに映っていたパン屋さんで、
話し方や仕草や雰囲気がよく似ていたらしい。
わたしに似ていた人は
わたしよりわたしの夢に近いところにいるらしい。
人が見る自分って
どんななんだろう。
思えば、初めての自覚は小学生のとき。
転入生が隣のクラスに来て、
どんな人だろうと話題になったときに、
ある男子がわたしに雰囲気が似てる、と言った。
まったくもって失礼な話だけど
人にはこう映ってるのか、と愕然とした。
まだまだ自分に幻想を抱いていたころ。
とはいえ、そのころ鏡を見ては、
みんなの顔ははっきりしているのに
なんでわたしの顔はぼんやりしてるんだろう、
と憂い悩んでいた。
鏡を見て憂うなんて、乙女ね。
自覚を重ねながらも
やっぱり幻想は見続ける。
まがりなりにも女子だから。
Illustration by mianshuca (http://mianshuca.exblog.jp/)