こないだ、こんなことがありました。
普通にお客様の搭乗が始まりました。私はまたドアのところで
お客様をお出迎え。
「おぅ、ねえちゃ~ん。日本人?よ・ろ・し・く♪」
えらい酔っ払い、乗ってきたな~・・・(:-:)
その人は全身からお酒の匂いをプンプンさせ乗ってきた。しばらくすると
後ろの担当スッチーに呼ばれた。
「あの酒臭い人、もうビール出せって言ってるから説明して来て!」
さっきのおっさんが手招きしていた。
「おぅ、あいつなあ、ケチでな、ビール出しよらへん!も・・もっ、持って来て!
ぬぃ、ぬぃ・・・2本な!」
もうロレツまわってへんやん・・・
「あの~、恐れ入ります。お酒は、離陸してからしかお出し
できないんですよ。離陸したらすぐにお持ちいたしますので
少しお待ちください。」
おっさんは、それでもなんだかんだくだを巻いていたが、酔っ払いの
たわ言としてほっとくことにし、その場を離れた。
「あんなおっさん、乗せんかったらいーのに!」
後ろ担当のスッチー達は口々に怒っていた。航空会社が搭乗を
拒否できる場合は2通り。一つは、このような酔っ払い。もう一つは
あきらかに怪しい人(テロ行為をするんではないか)と機長を含む、
スッチー達全員が判断した場合。
確かに、この酔っ払いのおっさんは11時間の飛行に耐えれるのか?!
というほど酔っ払っていた。
無事離陸し、お飲み物のサービス、お食事のサービスが終わったころ、
酔っ払いのおっさんエリア担当のスッチーに呼ばれた。
「ちょっと!!あのおっさん、機内のお酒が500円(もしくは5ドル)する
からって、空港の免税店で買った自分のウィスキー飲んでる!ボトル、
取り上げるから通訳して!」
おっさんの席に向かった。おっさんは、だいぶええ調子で思い切りテーブル
の上に「CHIVAS REGAL」の瓶を置いて飲んでいた。
「お客様、さきほどアナウウンスでご案内しました通り、ご自身で
お持込のお酒は機内ではお飲みいただけないんですよ。連邦
航空局の法則なんです。それに随分酔っ払ってらっしゃいますが
大丈夫ですか?」
「んぁ?あ?飲んだアカンの?そんなこと言うたかてな、こ・・・ここにおった
外人スチュワーデスが、酒出しよらへんくぅわら!」
「それは、こちらの担当の乗務員が、お客様は少々飲みすぎで
いらっしゃると判断したためです。機内では気圧の変化でお酒が
通常の3~5倍、まわるんですよ。そのために機内で倒れるお客様が
たくさんいらっしゃるんです。」
「いや、オレは少々のことでは酔わんっ!」
パーサーがやってきた。
「ボトル、取り上げること言った?早く言って!もうこの人は
今後お酒は飲んではダメよ。到着まで!」
・・・到着までとか言ったら、怒りよんで、また・・・(:-:)
「あの~、こちらパーサーなんですが法則を破られては困る
ということで、ウィスキーの瓶をこちらで預からせて頂きます。」
「そりゃないで!ねーちゃん!オレ大丈夫やーゆうてんねん!
イヤがらせくゎ?オデなんかしたか?すぉの瓶もって行くんやったるぁ、
飛行機の中の酒もってこいよ!び、び、ヴィールとワイン!はよ、持ってこい!」
どんどん、ロレツまわらんね・・・・・
「彼はなんて言ってるの?」
「その瓶もって行くんやったら、他の酒持ってこいって・・・」
「絶対ダメ!もうこれ以上飲ませたらどうなるか分からないわっ!
水、持って来てやるっ!」
パーサーが水を持って戻ってきた。おっさんの前に差し出した。乗務員
が、こんなに酔っ払いの管理にうるさいのには訳がある。乗務員は、
お飲み物やお食事をお出しするだけでなく、緊急の際にお客様を
助けるという業務がある。もし、緊急のことが起こり、飛行機が急に
どこかに着陸しないといけなくなった際に、お客様が酔っ払って、
千鳥足で足がもつれて逃げ遅れたりしたら、外国ではその遺族が
航空会社とそのエリア担当のスッチーを控訴できるらしい。。。
「お客様のお酒の量をコントロールしなかった」と・・・・・・
「あんたねえ、こんな飲んだら、次の乗り継ぎ便の飛行機、搭乗
拒否されるよ!この水飲んで、頭冷やし!」
「なんて?(訳して)」
「あの~あまりに酔っ払ってらっしゃったら、乗り継ぎ便
の飛行機に搭乗拒否されるから・・・と心配しております。」
「どぅ・・・どわ・・・から、大丈夫やっ!」
おっさんは、真赤な顔で怒り出した。機長がとうとう降りて来た。機長と
パーサーの話し合いの間に、酔っ払いのオッサンに緊急のときに
千鳥足で逃げ遅れてもらったら困ることを説明したが、おっさんは
聞こえないふりを徹底していた。。。。
「パスポート取り上げることにしたから。ほんで、あんたがいるから
このオッサンはあんたに甘えて反省しよらへんねん。ここはもう、
外国やっていうことを分からせるためにも、あなたはあっちに行って。」
わっ!すごいね、それ。。。。。
私はギャレーの陰からそっと見ていた。おっさんは機長とパーサーに
「パスポート!」と単語を何度も言われ、しぶしぶパスポートを出してきた。
機長は、目的地の入国審査官に情報を送ると言ってパスポートを持って
上に上がっていった。パーサーも誇らしげにCHIVASの瓶を持って
ビジネスクラスに戻って行った。通路からそっと見ると、おっさんは
寝たふりをしていた。
目的地へと下降体制に入った。おっさんに瓶とパスポートを返しに
行った。
「こちら、お返しいたします。」
特に理由もなく、後ろから声をかけた私に、必要以上にビックリして
おっさんは飛び上がった。
・・・・・・そないにビックリせんでも・・・・(@-@)
ビックリしてビクッとした拍子に、おっさんの足元で何かが動いたのが
見えた。おっさんは必要以上に足をバタバタ、毛布で何かを隠そうと
している様子・・・・・
なに??
しゃがんで、席の下を覗き込んだ。わたしが見つけたのは日本酒の
「カップ酒」!!!しかも2つ、転がっていた。
どおりで、おっさんの顔、まだ赤いはずやわ・・・
「それ、隠した方がいいですよ。ちゃんと。」
と言って、パスポートと瓶を渡した。
目的地に到着した。私はドアのところでご挨拶をしながら、通路を歩いてくる
オッサンを見つけた。フラフラしてるのを何とか隠しながら、一歩一歩踏み
しめるように歩いてきた。
必死やん・・・
「ありがとうございました。」
おっさんは目を合わさずまっすぐ前を向いて降りていこうとした。
ドスンッ!!
前のめりになって、私の目の前を飛んでいくオッサン。頭から、地面につっこんだ。
絶対、顔打ったわっ!
案の定、起き上がったオッサンの唇から血が出ていた。。。。。
「ティッシュ、もってきますから~!!!」
トイレにティッシュを取りに行って戻ってきたらオッサンの姿は
もうなかった。。。。。
そないに飲まんでも・・・・・