サスティナブルと真実の未来 | Lovearth Blog

サスティナブルと真実の未来

サスティナブルという言葉を使うなかで、未来はエコの志向に根ざした軽やかなイメージに彩られがちだけど、未来には環境破壊やエネルギー問題以外にも様々な課題が立ちはだかっている。
iPadなどの端末が繰り広げるユビキタスコンピューティング、高度ネットワーク化社会と経済危機、予想だにしない世界の様相が繰り広げられようとしているのだ。
この「21世紀の歴史」の存在は高城剛の「オーガニック」という新書で見つけたのもの。今という時代が抱えているリソースが現在の社会情勢のバイアスを受けて進化を、あるいは退化を遂げた、21世紀の半ばを中心とした世界の姿が描かれた興味深い書物だ。資本主義の変遷からアメリカ帝国の終焉、国家を超えた超帝国の出現、超紛争と超民主主義が不可思議なニュアンスを漂わせて出現。
その中で、次世代によりよい世界を遺そうとするトランスヒューマンと位置づけられる人々が愛他主義者として増殖すると書かれている。現代でいえばマザー•テレサのような人物だという。
“自分への愛から始まる他者への愛が、人類存続条件であることを、他者を通じて理解する”
トランスヒューマンにとって、他者とは自分自身の存在の証であり、孤独でないことを確認する手段なのだと本書では記されている。
本書の前半は世界の中心都市を軸に資本主義の変遷が描かれ、後半ではSF映画の時代背景やF.K.ディック、あるいは攻殻機動隊の社会のディテールのようにスリリングに描かれているが、どのテクノロジーも今、私たちの手元に実現しているものばかりで、それが集積されるとこうした不可解な未来が完成するということを認識させられる。
それならそれで、この本に描かれた未来よりも不可解なイメージを醸造させて、タフな21世紀をイメージすることが求められているように感じる。

21世紀の歴史――未来の人類から見た世界/ジャック・アタリ

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