エレベーターの中で、階数の上がっていく様子を見ながら、早くつかないかなぁって考える。
なんだろう。
いっぱい泣いてちょっとスッキリしたからなのか、それとも酔ってるからなのか。
分からないけど、どうしてもにのに会いたくて、これから会えると思うと嬉しくて。
そういえば、最近俺の家ばっかだったからにのの家は久しぶり。
それもあいまってか、その場で躍りたくなるくらい気分があがってる。
ポーンと音がなって、扉が開く。
その扉が、凄くゆっくりに見えて、焦れったくて。
こじ開けるように勢いよく飛び出した。
バタバタと走って、目的の部屋を見つけて、急いでチャイムを押す。
と、同時くらいに玄関がガチャリと開く。
眉間に皺を寄せているにのが、うるさいって言うのを遮って、俺は思いっ切り抱き着いた。
「にの!」
「わっ!」
結構な勢いで抱き着いたけど、しっかり抱きとめてくれる。
背中に回った手は、やっぱりあたたかい。
世間が思ってるより、にのは弱くはないんだ。
充分男らしいし、カッコイイ。
後ろで玄関が閉まる音。
バッと中に入ったから、にのの靴踏んじゃってるかもしんない。
でもそんなこと構わずに、ぎゅうぎゅう抱きしめながら、肩におでこをすりすりする。
ビックリして戸惑っていたにのは、はぁと息を吐いて、俺の頭を撫でてくれた。
「なにしにきたの」
言葉とは裏腹な優しい声に、安心する。
抱き着いていた体をサッと離し、俺はにのの顔を見た。
にのも俺のことをみつめてる。
あ、耳の先がちょっと赤くなってる、なんてみつけて、可愛いなぁってくすり。
「にのに会いたかったから」
「......あっそ」
素直な気持ちを伝えると、頬を赤く染めて、そっぽを向いてしまった。
またもや可愛い反応。
ついくふふって笑っちゃって、にのに頭を軽く叩かれた。