*こちらで書いているお話はフィクションです。
登場人物は実在の人物の名をお借りしていますが、
ストーリーは作者の創作によるものです。
23.
道慶は細身の優男だったが、チャンミンに対する執着の強さだろうか──
恐ろしいほど強い力で押さえつけてきた。
催淫薬に侵されたチャンミンは、
その体を押しのけることが出来ない。
「やっ、やめ…やめてっ!
こんなことをして…恥ずかしく…ないのですか?!
御仏に仕え、村の人たちから尊敬される貴方が…
無理やり…こんなことをっ…うっ!」
道慶はチャンミンの体にのしかかり、
無理やり唇を奪った。
「ぐっ!」
チャンミンが道慶の唇を噛み切った。
唇を離した道慶の口元には血が滲んでいる。
チャンミンの抵抗が道慶の本性に火をつけた。
怒りに満ちた瞳でチャンミンを睨みつけると、
「大人しくしろっ!」
「あうっ!!」
チャンミンの頬を平手で打った。
その瞳は…チャンミンを征服したいという欲に満ち、
さながら禍々しい獣のようだった。
「こんなことをして…村長に訴えます!」
道慶はチャンミンの腕を、いっそう強い力で掴むと
「ふふふっ…出来るならやってみるがいい。
おまえは…もう二度と、ここからは出られない。
寺の奥深く、誰も入れない場所に座敷牢があってね。
このまま私に抵抗するなら…
チャンミン、おまえは永久に寺の奥で過ごすことになるぞ。
誰にも会えず、誰も知らない…おまえがそこにいることは」
「!?」
「おまえが私の稚児になったことなど、誰も知らない。
おまえの強欲な叔父夫婦は…
今頃、私がやった毒まんじゅうを食べ…絶命しているだろうさ」
「お、、、叔父さんたちを?!」
道慶は用意周到に…
チャンミンを我がものにしようと手を打っていたのだった。
盛られた催淫薬と衝撃で、チャンミンはもう抵抗する気力が無かった。
「そうだ…初めから大人しくしていればいいものを…
チャンミン…いい子だ…これからは私がおまえの主人となる」
道慶の唇がチャンミンの首筋を這う。
大きく開けた白い肩が露わになり…
「い…いや…若様…助けて…っ」
「若様、だと?!誰だ、そいつは?
まさか…もしかして…おまえは清童ではないのか?!」
頬を紅潮させ、荒い息で目を閉じるチャンミン。
漂うチャンミンの色香に、道慶はほくそ笑んだ。
「てっきり…まだ何も知らない子供だと思っていたが…
そうか…チャンミンはもう…ふっ…ふふっ。
これは都合がいい。苦労なく後孔が使えるとはな」
道慶はチャンミンの後ろに指をあてがった。
「やっ!やめてっ!!若様っ!!」
その時…袂に仕舞ってあった巻物が床に転がった。
りん───
チャンミンの襟元が発光し、
眩しさに道慶はチャンミンを抱く手を緩めた。
「ぎゃあっ、眩しい!!」
チャンミンは力を振り絞り、
道慶の体から離れた。
「チャンミンっ、おまえは…なにをっ!?」
「軽々しく…チャンミンの名を呼ぶな」
「だ、誰だ!」
部屋の隅に逃げ込んだチャンミンの前に、
腰まである長い黒髪を靡かせ、薄紫の衣を纏い…
涼しげな黒い瞳と赤い唇の…若様が立っていた。
「若…様…」
チャンミンの言葉に、道慶は目を瞠った。
そして、不敵な笑みを浮かべると
「鬼…か。おまえは鬼だな?
なるほど…チャンミンがいう『若様』というのは…
やはり鬼であったか。外道の人喰いめ!
おまえのような者が人間に手を出してよいと思っているのか!」
侮蔑の眼差しで、道慶は若様を睨んだ。
風に揺れるしなやかな竹の如く…
若様は目を閉じ、ただ静かに立っていた。
「外道?さあて、それはどちらの話か?
己の欲を満たさんとするあまり…
人を騙し、清い心を蹂躙し、果てには命も奪う。
浅ましきは道慶、そなたなのではないか?
御仏に仕えながら、血生臭い欲を手放すことも出来ず…
それが人々が慕い敬う僧侶の姿か?!」
「黙れ!神にも非ず、人にも非ず…
鬼の分際で人間様に偉そうな口を叩くな!」
「若様!」
チャンミンは若様の背中にしがみついた。
若様の衣の手触り、項から漂う甘美な匂い、
絹のような滑らかな長い黒髪…
チャンミンは懐かしさと安堵感で涙がこぼれた。
「チャンミン…もう大丈夫だ。
そなたが持っていてくれたおかげで…
縁起図の中から抜け出ることが出来た。
もう二度と…そなたを怖い目に遭わせはしない」
若様は道慶を凝視し、チャンミンに背中を向けたまま…
いつもの穏やかな声で語りかけた。
「ああ、若様…!うれしい…うれしいです!」
「チャンミン!おまえは私のものだ!誰にも渡さぬ!!」
道慶は数珠を取り出し、若様に向けて九字を切る。
「滅せよ!鬼め!!」
修行を積んだ道慶の霊力は凄まじいものだった。
「ぐっ…!」
身を伏せ、一瞬蹲ったが…
若様はカッと金色の目を見開き、赤い口元から白く大きな牙を見せた。
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