2024   0715   ヨコハマ 曇り


天気予報によると夕方から雨になるそうです。

湿度が68%。ジトジト気味ですね。


以前にチューンしたギターの H 氏のヒストリーのアコギのサドルをゴートホーン材から作っています。

この個体は中に仕込んだアースプレートに剥がれを生じた為にその修正も兼ねています。


ちなみに、割と知られてないのですが、アコギに弦を張る場合、弦のボールエンドをピンで押し込む方がいらっしゃいますが、その張り方は避けて下さい。


あくまで、弦を一旦奥まで差し込んだ後から、ピンを差し込んで、その後から弦を引っ張り上げてピンを上からグッと押し込んであげて下さい。


ボールエンドをピンで奥に押し込むやり方ですと、弦のボールエンドは金属ですから、それで毎回少しずつピン穴を削ってしまうからです。

なので、最初に弦を一旦少しだけ奥まで入れてからピンを差し込んで、その後に弦を引き上げてやると、弦のボールエンドがピン先の木部に引っかかって留まってくれます。


特にアースプレートを設けた場合にはアースプレートを剥がさない為にも以上の手順で弦を張って下さい。


写真はゴートホーン材から作成したオクターブサドルです。


ちなみに、このヒストリーのアコギのブリッジ台座は段差加工だけで無く、台座自体の接面積を以前のチューン時に拡張してます。


*ブリッジ台座のサウンドホール側にローズ板材を接合して手前に6ミリほど拡張してあります。


このモデルに限らず、よくブリッジ台座がデザイン優先で小ぶりな面積しか無いモデルをよく見掛けますが、面積不足はローレンジの不足を招き、音痩せの原因となり、アンサンブル中での存在感を失います。


現にこのモデルはチューン後にはローミッドが加わってダイナミクスも明らかに向上してます。勿論、音量も違います。


このヒストリーのアコギは、あのあいみょんがデビュー当時に使用してましたが、たぶん一人で弾いてる分にはいいけど、アンサンブル中で弾いたら音が薄くて物足りなくなって、いずれ別のアコギに持ち替えるだろうなぁ、と考察予測してましたが、案の定、今はJ-45 が彼女の愛器となってるみたいですね。


繊細なサウンドも結構なんですが、音が細いから繊細に聴こえる、ではダメなんですよ。アンサンブルの中で消え入ってしまうのでは、繊細も何も無いんですからね。


ブリッジ台座のサドルが位置する手前の台座面積は非常に重要なエレメントなのです。このサドル手前の台座面積が狭いモデルはローは出て来ませんから音に厚み、立体感が不足しますのでご注意を。


更に言うならサドル手前に台座部分が少ないと、弦の張力で台座の後方は捲れ上がる力が働き、同時にサドル手前には下に押し下げる力が働きますので、そこに台座が少ない場合は踏ん張りが効かないために余計にブリッジ台座が捲れ上がりやすくなり、トップ板の変形を招くのです。

だから、楽器もデザイン優先でなんか設計したらダメなんですよ。そんなのはロクなことになりませんから。


楽器はね、音も良くて見た目も美しく無くちゃね。😃