ばーばの部屋にいました。
もこもこの緑色のいもむしが。
晩ごはんを食べ終わった後、いつものようにパジャマに着替えたのを確認してから「おやすみ」と声をかけて、ばーばの部屋を出た私。
台所で片付けものをしていると、ばーばの部屋から
「ドンドンドン」
「ドンドンドンドンドンドンドン」
いつもの手持ち無沙汰の時にやる「ドンドン」よりも、やたら回数が多い。
これは何かあったと思ってばーばの部屋に行くと、
「あれ、取って」
と指を指す。
ばーばが指を指した方を見ると、障子の桟のところに、もこもこの緑色のいもむしがいました。
家には私とばーばしかいません。
虫は苦手なのですが、勇気を出して、割り箸でいもむしを挟み、ビニール袋に入れて庭に放り出してきました。
仏壇に供えてあった、庭のキンモクセイの葉っぱにいもむしが付いていたようです。
ばーば、本当に良く目が見えるようです。
いもむしは確かに本物でしたが、ばーばの目には亡くなったはずのじーじの姿も見えているようです。
月曜日の明け方、「ドンドンドスン、バタン」という、こちらも聞きなれない音に飛び起き、ばーばの部屋に行くと、ベッドからずり落ち尻もちをついていたばーば。
ベッドの横の畳の上には、毛布が置いてありました。
そう、そこは確かにじーじが寝ていた場所。
じーじに毛布をかけるために、畳の上に座ったのか、毛布の端を踏んで尻もちをついたのかはわかりませんが、とにかく一人では立ち上がれない状態でした。
なんとかお尻を持ち上げ、ベッドに座らせることができました。
最近、ばーばはしょっちゅう
「だ〜れも、おらん」
と言っています。
いやいや、同じ家の中に娘の私いるでしょう、と突っ込みたくなりますが、どうやら自分の部屋に、自分以外誰もいないと訴えたいようです。
つまりは、いままでずっと同じ部屋で、隣で寝ていたじーじがいないと言いたいようです。
寂しいんでしょうね。
じーじの記憶も、寂しいという感情も無くなれば、辛い思いをしなくて済むのに。
夜中に「ドンドンドンドン」と壁を叩くのも、側に誰かいて欲しいという気持ちの現れなのかもしれません。
でも、無理です。
ポータブルの置いてある、尿臭漂う部屋で、私は一緒に寝ることはできませんから。
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