じーじは88歳という年齢の割には、足腰がしっかりしている。
運動機能より頭の機能が先に衰えると、一番厄介なのが徘徊だ。
我が家の場合、ばーばの骨折・糖尿病の悪化・入院が、同居在宅介護を決意させた直接の原因だった。
当時、私たちは北関東に住んでいた。実家は中部地方。高校生がいる為、遠距離介護は難しい。
幸いマンションではなく、一軒家を借りていたので両親を引き取っても暮らすことは可能だった。
そして始まった、自分の家から遠く離れた場所での娘家族との同居生活。暑い8月のことだった。
ばーばの糖尿病は、一緒に暮らして、きちんとした食事・服薬の管理をすることですっかり落ち着いた。
足が悪いのは、人工関節にしない限り改善はないので仕方がないが、大好きな孫との暮らしを楽しんでいた。
問題はじーじだ。
まさかここまでじーじの認知機能が衰えているとは、一緒に暮らしてみるまで分からなかった。
「家に帰る」と言っては勝手に出歩く。もちろん自分が今どこにいるのかもわからない。
二人を引き取って二日目に、じーじーは行方不明になった。
警察にじーじの写真を持って、捜索願いを出す。
私と息子は、車と自転車であちこち探すが、全く見つからない。
すでに8時間がたとうとしていた。
すっかり日が暮れ暗くなった頃、警察から電話が鳴った。
「閉店時間になったホームセンターで保護されている。」
真夏に8時間以上も歩き続ける。これがじーじの徘徊デビューだった。
他人とコミュニケーションが取れないため、他人に助けを求めることができない。
ただひたすら歩き続ける。
華麗なる?徘徊デビューの後、徘徊は常習化していく。
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