読む事が、できるのかどうかは別として

今年の命日の前に、どうしても手に入れたかった。





表紙に写真のhideが使われてる方は、電子書籍しかない?

私が見たものは、そうでした。


電子書籍…嫌だったので、こっちを購入。


届いた時は嬉しい反面、やっぱり開くのが怖かった。


でも、思いきって表紙を捲り、目次に目を通す。


その後、休みの前の日。

思いきって最初の章だけ読んでみる。



序 別れの瞬間



告別式後の、

出棺から…火葬…までが書かれていました。


最初の二行を目で追っただけで


あぁ……ちょっとダメだ・・・


そう思う。胸の奥から苦しみがこみ上げ、

大粒の涙がボロボロこぼれる。


でも、読んでみました。その日は、この章だけ。


それから3日後の休みの日。

読み始めたら止められなくなって、午後から半日かけて一気に全て読みました。


最初の章以外にも、所々泣いてしまう箇所はあったけど、想像してたよりはずっと読みやすかった。

なんかもっと 、重い内容を想像していたから。

hideの優しさのエピソードが中心ではあったけど、そんなに重い内容ではなかった。という点では、読みやすかったです。思ったよりは泣かずに済んだ。という事です。


第二章に、真由子さんとの話があったので、これについて思った事、書きたいと思います。

全体の感想は、まだちょっと書けない悲しい

この先、ブログで書くかも分からない。


hideを語る上で、真由子さんの存在は欠かせません。


貴志真由子さん。

一般人の、

hideの、ともだち。


真由子さんて、私よりもう少し年上だと長らく思ってたのですが、実は1歳しか違わなかった事を最近知りました。真由子さんが1歳上。生きていれば、44歳かな。


hideと真由子さんの「はじめまして」は、

95年から96年にかけて行なわれた、X JAPANの DAHLIA ツアー中、95年大晦日の東京ドーム公演後。


ライブ終わり、ふたりは楽屋で対面する。

ドアが開き、対面の瞬間。真由子さんの元に近づくhideは、こんにちわ と言いながら腰元で小さく手を振る。

そして、(ライブ)どうだった?と、真由子さんに声をかける。


そのあと

これ、自分で作って…と言いながら真由子さんがhideにプレゼントの包みを差し出す。


おっちゃん、まだ手が震えてて、ごめんね。

開けていい?と言いながら、差し出された包みを開けるhide。


あの、黒のモフモフの、手編みのマフラー。

確か、2ヶ月かけて真由子さんが編んだと記憶している。

マフラーをすぐさま首に巻いたhideが、どう?と真由子さんに問いかける。ありがとね。の言葉とともに。


hideから真由子さんへは、サイン入りのギターのプレゼント。

このギターのプレゼントには裏話があったらしい。

当初、真由子さんへのプレゼントはギターではなかった。でも、hideの提案した真由子さんへのプレゼントは手配が間に合わず、hideモデルのサイン入りギターに落ち着いたとの事。でもhideは、

ギターじゃ、すぐに弾けねぇじゃねぇかよっ!

と、本気で怒ったらしい。

でも、hideモデルのギターなら喜んでもらえるだろうと皆が説得し、渋々、納得した。


ギターなんかプレゼントしてもすぐに弾けない。

そんな事まで考えるhide。

普通なら、当然のようにギターが真っ先に思い浮かぶ気がするけど。そして、ファンならたとえ弾けずともギターのプレゼントに歓喜すると思うけど。

高価なものだし。逆に、これ以上のプレゼントはないのでは?


話を戻します。


プレゼントを交換したふたりは少し会話した後、

hideが真由子さんを誘う形で、ライブの打ち上げに行く事になる。

その席でhideは、X のメンバーに

真由子さんを「ダチの真由子」と紹介するのだ。

当時、誕生日を迎えたばかりのhideは、31歳だろう。


自身のファンである、会ったばかりの14歳の女の子を

トモダチと紹介したのだ。


私は、hideと真由子さんが一緒に撮った写真を映像で見た時、なんかふたりは雰囲気が似てる気がする。と思いました。


この時ふたりが会話を交わしたのは、ほんの短い時間。


でも、その短い時間でも

hideの中で、真由子さんとの会話は、波長が合ったのだろうと思います。

本当に、ともだちと話しているような感覚だったのだろうと。


だからこそ、「ダチの真由子」


実際、この場面のエピソードについては、


hideさんが真由子さんに会話のペースを合わせているふうでもない。本当に親戚のおじさんと姪っ子みたいに打ち解けている。と、書かれていた。


それから、こうも書かれている。


hideさんは14歳の真由子ちゃんに、少年時代の自分を重ね合わせているのかもしれない。hideさん自身が

何度も語ってきたあの話。15歳、人生が一気に弾けたロックとの出会い。(途中省略) もしhideさんが目の前の真由子ちゃんだったなら、やはりその夢は、憧れのロックスターに普通の友だち同士として接してもらうことだっただろう。


スターになっても、決して天狗になることはない。

普通の人間であることを忘れない、hideの人間性を表した一文だと思いました。


ちょっと脱線しますが、

hideの、骨髄バンク登録のエピソードも

“売られた“記者会見 のタイトルで綴られています。

真由子さんとの出逢いがきっかけで、hideは骨髄バンクに登録するのですが、この話の顛末には、

DOUBT のような、裏切りの世界があった。


hideは、ドナー登録を秘密裏に進めようとしていた。


秘密裏にドナー登録を行ない、その後行なわれるツアー会場で、骨髄バンクのキャンペーンや、募金活動を予定していたらしい。最初はあくまで、会場に来てくれたファンだけに向けて骨髄バンク登録を知らせるはずだった。


公になって、売名行為とか、お涙ちょうだいとか、

自分の真意が歪められ、マスコミに晒されるのが、何より嫌だったからだ。

真由子さんとの出逢いによって、ひとつでも多くの命を救いたいと純粋に思っただけ。


でも、「命」を救おうとしただけの行動を、

公にする事によって、「お金」に変えようとしている輩がいたーー


ドナー登録の当日。担当者達と打ち合わせしていた通り、人目につかないように裏口から入り廊下を歩いていたhide。なのに、前方には、テレビのレポーター達が待ち構えていた。あれよあれよという間に、突撃取材が始まり、エレベーターホールに着いた時には、カメラが並び、記者会見の席が設けられている。


hideは、後ろにいた裕士さんに振り向き、

刺すように睨んだという。

てめえ・・よくも俺を騙したな。というように。

もちろん、こんなことは寝耳に水だった裕士さん。

僕じゃないですよ!と、あらん限りの表情で否定したそうだ。

その場に来た当時の上司に、これって一体どういう事ですか?と、小声で抗議すると

え?なんで?ヒロシ君、話聞いてないの?聞いてるはずでしょ。と、平然と言われたという。


hideがドナー登録を考えている。そう聞いた時点から

水面下で、計画は進んでいたのだろう。


当時、この会見が彼にとってどれほど屈辱的で、本人の意思を無視したものであったかは、ファンなら誰でも察しがついたと思う。


こんな感じの事を、hideは言った。


自分達の音楽聴いてるような子が、SOSって言ってて


でも、自分に何ができるなんて思っちゃあいないんですよ。

ただそれでも、そばにいて、手を握るくらいの事はできるでしょ。

そういう簡単な事からというか……

単純に、何か行動したかった。それだけです。


あの会見のhideからは、怒りと悔しさが滲み出ている。

案の定、会見が終わり、車に乗った瞬間

ふざけんなコノヤロー、チクショウ、いい、もう行け早く!と一旦ブチ切れ、マンションに入った瞬間、

てめぇ、コノヤロー。あれじゃあ、売名行為じゃねえかよ!と、裕士さんは顔にパンチを食らったと書かれている。


マスコミが来るって事は、僕、知りませんでした。

すみません。と、努めて冷静に裕士さんは返したという。裕士さんも、hideと同じく、やりきれなかっただろう。


こうして、彼の純粋な真意は、汚い大人達によって、踏みにじられた。


hideと真由子さんの出逢いは、必然だった。

私はそう思います。出逢うべくして出逢ったふたり。

初対面の後も、98年まで、ふたりの交流は続きます。

彼女との出逢いによって

MISERY は生み出される。確か、千葉マリンの野外ライブにも真由子さんは訪れたと記憶しています。

違ったかな…


hideにとっても、大切な存在だった

年下の友達、真由子さん。

そんな真由子さんは、hideが消えてしまってから

確か、11年後の、2009年。

短かったけれど、天寿を全うし、旅立った。

難病の身でありながら、生きる希望だったhideが消えてしまった後も、11年、生きたのだ。そうできたのはきっと、hide亡きあとも、hideの音楽仲間や、hideと深く関わった人たちとの交流があったからこそだと思う。

あなたにとって、hideがかけがえのない存在であったように、hideにとっても、あなたはかけがえのない存在だったはずです。




今こうして私の手元にある、この本。

ブックオフの中古品だったものを、ネットで買いました。

これまでこの本に、どれだけのひとが目を通したのかな。

発行されたのは、2004年7月20日。

hideが消えてしまってから7年。まだまだ、過去の出来事としては浅い年月しか経っていない。

それから長い年月を経て、今、私の手元へやってきた。年月だけ見れば、当時よりはもちろん、hideは過去の人になっている。

でも、私の中では、永遠に色褪せない、唯一無二の人。14歳、15歳頃から、たったひとり、大好きな人。この本があれば、またhideを身近に感じる事ができる。裕士さんの想いも大切にしながら、これからも

hideと向き合っていきます。