あと、1ヶ月。


また今年も、この季節が巡ってきてしまいました。

4月に入ると

あと1ヶ月であの日が来る。条件反射のように

必ず思います。

私の中では、春はずっと、hideの季節。

春は、私にとって悲しい季節。

生まれてから、今年で43回目の春ですが、

あの時の私は16歳。

人生の半分以上、春は悲しい季節。

5月上旬。毎年、八重桜が満開に咲き誇ります。

ソメイヨシノと違い、花は大きくて、鮮やかなピンク色。

ソメイヨシノより、八重桜の方が好きだけど

満開のピンク色の美しさの中に、hideちゃんの姿が

チラついて、なんとも言えない複雑な気持ちになります。胸が、ギュッと苦しくなる。


もう 26年、これを繰り返していて。

今年も、あと1ヶ月経てば

変わらずに、同じ思いをする。きっとずっと、

春は悲しい季節のまま。


ゴールデンウィークも嫌いです。

あの、告別式の、地獄絵図が脳裏をよぎるから。

私の春は、あの日から動いていない。


どんより曇った

白銀の、静かな季節を越えて

世界が色づき始める春。

けれど、止まったままの私の春は、毎年

流動的に彩りの中に飲み込まれて、ただただ流されて過ぎていく。


ピンクは一番好きな色

けれど、ピンクを象徴する季節は、

鮮やかさとは裏腹に、くすんで見える。




蔦の葉 密やかに

根を広げた頃に

目に映る景色は

音もなく過ぎ去る




そんな春が、今年も巡ってきます。