5月7日の朝、大韓航空便で無事に帰国しました。

 連休が終わった翌日の朝です。

 この日、じい君は午後2時に姫路で裁判を抱えていました。

 じい君だけでも「一刻も早く姫路に帰らないと!」という状況で、「関空で通関したら、すぐに一人でJRの関西空港駅に行って姫路に帰ってね。荷物はアタシが宅配便で送るから、重くても心配要らないから。」と話を付けていました。

 

 じい君は、まだまだ敗戦国らしく飢えている人もたくさんおられたニッポンで昭和20年代に生まれたためもあって、食べ物に異様な執着があります。

 今回も、出発前に金浦空港のKALラウンジで、お菓子とかパンをもらってきて、書類入れにしているリモアのミニキャリーに入れていましたえー?

 マリオット系ホテルのポイ活であちこちに泊めていただき、無料の朝食をいただくときも、パンやドーナッツを失敬してきますちょっと不満 

 じい君の養母はアタシの両親に対して、「世が世ならあんたらなんかと口を聞く身分じゃないのよ!」と怒鳴っていましたっけ笑い泣き笑い泣き笑い泣き

 彼女や新婚当時に君臨しておられた姫路のベンゴシ夫人さん達のいうところの「貧乏人の娘」であるアタシですら、出されている食べ物を失敬しようなどということはしません。自分の食べる分だけいただいています。

 唯一、南紀白浜マリオットホテル『グリル&ダイニングG』でのディナーの時に、ダイエットシュガーの「パルスイート」がテーブルの上に出されているのをゴソッと持ち帰るだけです(使うのはじい君です。ダイエットシュガーって、アタシはブラック珈琲党なのでつい買い忘れて朝ご飯の時じい君にグズグズ言われて不機嫌になられるので。)。『グリル&ダイニングG』でお世話になっているマネージャーのU治原さんも、サービスの方々も、そういうアタシのやることを解ってくれていてw、アタシの案内されるテーブルに置かれたシュガー立てには、いつもパルスイートがギュウギュウに詰められていますおねがい

 

 しかし、どうしたことか「世が世ならアタシ達とは口も聞かない高貴な生まれw」のはずのじい君、ダイエットシュガーなんて可愛いものでは済ませず、ラウンジに出されている食べ物を必ず失敬するんです。「ここでしか食べられない」ような逸品などありません。どこでも買えるような(マリオット系ホテルならどこも同じようなパンやドーナッツ)でも、「嬉しくてたまらない」お顔で失敬します。

 おつまみになるようなナッツ類やクラッカーなども個別包装されているので、じい君の格好の餌食ですw

 アタシはそういうとき、あまりじい君の方を見ないようにしているので、このときも何を失敬したのか把握できていませんでした。

 同じラウンジには、じい君と同年配の日本人男性客がおられ、その方も同じようなことをされていましたw

 キチンとスーツを着た紳士っぽい方で、物腰は上品なのにアセアセ

 じい君も着いたら裁判があるのでスーツを着て、一見は紳士っぽかったですがw

 9時発のフライトで、2時間しか飛行しないのですぐに朝食が出るのに、じい君もその方も、ラウンジであれこれ物色&失敬するばかりか、かの有名な「辛ラーメン」のカップを啜っていましたあんぐり汗

 ラウンジでは、必ず「○○時発のKE○○○便に搭乗される方は、搭乗口○○番へお越し下さい。」という放送があります。小一時間ほど過ごして、搭乗口に行きました。途中の免税店で、じい君が大好きなウイスキーを2本買いました。もっと買いたがったのですが、「重いのは困るから」とアタシがダメ出しをして2本で我慢してもらいました。高価なものではありませんが、10年くらい前から二ッポンには輸入されなくなった品なので、じい君は再会できて大喜びでした爆  笑飛び出すハート

 それを持って搭乗し、あっという間に関空に着きました。

 ターンテーブルの番号もすぐにチェックできて、帰国便にはファーストクラスがなかったので、ビジネスクラスの荷物がサッと出てきて、無事にカートに乗せました。

 

 まさにそのとき、赤が効いた制服姿の、犬を連れた若くて痩せ細った女性が突然アタシ達の間にヌーッと現れましたガーン

 「すいません!何か不法な食べ物をお持ちではないですか!?犬が反応しているんですがムキーむかっ

と、大変な剣幕でした滝汗汗

 アタシは不知でしたが、じい君が金浦空港のKALラウンジから失敬してきたパニーニに、ハムとレタスが挟んであってそれが引っかかったのでした。

 じい君がその女性に件のパニーニを差し出して、「ごめんなさい。これを捨てるのでそれでいいでしょうか?」と聞くと、「ここにはゴミ箱がないので、同行して下さい!検査所のゴミ箱に私の目の前で捨てて下さい!」と大変強い調子で言われました。午後2時までに姫路でキチンと用意をして裁判に臨まねばならないと言う事情がありましたので、

 「代わりに私がご一緒して捨てます。主人は午後2時から姫路で裁判があって、急いで帰る必要があるのです。」

と申し出ましたが、

 「はぁーっ!?裁判?裁判なんかどうでもいいっ!!きまりも守れんくせになぁにが裁判や!はよう、あんた(じい君のこと)さっさと来いや!出しゃばり(アタシのこと)は、引っ込んどきぃ!!」

とすごい剣幕でしたアセアセダウン

 逮捕状が出たとか、起訴されるような案件ならともかく、違法な食べ物を届け出ずに持ち込もうとして発見されたので捨てる、という話です。

 どうして、何が何でも持ち込んだ本人に拘るのか、さっぱり解りませんえー

 まぁ、ちっこいおばあさんをやっつけても達成感がないので、キチンとスーツを着て弁護士バッジを付けたおじいさんの方がしょっ引いていくのに達成感とか高揚感があったのでしょうね。

 その後も絞られていたのか、なかなかじい君が戻らないので「(裁判に)間に合わない。。」と心配になったアタシが、その女性からあれこれ言われていた時からずっとそこら辺にいた空港職員らしき若い男性に、「どのくらいかかるのでしょうか?裁判に間に合わないのですが。」と伺うと、

 「僕はずっと見てましたよっ!日本国のきまりを守らない方が悪いでしょっ!」

と怒鳴るばかりで、まったく質問には答えてはくれませんでした。

 アタシは一言も「夫は悪くない」なんて言ってもいないのに。。

 もちろん、じい君が100%悪いと思います。

 しかし、何か特定の懲罰が科せられるということでもないのに、「持ち込んだものを捨てるのが絶対に本人じゃないといけない」とか、「裁判に間に合うようにしたい」という願望を持つことが日本国のきまりを守らないみたいに言われると、「落ち着いてこちらの言うことを聞いてほしい。日本語の会話くらい普通にしてほしい。」とは思いました。

 20~30分ほどもして、じい君が来ました。

 なんの買い物もしていないに等しかったので通関はできましたが、じい君が金浦空港で買った2本のウイスキーの入ったロッテ免税店の手提げ袋がありません。

 「あれ、ウイスキーは?」と訊くと、「あっ!検査所のカウンターの上に忘れた!」ですと。

 まだ税関の自動ドアの前だったので引き返そうとしましたが、職員の男性に、「ダメです!一旦外に出て税関受付に行って申告して下さい!」と言われてしまいました。じい君はすぐにJR関西空港駅に駆けつけ、姫路に帰りました。

 なんとか裁判には間に合いそうでした。

 アタシは遠く離れた税関受付に、途中で重たい荷物を宅配便で送ったりしながらたどり着き、受け付けて下さった税関係員の方にこうこうしかじかとお話をしました。

 それまで空港で出遭った方々の中で、この税関受付におられた方々だけ、異次元かと思うくらい感じよくて親切でした。担当して下さった若い男性職員も、その上司らしい方も同僚らしき方も、本当に感じが良くて理知的な雰囲気でした。

 幸い、ここでは落ち着いてアタシの話を聞いて下さり、ウイスキーを探すために若い職員の男性が同行して下さいました。

 出国後に再度税関の中に入るようなことが自分の人生で起ころうとは思いも寄りませんでした。

 アタシ達が帰国した便のターンテーブルまで行って、犬を連れた女性に出会した場所をお教えし、そのあとアタシは荷物番でここにずっと立っていて・・・等と言っていると件の女性が犬を連れてすぐ近くを通りました。

 この人に違法食べ物を持ち込んだから、どうしても本人が捨てる場所に同行するように言われて、と話しましたが、その時間には到着便もなく、取り締まり対象もいないのに顔を背けてツーンとして通り過ぎましたプンプンむかっ

 しかし、その人がじい君を連れて行ったと思われる検疫カウンターの職員の方々は、皆ウイスキーの入ったロッテ免税店の手提げ袋に見覚えがない、と言われました。アタシを先導して下さった税関係員の男性が、色々な箇所に電話で問い合わせて下さいましたが、見つかりませんでした。

 そして、「お気の毒ですが、誰か旅行者の方が忘れ物を見かけて持ち去っても、まったく不思議はない状態です。こんなに探してないのなら、まず見つからないと思います。お役に立てなくて申し訳ありません。」と謝って下さいました。

 「一番悪いのは、変なサンドイッチのせいで騒ぎを起こした夫なので謝らないで下さい。お時間を割いていただいて、ありがとうございました。」と、こちらもお詫びしてその方とお別れして、また税関の自動ドアから外に出て、アタシも姫路に帰ろうとJR関西空港駅に向かいました。

 疲れ切っていたので、よくないことですが移動しながらスマホで予約して、「はるか」号の指定席を確保し、乗り込んで出発を待ちました。

 すると、そのとき見慣れない固定電話の番号から、アタシのスマホに着信がありました。「はい。」と出てみると、「○○さん(アタシのフルネーム)ですか?私は大韓航空の職員で○○と申します。」と若い男性の声がしました。

 なぜスマホの番号を知っているのか不思議でしたが、「はい。いかにも○○ですが。」と答えると、「ウイスキーを2本忘れましたか?」とのことなので、「はい。飛行機の中にあったんですか?」と不審に思って訊いてみると、「いいえ。税関のカウンターにあったそうです。大韓航空のお客様なので、そちらで預かれと言われまして。」とのこと。「今どちらですか?」と言われるので、「はるかの中なんですけど。出発はしていないので降りてそちらに伺います。あなたはどこにいるんですか?」と聞くと、「税関の出口の自動ドアの前です。」「どちらの?」「北側です。」とのことで、乗っていた「はるか」を降りて、スマホで次便の「はるか」に指定を変更して、駅員さんにICOCAの一旦降車の手続きをしてもらって北側の税関の自動ドアに駆けつけました。背の高い眼鏡をかけた若い男性が、大韓航空の地上職員の制服を着て立たれていました。当然ですが、ものすごく面倒くさそうな様子でした。ご挨拶して、「先ほど小一時間も税関受付の職員の方と探し回ったんですけれど、出てこなかったので。大韓航空のカウンターなんか税関付近には見当たらなかったのに、不思議です。」と、こちらの事情を話しましたら、「変わったケースです。」とのことでした。また、税関受付に行き、先ほどお世話になった方に「大韓航空の方で預かって下さったそうです。」と報告すると、「見つかってよかったですね!」と笑顔で答えて下さって、その方の上司らしき男性も笑顔でこちらを見て下さいました。本当に関空で親切で温かみがあったのは税関受付の方々だけでした。

 その後、大韓航空の職員さんと検疫カウンターに行って、ウイスキーを受け取って無事に帰れました。

 出発前から痛んでいた「変形性膝関節症」がそのときからずっとひどくなりました。韓国を出発するときには1500歩くらいだった歩数計が18000歩を超えていましたアセアセ汗

 

 じい君が「楓公とか白浜のパンダや上野のパンダにはもう飽きた!全然興味ないもん!」と暴言を吐いたのが、最後アタシにだけ祟ったようです叫びダウン

 

 

 どっこいちょ!

 恐れ入ったかw

 ジャパンダを甘く見ると

 酷い目に遭いまつよグラサン

 

 

 じい君は何とか裁判に間に合い、この旅行ではアタシの変形性膝関節症が悪化しただけ、という顛末でした。

 数日経って、地元の大規模クリニックで診ていただきましたが、変形性膝関節症というのは、加齢によって起こるので、若い人が怪我を治すのと違って加療で完治することはないとのことでした。

 「手術を受けても全員がすっきり元通りにはなるとは限らない、また何年か経ったら繰り返し手術を受けねばならなくなる。」とのことでしたので、手術は回避することにしました。今後は週一回クリニックにリハビリ治療に通わねばならなくなりました。ふうパンダもみじにはほんまに敵いませんアセアセ汗

 在宅でのリハビリ体操の冊子をいただきまして、クリニックに行かない日はこれをして下さいと言われましたが、やると余計痛くなりそうで憂鬱です。。

 現在もびっこを引かないと歩けない状態ですし、とくにどうやったら良くなるということもないようで、いただいた薬を飲んでも痛みは取れません。

 まぁ、人間はこうやって衰えていくのでしょうけれど。

 寿命が尽きて死ぬのも楽じゃないのねぇ・・・とあれこれ考えます。

 

 関空の税関の係員達を思い出すと、昔の映画『ラストエンペラー』で見た紅衛兵を思い出しました。

 タモリさんが現在のニッポンを「新しい戦前」と仰ったそうですが、アタシもそんな感じがします。

 同じ日本語を使う者同士でも、話を一切聞かずに自分たちの主張だけを繰り返す様子には、恐ろしさを感じました。きっとじい君がウイスキーを忘れたのをあの人たちはすぐに気づいていて、取り上げてやろうにも、中を見るとマニアックで大して高価な品ではなかったから、「返してやろう」となって、大韓航空の職員さんを使ったんだろうと思います。

 本当に海外旅行は懲り懲りと思いました。

 何でもタダなら取ってくるコンプライアンスに欠けるじい君との旅も、お陰様な右膝の痛みにも懲り懲りです。

 しかし、懲りないじい君は、「なんか、何でも韓国に負けとるなぁ。パンダも韓国の方が可愛かったし、空港リムジンバスのシートなんかでも韓国の方がゆったりして高級感があるしなぁ。」と残念がっています。

 本当に、なんでも追いつかれて追い越されているような感じはしました。

 日本の国力は随分下がってしまいました。

 しかし、何がどうでも死ぬまでは生きていないといけません。

 今年の年明けはピンピンして、スムーズに歩き回れていたのに。

 こうして色々なものを失いながら年老いていかねばならないのでしょう。

 

 ふうちゃんパンダもみじ、こんなにたくさん魔法を掛けるともう会いに行けなくなるんだけど、もうお祖母ちゃんに会えなくてもいいのね!?

 

 

 う~ん。。