「さぁー!プレゼント交換の時間になりましたぁ!!」

会場に声が響いた。

「前もって皆さんから集めたプレゼントを1・2の3で皆さんにふりわけますっ!」

外から戻ってきたあたしは、アンナちゃんとののこちゃんをみつけて近くにいった。

「あっ、ゆきあちゃん。どこにいってたの?」

「ちょっと外にね」

「風邪なおったばかりだからダメだよ。寒かったでしょう」

「大丈夫大丈夫」

そこで、またアナウンスが流れる。
「手元にプレゼントがいくまで取り合いなど絶対しないでください。では、
いーちにのさんっ」

「わぁ」

空からプレゼントが降ってくるっ

あたしは手元に落ちてきた小さな箱をとった。

薄い緑色の小さな箱。かわいらしいリボンもついている。

「ねぇねぇ、ゆきあちゃんはなんだった?」

ののこちゃんがオレンジ色の袋からだした手袋をうれしそうにみつめながらいった。

「あ、うん、ちょっと待ってね」

リボンをとって、箱を開けてみる。

「浮き出す文字ペン3色セットだぁ」

「わぁ、いいなぁ」

あたしは近くにあったテーブルに、緑色のペンでうさぎをかいてみた。

描きおわるとうさぎはすっとテーブルから浮き上がって、ひらひらと会場のどこかへ飛んでいってしまった。

「すごーい」

なんだかおもしろい。楽しい。

「わたしのは永遠に咲いたままのバラー」

アンナちゃんが小さな植木鉢にさいている小さなバラをみせてくれた。

しゅんすけくんやいいんちょもやってきて、みんなでプレゼントのみせあいっこ。

棗くんや、ルカくん、いまはどうしてるかな。

ふと、そんなことを思った。

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「棗ー、こんなところにいたの」

「あぁ、ルカ」

俺は、棗のいる木をのぼった。

「来年はここじゃなくて会場の中にあるツリーにのぼるか。ここだと寒いしな」

「風邪引いちゃうよ、棗」

棗は、やっと枝に座った俺に、ケーキがのったお皿をわたしてきた。

「もらった。俺とルカにだってさ」

「棗のファン?」

「・・・・・・いや、違うと思う」

「思う・・・?」

「よくわかんねーんだよ」

「ふぅん」

腕に抱きかかえたうさぎも不思議そうに首をかしげた。

「あれ」

会場のほうから、ふわりふわりとなにかが飛んでくる。

緑色の線のような・・・・・・。

それは風に運ばれてきて、俺達がいる木まで飛んできた。

目をこらしてよくみてみる。

かわいいうさぎの絵。

ただ、それをみても笑顔にはなれなかった。

約束したんだ。棗が笑わないなら、俺だって。

楽しい気分になんてなれない。