久しぶりに彼に逢えた喜びも束の間
彼:じゃあ そろそろ帰るか。送るよ
彼がそう言ってワタシの手を掴んだ
ワタシ:もう帰っちゃうんだ。
ワタシが拗ねたように呟いた
彼:明日も仕事だろ。帰って寝ろ!ぶっ倒れられても困るカラ
言葉は偉そうでも、彼の顔は少し赤くなってて‥(きっと、照れくさいんだろうなー)そう思った。
ワタシ:わかった♪帰ろ。
ワタシは彼に そう伝え、つないだ手を握り返すと彼が優しい顔で笑って見せた…
ワタシと別れた後、彼はAdam’に向かった
-ガチャ-
カウンターにいるマスターの前に座りcoffeeを注文
マスター:今日は1人?
アヤミ:うん。
マスター:なんで?喧嘩したの?
アヤミ:いや。
マスター:フラレたの?
マスターのアツシが笑いながら言った。
アヤミ:そうなって欲しいのか?
マスター:愛想つかされたんじゃないかと心配してるだけー
アヤミ:…いつかはそうなる気がする
マスター:ユキナちゃんは‘一途です’って感じだから大丈夫。
そう言ってcoffeeを彼の前に置いた
彼はそのcoffeeに触れながら思い詰めたように口を開く
彼:…俺と一緒にいてもユキナの為には‥
アツシは真面目な顔で彼の言葉を遮った
マスター:またそうやってユキナちゃんからも逃げるのか?
-アツシの声色が変わる-
マスター:結局、怖いんだろ?あのコトが知られたらとか、大切なものを傷付けてしまいそうだとか…。いつまでもガキやってんじゃねぇよ。ちゃんと向き合え、アヤミ!
アツシは煙草に火をつけた
マスター:ユキナちゃんが言ってたよ。お前が、よく笑ってるって
彼:…。
煙草をまた深く吸い、ため息まじりに続けた…
マスター:本気で好きになって色々 足掻いてみろ。ユキナちゃんには、それだけの値打ちがあると俺は思うよ。
そう言って笑った…
彼:ユキナは、あいつはバカみたいに真っ直ぐで…そんなだから俺は気持ちが楽になれる。軽くしてくれるんだよ。
マスター:…
彼:あいつは何も聞こうともせず、俺を理解しようと必死なんだよ。ツライ気持ちも隠してる…
マスター:それはお前のコトが好きだからだよ。ユキナちゃんは、ちゃんとお前と向き合おうとしてる。それが恋愛
彼:…エラそうに。
マスター:そう、俺エライのよ(笑)
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