0時に前にはベッドに潜り込んだにも関わらず
5時まで全く寝れず、の、三日目。
最後まで残れたとして、
残り2日で決断しなくてはいけない重圧で
頭がショートしてきている
考えれば考えるほど寝れなくて、
いつも寝る時にかけている
おまじないのようなヒーリング音楽でさえ
全く意味をなさずに脳内に共鳴し始めて、
更に寝付けなくなる。
音を辿ってしまいそうになるので
雨の音を流したり、梟の声にかえてみたり、
夏の虫、秋の虫の声、
何もかもが今日は意味をなさなくて、
もがくように、寝る事に苦しんだ。
本来私は、
付き合うまでにすごく時間をかける。
付き合うまでに、前の彼は一年
その前の彼も一年弱。
そんな私が5日で全てを
決めなくてはいけないなんて、。
全く冷静になれる時間がない。
圧倒的に足りない時間に焦る。
その人の背格好、歩き方、
歩幅や、歩くときの癖。
髪の毛の質感や、手の大きさ
睫毛はどんな角度で生えているのだろう？
食べるときの顔や、何を食べてるときが
一番おいしそうに笑うの？
おしぼりはどうやって使うの？
笑った時の僅かな皺さえ
感じる事ができない。
わたしは人の表情筋を見るのがすきで
まったく感心してしまうような
表情筋の動きをする人や、
“そこからその角度の筋肉で笑っちゃうの！”
と、いう表情筋の使い方をする人を見ると
しばらく眺め込んでしまうほど。
知りたいことが山程ある。
画面越しだと皺のひとつすら
感じることができない。
そして、無味無臭。
味気ない、。
普段ならば無意識に駄々漏れしている情報も、
全く答え合わせができない
会わないとわからない事が多すぎる。
起きてすぐ、昨日買ったアイスを
冷凍庫に入れてなくて液体になっている
ところを発見する事から始まり、
ゴミを出しに降りてきたのに
手にゴミを持ってなかったり、
まったく違うポストを開けようとしていたり、
なんだか色々なことがズレてきている。
わたしがいつも付き合うまでに
時間をかけてしまうのは、
その人との関係によって
自分の毎日がどうバランスがとれていくのか
知りたいところもある。
相手もそうだ。
少し冷静になってもまだなお、
わたしへの気持ちが冷めないのか、
そこも知りたい。
恋愛をすると人間はチンパンジー並みの
知能になるというから、
私はチンパンジーと人間の間を
行ったり来たりして、
恋の冷静さをとりもどしてから
決めたいのも、ある。
今日はしょっぱなから
Tシャツ早畳み対決なんてやるものだから
城前さんがディナーに指名してくれた。
なんだか、とてつもなく、恥ずかしい。
“レクチャーしてくれたので先生で”
いやいや、それはないだろー。
そこは名前だろぉ
高橋さん、ナイス突っ込みありがとう。
なんて思いながら、
『ほんとは坂本さんと悩んだのかな？』
真相はどうなんだ？
正直、城前さんは私との会話に
もう飽きてしまっているかな？
と思っていたので、
すごく嬉しかった。
これでディナーを画面越しにする事に
なるのだが、
これが、想像していた以上に、たのしい。
画面越しの食事でも、だいぶ楽しい。
何より一番嬉しかったのが、
今までで一番しっかりと
城前さんと会話をできたことだ。
わたしの会話を、食事を中断して
まっすぐに聞き入ってくれる姿が
可愛らしすぎて、
なんだか嬉し過ぎて
こんな風に人に話を聞いてもらったのは
いつぶりだ？？
そんな事を考えながら、
ワインを飲まないと思っていた城前さんが
ワインをグラスに注ぐ度に
なんだか嬉しくなる。
すごく無邪気に話す城前さんを見て
“かわいい、、かわいすぎる、、”
という声が何度も漏れそうになった。笑
『スーパー大好きなんですよ』
これが一番、私の中での破壊力が大きくて
城前さんとスーパーに行って、
私がわざと故意的に
重たい物とか買っちゃって、
それを何事もなく持ち上げる城前さんを
見てみたくなった。笑
スーパーに行くと、
いつも重量級ばかり買ってしまうわたしは
一人暮らしを始めてから
(雪が降ってた)一番最初の買い出しで、
おそらく10kgくらいの買い物をしてしまい、
雪道を何歩かずつ、休みながら
傘も差せるわけもなく
『この場に置いて帰ろうか』
という事を、考えながら
泣きながら帰った思い出が蘇った。笑
信号が変わっても動けなくて
『青になってますよ！』とお巡りさんに
促されたのも覚えている。
(分かってるんです。と半泣きで答えた)
“あぁ、もうやだ！ひとりしんど！”
一人暮らしを始めて家具を作っている時も
それで泣いた。
転んで大怪我して、血を垂れ流して帰り、
手で何かを持つことすらままならない時や、
あとコルクが抜けないとき。
(ピスタチオの殻が全然割れないときも、、)
ちなみにこのディナータイムでも
城前さんにコルクを抜いてほしい
甘えた心をかなり隠していた。
『自分で立ち上がれ。もう女の子じゃないんだから』
とあるドラマで、年下の男の子が
年上女性に言い放った衝撃的な台詞が
リフレインしまくってるのが日常なわたしは、
それでも結構一人の時にフガフガしがちで
城前さんが思っているような
余裕のある年上のお姉さん、ではない。
お風呂の浴槽で鼻だけ水面から出して
ゆらゆらしたり、
水の中にいることが好きすぎて
後頭部と背中もぴったり底につけて
潜っているような30歳だし、
初期のちびまる子ちゃんを見ては
咽び泣きするし、
オープニングのゆめいっぱいでは
『笑顔の魔法を教えて～』を、
元気のないときに鏡の前で
何回もリピートするし、
男の人にだってとてつもなく、甘えたい。
もはや液体化して
身を委ねてしまいたいくらい、甘えたい。
（それが出来ずにいつも苦しむ)
城前さんは、どうなのだろう。
こういう一面、見せたらどうなるのだろう。
想像と違った。
なんて、がっかりするのかな。
今、食べている海老、
一緒に食べたかったな。
今、画面抜け出して来てくれないかな。
何度もそんな事を、思った。
わたしがこのお肉のどの部分を切って、
どのソースをつけてたべているのかすら
きっと城前さんには
まったく伝わっていないのだろう。
“画面の中からこんにちわ”とか、
できないものかなぁ。
登場してもらいたいなぁ。
城前さんとは、
音楽の好みも、服の好みも、
お酒の飲み方も、友達との付き合い方も、
何もかもが違う気がするのに、
二人でいたらなんだか
色々な事を楽しめそうな気になってしまうのは
何故なのだろう。
不思議だ。
ドライブ、いきたい。焼き肉、いきたい。
あっという間に
ディナータイムが終わってしまい、
フリータイム。
坂本さんが真っ先に城前さんを誘った。
“お。”
なにか見てはいけないものを見た気がする。
しかし相変わらず、好きだなぁ坂本さん。
そしてそのあとは、
初めて、林さんが一対一に誘ってくれた。
嬉しい反面、
“中川さんがいないからかな？”
そんな疑いを持ってしまう、自分。
林さんの顔を見ると
なんだか安心してしまう。
林さんは本当に、丁寧に、会話をしてくれる。
ありがたい。
言葉で詰めていく距離感が心地良い。
2日目で石橋さんを脱落させてしまった時の事、
その時、『丹羽さんの顔をみてしまった』
と言われた言葉に、なんだか泣けてくる。
林さんはきっといつも同じペースで
こうやって話してかけてくれるのだろう。
画面越しではいまいち分からないが、
きっと笑った時、目尻に少し皺が出来る。
それもまた、いい。
苦手なタイプの女性の話になったとき
過去の彼女の束縛について触れた事があって
わたしは束縛はそこまでしないが、
『飲み会に行くときに良い気持ちで行けない』
同じ台詞を過去に言われたことがあり、
何かの扉が、パカーン、と開く。
わたしが林さんと付き合ったとしたら、
そんな事を言われる日が
すぐ来たりするのかな？
ただ、この日は、圧倒的に林さんと話す時間が
足りなかった。
三日目、終了。
なお、足りない。
ないものに目を向けるよりあるものに、
と言うが、本当に足りない。
もどかしい。
時間も濃さも、圧倒的に足りない。
いつ時間が終わってしまうのか、
その事ばかり考えてしまい
落ち着いて話すことが中々出来ない。
これは無人島理論と同じような気がする。
わたし、大丈夫か？
冷静か？
みんなもっと楽観的に考えてる？
みんな、誰を推してるの？
わからん。
明らかに言えるのは、
私が一番、冷静、ではない。
城前さんと一緒に飲んだワインが、
ポツン。
と置いてある。
何事もなかったように片付けていたら
ショックだなぁ
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