初日とはまた違う種類の、疲弊。

それに加えて、罪悪感。





石橋さんを脱落させてしまったのは
間違いなくこの私であって、

Love or Deleteのカウントダウン前から
すごくいけない事をしてしまったような
自責の念にかられる。




画面に合わせる顔がない。







カウントダウン前から、

堪えていたにも関わらず、
思わず涙がちょちょぎれる。




石橋さんはわたし一筋だと、
全女子がおそらく分かっていたから、
みんな石橋さんには票を入れないだろう。

それも分かっていた。



だから、
私が選ばない=石橋さんが落ちてしまうのは、カウントダウン前から分かっていた。


画面ですら、会うのがつらい。


みんなが
“ドキドキする~”
などの言葉を言う中、

そんな言葉達は、微塵も出てこない。
その場から逃げ去りたかった。





一日目に、鈴木さんがいなくなってしまい、
女子数人が泣いているのを見て正直
驚いていて、

私は泣く程、まだ誰の事も知らないし、
そんなに深く関わっていないにも関わらず
泣ける事がすごい、と、びっくりしていたのに

今日は自分が泣いている。






何の涙なのか、ずっと考えてしまう。


ただ、勇気を出して

“丹羽さん一本で!”



と言ってくれた石橋さんを
脱落させたのは紛れもない私だ。


人の勇気を踏みにじってしまった。
石橋さんの好意に向き合えなかった。




『丹羽さんはすごく優しい人だと思う』

そんな台詞を言ってくれた石橋さんを
思い出して、

また涙が溢れる。






石橋さんがそんな台詞を放った相手が、
石橋さん自身を落としてしまうなんて。



『すごく優しい人間だと思う』

ありきたりのようで、
言われると心の奥の何かの琴線に触れ、
感情が溢れる。

母親に感謝をする。



あなたの育てたこどもが、
誰かにこんな風に言われるなんて、
どう思う?



聞いてみたい。
私は母親ではないから分からないが、
自分が子供を産んで、
そんな事を自分の子供が言われていたら
とてつもなく嬉しいだろう。

そしてそんな事を言ってくれる男性に
娘の旦那になってほしい、そう思うだろうな。










そういう石橋さんこそ、
優しい人だと思います。




そんな事を言いたかったけれど、
安っぽくなりそうで言い返せなかった。




私が出来る筈もない行動をしてくれた
石橋さんの勇気を踏みにじってしまった。



最後に石橋さんに感謝を伝えたかったが、
石橋さんはみんなに向けたメッセージだけを
言い残し、

私の“ありがとう”は、

みんなのお別れの言葉で
書き消されてしまった。




すごく、すごく、嬉しかったよ石橋さん。
本当にありがとう。






ただただ、そう伝えたかった。


なんで石橋さんはこんなにも
ひた向きになれるのだろう。

真っ直ぐな目をしていて、
何も怯えることなく言葉を放つ。


自分にはない、。





終わってからも涙が溢れる。
でも、これでよかったのかもしれない、

そんな自己肯定をしそうになる自分に
また嫌気が差す。

ずるいなぁ、わたし。


すぐ楽になろうとする。






石橋さんは、
どれくらいショックだったのだろう?

まだ二日目で、
二人っきりで話した時間なんて
ほんの一瞬だ。


私が思っているより
ショックではなかったのかもしれない。

されてみないと分からない想像が
私を覆い尽くして、不安になる。










リモートデート時間は、
林さんと、城前さんに絞った。


林さんは一度話してみたかったが、
デートに飛び込んだらまさかの二人きりで
テンションがあがってしまった。


時間が足りない、とすら思った。
二人きりのうちに話したいことが、
沢山ある。

林さんとは、とにかく 、“会話” がしたい。



言葉で埋めたい距離が沢山ある

知らないことも、山程ある。




いつ、別の女の子が入ってくるか分からない
焦りで、つい早口になる。



お酒を飲んで、べらべらと、
知性のかけらもない言葉が飛び出す自分が
恥ずかしくなる。



林さんはきっと、賢い女性が好きなのかな?
だとしたら今の私はみっともなさ過ぎる。



ただ、話せた嬉しさで、
再びバカみたいに喋りだす自分。


林さんは初日、
誰よりも真っ先に先手を切って
中川さんを一対一に誘っていたので

中川さんと真逆なタイプの私には
全く興味がないだろう。


なんだ。もういいや。








そんな事を一日目に思っていたからか
林さんから、

『第一印象は丹羽さんだった』

と、言われたまさかの言葉に驚いた。





しかしこれは、信じて良い言葉なのかは
わたしには分かりかねる。




“騙されてるぞ自分!”


と、警鐘を鳴らす自分がいる。




第一印象で思った女の子の前で
他の女の子を誘うなんてリスクのある事は、
私だったらしないからだ。



なので再び、

“自惚れるな自分!”




と、過去の自分が叫びだす。




男の人の甘い言葉は
要注意だ。信じてなるものか!

しかし嬉しさが込み上げる。
嫌われているとすら思っていたから、尚更。





林さんといると、
自分がちっぽけな女の子になったみたいに
拙い言葉が溢れる。
浮かれている自分が恥ずかしい。



それに反して、落ち着いている林さん。
その落ち着きが心地良い。

私の拙い言葉に耳を傾けてくれ、
色々なことを質問してくれる林さんに
嬉しさが込み上げる。

質問をしてくれるのは、
興味をもってくれている証なのか。
それとも、ジャッジするための材料に
されているのか。

どちらにせよ、浮かれが収まらない自分。



林さんはすごく丁寧に会話をしてくれる人だ。

安心する。
もっと話したいことが山程ある。
もっと聞きたいことも、話したいことも。


そんな事を思っていたら中川さんが
来てしまったので、
冷静になってしまった。

もっと詰めたい距離がありすぎて、
名残惜しい、。

私だけが喋り過ぎてしまった気もする。








そのあとは城前さんのデートに飛び込んだが、
坂本さんとすごく良い空気で、

謎の嫉妬。


私といる時の城前さんと、
明らかに違っていた。

そして、坂本さんは個人的にすごく好きだ。


城前さんと会話をする坂本さんを見て
そう思ってしまい、
さらに嫉妬。

なんて感じの良い人なのだろう。

別の場所で出会っていたら、
確実に仲良くなっているタイプの女性だ。







みっともないぞ、自分。


関西弁で盛り上がる二人に、
ぽつんと混じる、わたし。



昨日の城前さんに対するドキドキが
なんだかしょぼくれてしまった。

自信をなくす。



坂本さんが席を立った一瞬に

ちゃんと昨日選んだ事を言っておこうと思い、
昨日誰を選んだのかを聞いたら







無言で画面を指差す城前さん。


かわいいぞお前さん、。








不覚にもそう言ってしまいそうになった。



嬉しさから『わたしも!』と
大きな声で言ってしまい、

『聞こえてますよー』という坂本さんの
感じの良い声で我に返る。




そうだ、聞こえるのか。

リモートは誤魔化しがきかないな、
難しい。

二人きりで小声で話す事も
できない難しさ。





しかし、もしかしたらこの二人は、
私が来る前までに
色々な事を話したに違いない。


明らかに温度が違う。



動揺する。











最後のフリータイムでは、
石橋さんに続いて、
城前さんが飛び込んできてくれた。


動揺する。


坂本さんと天秤にかけられているのか?

やはり、坂本さんといる時より
明らかに口数が少ない城前さん。


私と話していて、つまらないのかな?

そんな事が頭をよぎる。



確かめに来たのかもしれない。

そう思うと何を話したら良いのか分からず、
あまり温度の高い会話はできなかった。









三日目は、明らかに女子が脱落する筈。


石橋さんがいない今、
私を選んでくれる男性はいないかもしれない。




高橋さんと自見さんとは未だ、
一切会話を交わしていない。


私が脱落する気がする。





緊張感と同時に、
落ちるなら早く落としてくれ!

そんな気持ちにもなる。


ふぅ。



 

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