続けてもう一話~。

本日3話目、トータル6話目の、妄想物語後輩編。

ここから見た方は、できれば1話からお願いします♪


----------


その日の昼休み、私はお礼にと向井くんをランチに誘った。

しかし、向井くんは午後一から社外で打ち合わせがあり、もう出なくてはいけないという。


「ほんと、すみません」

「ううん。それより打ち合わせ、寝ないでよー」

「がんばります…」

「お礼はまた今度ね。どこか行きたい店とか、食べたいものとかあったら教えて」

「わかりました。メールします!」

向井くんは嬉しそうに笑うと、出かけていった。


メールが来たのはその日の三時ごろ。

打ち合わせが終わったらしい。


『急なんですけど、明日とかどうですか?』


机の上のカレンダーを見る。

明日は…土曜日だ。

平日仕事が終わったあと、と勝手に思っていた私は少し驚いた。


続けてメールが来る。

『行きたい店があるんですけど、土曜日しかやってなくて』


土曜日しかやってない店なんて、どういうことだろうと思ったが、ちょうど明日は暇だったし、行ってみればわかるか、と私はあまり深く考えなかった。


『了解。明日の夜でいいよ』

『やった!あとで場所送りますね』


かくして明日の休日は向井くんとのデートになってしまった。

(いやいや、違うって。ただのお礼だって!!)

そう言い聞かせてみるが、少しだけドキドキしている私がいた。



土曜日、夜七時。

ラフな格好で来てください、との向井くんのメール通り、私は普段着で指定された駅に来ていた。

初めて降りる駅。駅前にはコンビニとスーパーがあった。

(ここってどう見てもベッドタウンだよね…。でも、こんなところにこそ隠れ家的な店があるのかも)


「すみません!お待たせしました!」


現れた向井くんは、なんと、チャリ!?


「すぐなんで、乗っちゃってください」


いつもと違って、ジーパンにTシャツの向井くんはなんだか幼く見えた。

自転車のうしろに座って、向井くんの腰に手を回す。

向井くんの服装もあって、なんだか学生に戻ったような気分になった。


(こんなの…何年ぶりだろ)


「しっかりつかまっててくださいね。あ、でも警察来たらすぐ降りてくださいよ!」(※よい子は真似しちゃいけません!!)


「了解」

なんだかちょっと恥ずかしくて、向井くんに寄りかからないよう無駄に腹筋を使ってしまいそうだ。


「今日なに食べるの~?」


「着いてからのお楽しみです~」


それから約五分後。自転車は到底店があるようには思えない場所で、止まった。


「到着です」

振り返った向井くんは笑っている。


「…マンション!?」


「はい。土曜のみ営業。『レストラン向井』へようこそ♪」


(え~~~???ちょぉっとちょっと~~~!!!)


予想もしない展開に、私はただただ唖然とするばかりだった。


----------


つ・づ・く☆



今日はここまでです~。またがんばれたら、明日!