施設での新しい生活

3歳から
ほとんどまともな
生活をした記憶が
なかった私にとって
施設に入って
やっと普通の
生活ができるようになった

何よりも
施設に入るまでの私は
ずっと心が休まる
瞬間がなかったのだと
今になって感じている




自由はないけど
理由なく怒鳴られる事も
理由なく殴られる事もない生活
やっと安心を得ることができた

施設で生活する子供達の
入所理由は様々
生まれた時から
親の顔も知らない子
私同様虐待を受けた子
ネグレクト
生活苦


みんなの心の中は
わからないけど
寂しそうにしている子は
誰一人いなかった
いつもみんな笑っていた



必ずしも
親といる事が
幸せだとは限らない


親と生活しない方が
幸せに暮らせる子供は
沢山いる

少なくとも
私はそうだった

沢山の大人が
私達を守ってくれた
施設の先生はもちろん
学校の担任の先生
カウンセリングの先生

仕事とはいえ
先生達はしっかりと
子供達と向き合ってくれた
今でも先生達の顔も名前も
はっきりと覚えている

唯一ここで過ごした
2年と少しの期間
私が苦痛だったこと

それは2ヶ月に1度くらいの
ペースでやってくる
家への外泊日だった




帰れる環境がある子供は
たまに家に帰らされる
これは半ば強制で
私がNOは言えない状況だった

どれだけ離れて
時間が経っても
もう殴られることは
無いとわかっていても
私は祖母と顔を合わせるのが
嫌で嫌で仕方なかった