私は一時保護所から
帰宅して数日後
施設に人所するための
準備をしていた




荷物をまとめている時
祖母から
「これはこの家で買ったものや!
持って行くな!」


と嫌味を言われながら
支度をした
施設に入ることが決まっていたため
さすがに暴力は
振るわれなかったけど
祖母は
最後の最後まで
私を罵った

私は必要最低限の
荷物をまとめ
母に連れられ
施設に向かった

私が入所した施設は
都会のオフィス街の中に建つ
大きな建物だった




祖母から監禁を
受けている時
沢山読んだ本
その中に出てくる
子供を預かる
施設や孤児院

私の想像していたものとは
かけ離れていた


とても綺麗で
大きく立派なビル
その中に施設はあった

施設の中には何重にも
自動ドアがあり
中からは自由に出る事はできない

1階フロアには
保健師さんが在中する保健室
施設の子供達が通う学校
ケアワーカーさんとの面談室
そして陶芸室と
施設の院長先生の部屋

階段で
2階に上がると
またさらに自動ドアが2重に

その中で子供達が生活していた
その施設は小学生のみが入れる施設で
1年生〜6年生までの
子供達が30人ほど生活していた

居住スペースも
とても綺麗で広々としていた
ただ窓は10センチ程しか開かず
子供達の安全のためなのか
異常なまでにどこもかしこも
鍵、鍵、鍵
子供達が自由に動ける
スペースは限られていた

人見知りの私は
とても緊張していた
だけど
他の子供達は新入りの私に
興味深々で
みんなとはすぐに
打ち解けることができた

何よりも
虐待に怯えることなく
毎日食事を摂れて
お風呂に入れて
布団で寝れる




ごくごく
普通の事が
普通にできる生活
私にとっては
幸せ過ぎる生活が始まった