4年生の冬
私はまた
祖母から逃げるために
家を飛び出して
真夜中寒さを凌ぐために
マンションの駐輪場で
体を丸めてしゃがみ込んでいた

それでも寒さを凌ぐ事はできず
私はあるマンションの
エントランスで寒さを凌ぐ事にした

当時私の行動範囲の中で
唯一のオートロックのマンション
あそこへ行けば
寒さを凌げると思いついた

深夜のマンション
なかなか人が通らず
ドアが開かない


そこへ1人の人が帰ってきた
その人は私の事を
不審そうに見ながら
オートロックを開けた
私はその人と一緒に
マンションのエントランスに入った




そして集合ポストの隅に
身を潜めていた
深夜のため人の出入りはなく
朝になれば外へ出ればいいと思っていた
その時1人の女性が帰ってきた
そしてその人はポストの方へ来てしまった

私は見つかれば
通報されてしまうかもしれない
そう思って焦った
でももう逃げ場所はなく
諦めた

すると
その女性は私に声を掛けてきた

「どうしたの?こんな時間に。。。
お家は?お家の人心配してるんじゃない?」


私は
「家には帰られへん」
と一言だけ返事をした

女性は
「とにかくここは寒いし家においで」
と言ってくれた

女性は私を連れて家に帰ると
食事を食べさせてくれて
お風呂に入れてくれた

そして
私は全てを女性に話した
その女性は困惑しながらも
私の話をちゃんと聞いてくれて
信じてくれた

だけど女性もどうすればいいか
きっとわからなくなったと思う

とりあえずその日は泊めてもらって
翌日の朝

「私これから仕事なんだけど一緒に行く?」
と聞いてくれたので
仕事に同行する事になった

長い時間電車に乗って
何かイベント会場のような場所に着いた

女性の仕事が終わるまで
私はそのイベント会場で座って待っていた

そして仕事が終わり
「大阪に戻ってごはんを食べに行こう」
と言われて
また長い時間電車に乗って
大阪に戻った




長時間の移動の間
その女性と沢山話をした
その人はとても優しくて
とても温かい人だった

大阪に戻り
その女性の行きつけのお店らしき
飲食店に到着した

しばらくして
女性は席を外した
何か奥でお店の人と
話し込んでいるのがわかった

私は悪い予感がした。。。

女性は席に戻ってくると
私に
「ごめんな。。。
みんなにますみちゃんの事話したら
あかん。って言われて今警察に電話したから」

「もうすぐお巡りさん迎えにくるねん」




今考えれば当たり前の事
だけどその時の私には
最悪の事態だった

今すぐここから
走って逃げ出したい
そう思った


だけど
こんなにも沢山の大人がいて
私が逃げ出しても
すぐに捕まえられてしまう

私は諦めるしかなかった

私はこの時
まだ私を助けてくれた人の
正体を知らなかった。。。