私はおしゃれが大好きで、

いつもお気に入りの洋服を着たり

アクセサリーを付けたりしている。

 

お気に入りを身に着けると

気持ちがルンルンするから

私には欠かせない。

 

自分ではそうは思わないんだけど、

私のセンスは少し尖ってるようで、

すんごくおしゃれだと言われることもあるけれど、

近寄りがたいと言われることもある。

 

たまに、店員さんや友達に、

「もうちょっとこういう格好したら

かわいくなるのにね」

「こういうヘアスタイルにしたら

もっとかわいくなるよ」

と、かわいさに注釈をつけて

提案されることがある。

 

ウフフとだけ微笑んで、

いつも流して気にしてなかったんだけど、

ある日、ふと、

その注釈付きのかわいいを

思い出したんだ。

 

 

 

私、人の言葉を聞く耳がない。

 

誰かの視点というのは

完全に私から欠如している。

 

もし誰かの視点から

俯瞰して見れたなら、

人のアドバイスを聞いてみたなら、

 

色々私の世界は変わっていたかもしれない。

 

 

 

ある日、ふと、

注釈付きのかわいいを

思い出したのは、

唯一の彼に恋を感じ始めた時だった。

 

人のアドバイスを聞いてみた。

アドバイス通りの洋服を着て、

アドバイス通りのヘアスタイルにして、

アドバイス通りのメイクをしてみた。

 

はじめてのことだ。

 

プリンだって湯呑にうつされたら

居心地悪いだろう。

 

私は、自分の入れ物が変わった

居心地の悪さを感じながら、

バランスを失ったように

フワフワして彼に会いに行った。

 

 

 

様子がおかしかった。

それは私か。

でも、彼もそうだった。

 

明らかにいつもと違う雰囲気の私。

 

「いつもと雰囲気が違うね」

と、ストレートに彼は言って、

お猪口にうつされたプリンのように

窮屈そうに目をパチクリさせて

私を見てる。

 

「君じゃないみたいだね。」

「それもかわいいけど、いつもの君がいいね。」

 

そう彼は言葉をつないだ。

 

私には「いつもの君が好きだ」

という風にそれは聞こえた。

 

心の中でガッツポーズした。

 

人のアドバイスを聞いてみてよかったと思った。