今週は雪が降ったかと思ったら桜が咲いて、なんだかわけがわからない天気が続いていますね。今週はお彼岸でもあるので、私は亡き父のお墓参りに行ってきました。ひとりのお墓参りは心が静まってお勧めです。

 

さて、尊敬する精神科医のひとり、水島広子先生の新刊『「毒親」の正体』を読みました。

 

私はアダルト・チルドレン(AC)のカウンセリングを多く扱っているので、水島先生が親を切り口にどんなふうに書かれたのか興味津々で読み進めました。

 

このところ、ACやその親である毒親関連の本やドラマがとても多いけれど、いずれも正式な診断名ではないため精神科医は積極的に語らない印象があります。多くは、当事者とカウンセラーが子どもの立場を切り口に発信しているもので、日本で精神科医が親を切り口に発信するのは極めて珍しいことだと思います。

 

興味深かったのは、毒親のタイプを医学的に4分類していること。経験的に発達障害の親が多いというのは、私も同じ意見です。ただ、不安定な愛着スタイルとの見分けが大事というところでは、両方をもっている親もいるような気がしているので、まだ私が未熟なのでしょう。

 

さすがだなあと思ったのは、水島先生は積極的に毒親を呼んで親子関係にリアルに介入していること。わざわざ親を呼ぶって、相当なエネルギーと覚悟がいることで、私は過去数件しかしたことがありません。

 

嬉しかったのは、毒親との接し方のひとつに「時間制限、48時間以内」ということが書いてあったことです。実は、私もよくACの方が親と会うときに時間制限を勧めていて、私自身2泊は無理と思っていた実感とピッタリ合っていました。

 

水島先生は、毒親を「子どもの不安定な愛着スタイルの基盤を作る親」と定義しています。つまり、目に見える暴力だけが問題ではないということです。また、目指すところは親と仲よくなることではなく、「心の平和」であると断言されています。私もまったく同意見です。

 

水島先生のご著書は、どれも深い内容がとてもわかりやすく書かれているのですが、今回も圧巻です。特に、親に対して「どうしてああなんだろう」とあきらめきれない人には、毒親についての解説部分がとても役に立つと思います。ぜひご一読ください。