翔「なぁ、あれ貸して」
男「え!?」
翔「…あんだろ?」
男「……いや、ありますけど。」
……ん?何の話?
聞かないほうがいいのかな。
翔「…わかった。じゃあ次来る時でいいや」
男「……次来るときかぁ。」
男はニヤニヤしている。
男「じゃ、中にいるので何かあったら呼んでくださいね!」
翔「りょーかーい」
中に入っていく男。
翔「ごめんな、1人にして」
キュンッ
はい、ごちそうさま。
「全然大丈夫!それより…」
私は翔くんに紙袋を差し出した。
中にはこの間借りた、上着が入ってる。
「…一応洗濯したんだけど……あたしの家でしたから、気に入らなかったらクリーニング出すけど……。」
翔「いや、ありがとう」
「こちらこそ、おかげで風邪引かなかったし」
……返したよ、私。
翔くんのもの手放した。
もう何もないよ
なにも・・・。
「……ありがとうございました、いろいろ」
翔「え?」
「いや、なんか、、私ほんとに会えた事が、 幸せな事で……。」
翔「…まじで?そりゃよかった。」
「…握手、してもらえますか?」
ファンに戻るんだ。
私、明日から普通のファンにもどらなきゃ。
涙をこらえ、返事を待つ。
翔「……ごめん。俺、」
…翔くんの口から出た答えに
私は顔を上げる。
まさか、そんな答えが返ってくるなんて思ってなかったし、私そこまで嫌われてるとも思ってなくて
ショックだった
って言うより、なんだろ、
こらえてた涙が反動でこぼれた。
私は翔くんに会えなくなるから寂しいのに
テレビで見るだけじゃ物足りないのに
最後のワガママは聞いてもらえなかった。
「ですよね……」