◎ 私の真実の声は、外に向って発されたものの中にはなく、自分自身の内に向って発されたものの中にある。私にとって最も真実であり純粋である心の響きは、決して外には知られはしない。また、知られることも欲しない。孤独な自己との対話の中に、その静かな響きの中にだけ輝く本物の光がある。



◎ 私が何者であったかと問う人は、私の何を見て私を判定するのであろうか。もしもこの孤独なささやきがその人に永久に通じないとするならば、その人は真実の私に会うことは永久にないだろう。



◎ ルソーやアウレリウスについて、その人がどんな人物であるか、外観だけで様々に称する人がいる。しかし、本物の思想家は、そんなものとは全く無関係の中に、静かな自己との対話の中にのみ真の姿を明らかにするのだ。彼らの前に現れたルソーやアウレリウスの姿は、全く仮の姿でしかないであろう。



◎ 私は、真実の芸術作品は、本当の思想的作品は、自己との静かな対話の中にのみ得られると思う。その声は自分自身の内に語りかけられたものであるが、外に向って独り歩きし、多くの人々の心を慰め励ましてゆく力となるのだ。

 

 (つづく)

 

 

 

 

 

 

 

 

   by 天川貴之

(JDR総合研究所・代表)