5月14日(火) 休暇を取って2年振りに芦ノ湖に行って来ました。

 

最初の予定は初日が陸っぱり2日目がボートでした。しかし芦ノ湖に行ってみると陸っぱりには気配なし。やっても無駄と思い帰るかうえ乃さんにいくかの選択。せっかくここまできたので2年振りにボートでやってみることにしました。

 

時間はすでに6時を回っていますがうえ乃さんに到着。ずいぶんご無沙汰の社長と杉山さんに挨拶。何と杉山さんは自分の名前を覚えていてくれました。記憶力が落ち、頭もボケて来てお客様の名前を覚えられなくなった自分はビックリ。やっぱり商売人はこうでなくっちゃね。そしてやっぱり自分はそろそろ引退だな、と改めて思いました。

 

平日なので空いていると思いましたが先着が4人。キャンプ場下が3人、深良が1人ということ。「何処でもいいや」と思っていましたがキャンプ場には5人分水棹を挿してあるということでキャンプ場へ連れて行ってくれます。

 

久しぶりの杉山さんの引船。ボートの後ろで座っていればいいだけで芦ノ湖のスーパークリアーな大海原を疾走します。「なんだか幸せ。これはまさに殿様気分」料金が高くても(5800円)その価値はあるな、と思いました。

 

キャンプ場下に着くと3人の間の水棹にボートを止めてくれます。先着者のここまでの釣果は1枚のみ。まだまだこれから。早川に2人分、手前にも2人分の水棹が挿してあります。この時間ですでに風はびゅうびゅう。でもキャンプ場下は背中から。これなら釣りになりそうです。

竿は21尺。大海原に向かって打っていく超ワイルドな釣り。水は相変わらずスーパークリアー。フラシを2連結して下ろしても一番下は見えるでしょう。そして天気はピーカン。これでも問題なく釣れるのがここ芦ノ湖。へら鮒釣りにおいて分野をある程度限れば間違いなく日本一の釣り場。何十年もかかって造り上げられた財産としての至福のへら鮒釣りがここにはあります。

向こう岸は見えません。まただだっ広いので船外機ボートが全速力で前を通っても波が来たのかどうか良くわからないほど。まさにワイルド。

 

しかし釣りは結構繊細。完全な回遊待ちですが「魚が居てアタらないのか、居ないのか」の判断がとても難しい。午前中は数回微妙なアタリがあっただけでお凸での折り返し。周りも並びの端の人が数枚釣っただけで全体的に良くなさそう。でもすっかりこういう釣りに慣れた自分は全然余裕。「そのうちに回ってくるだろう」とそのときのための準備をしていきます。

21尺でウキの返しがいいのは「右の手前目」沖に投げると返して来ない。

24尺でドボンも試します。しかし風が強くボートが前後左右に動くためウキが引っ張られて釣りにならない。「ドボンはないな」と納得で再び21尺のバランスに。

 

12時15分。いいなじみの底にエサが入った、とウキを見ていると2節ツン。カラでしたが久しぶりに見る芦ノ湖のへらのアタリ。底釣りなのに宙釣りのようなアタリが出ます。「これはへらだろう。やっと来た」そしてそこから2回連続カラ。「思い出した。ここのへらは意外にシビアなんだよなー」エサを軟らかくするとアタらないので硬いまま小さく付けて対応。3節ドカンと落としてボート釣りでは2年振りの芦ノ湖のへらとご対面。

ここでスケールを忘れたことに気が付きます。なのでこの日は全部適当検寸。ハリスピタリで測って40cmクリアーを確認して満足。それにしても相変わらずめっちゃ引きが強い。どんな大きい奴が上がってくるのかと期待しますが2m下の水中に見える魚体を見て「あれっ?」っていう感じ。

1枚目を釣ってからカラツンに悩んで30分以上かかってやっと釣れた2枚目。これも40cm。ここのレギュラーサイズ。

一段と強烈な引きで期待させた3枚目。42cmでした。それにしても鉛のように重たいへらだ。

 

調子が出てきてこれなら10枚楽勝だと思ったここからアタリが飛びます。風でボートが動いてしまいエサ打ち点が定まりません。それでも並びでやっている常連さんはバシバシ釣ってる。どうやってボートの揺れを抑えているんだろうと不思議でならなかったのですが...。

 

2時に揺れの原因に気が付きます。何と前側の水棹が抜けてました(爆笑)ここの水棹は剣先がデカくて重たい。なので抜けても持ち上がってきません。なので気が付きませんでした(かなり間抜けです)それにしてもいつから抜けてたんだ?舳先の水棹は何度も確認していましたが自分の横にある水棹が抜けているとはびっくり通りでボートがやたらと動く訳です。もう2時を回っていますがもうちょっと釣りたいので杉山さんにSOS。さっきは隣の人の水棹が抜けてしまい来てもらいました。これで本日2度目のSOS。大変申し訳ない。少しも嫌な顔をせずすっ飛んで来てくれる杉山氏に「このお礼は釣果で返すぞ」と強風の中気合を入れ直します。

 

ボートが動かなくなればアタリは戻ります。30分ほどでアタリ復活。

これが3時に釣れた4枚目。重要なのはこの後。願いを込めて打ち込むとまだウキは動きます。隣が上がってしまったので3時でキャンプ場下独り占め。これで釣れなきゃ情けなさ過ぎる。そしてやっと釣りになって来ました。

型は40cmくらいが多い。腹パンは釣れず。

それでも久しぶりの箱根のへらはカッコイイ。こんなにカッコ良かったかな?やっぱ来てないと忘れちゃうな。

4時30分に釣れた午後7枚目でこれが今日の10枚目。特別大きいのも来なかったが平均40cmの良い釣り。しかも久しぶりの芦ノ湖でツ抜けした。並びは3時までで25枚(自分はその段階で3枚笑い泣き)だからしょっぱい釣果ではありますがめちゃくちゃ楽しかった。芦ノ湖のへらに釣り方を最後の最後にやっと思い出せました。

 

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とーちんの仕掛けとエサ
ポイント:キャンプ場下・4席目
水 況 :満水・激澄・減水中
竿     :21尺
釣り方 :底釣り
道糸  :1.5号
針     :上 8号 下 8号
ハリス :上 0.5号 50cm

     下 0.5号 60cm
ウ キ    :クルージャン CHOボディー170(1.2mmパイプに改造)
エサ   :夏・100cc 冬・100cc マッハ120cc 水・170cc
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2年振りのうえ乃さん。去年は少しでも大きいへら鮒を釣りたいと思い釣り場を巡る中でうえ乃さんはリストから外していました。40上は簡単に釣れますが尺半上は中々出ない。それが自分の芦ノ湖のボート釣りの評価。でもこの日の釣りは「大きいのを釣ることだけが巨べら釣りではない」ということを改めて教えてくれます。久しぶりの長竿、両ダンゴの釣りはめっちゃ楽しかった。

 

スーパークリアーな水。向こう岸が見えないほどの大海原に向かって21尺天々の底釣り。風はビュウビュウでボートは大揺れ、湖面は大波小波。

こんな状況で40上が次々釣れてきます。釣りにはここ独特の難しさがありますが釣りが合えば底釣りなのに宙釣りのようなアタリで食って来るへら。もう完全に忘れていたことをこの日思い出しました。本当に、・・・本当に素晴らしい。日本中どこを探してもこんな釣りが出来るところはありません。

 

この日久しぶりにこの釣りをして「釣りが下手になってる」を自覚。自らのレベルを昔のそれに引き戻して、それを維持するためにも今年はもう少し通おうと思いました。何と言ってもここの釣りは楽しい。自分の嗜好のど真ん中の釣り。「ここで釣れなくなったら引退だな」本当にそう思います。

 

他に類を見ない非常に特殊な釣り。大海原に向かって打って行く超ワイルドな釣り。大場所だけに風と波との戦いです。しかしポイントには水棹が挿してあってそれに結ぶだけ。ボートには乗りますが全く漕ぐ必要がありません。初めから「席」が決まっているところは管理釣り場や釣り堀と同じ。水棹(ポイント)の予約も出来ます。欠点は料金が高いのと(5800円)キャパが小さいくらい(全部でも20席くらいです)

 

唯一無二の釣りがいつでも出来る芦ノ湖。定期的に続けられている放流の成果とうえ乃さんの努力のおかげで10年後を考えても安泰間違いなし。どこに行ってもショボっていくへら鮒釣りにおいてここでは明るい未来しか見えません。料金は安くないですがいつまでも大切にしたい宝石のような釣り場。それが自分から見た芦ノ湖です。