「忙しそうやな。大丈夫か?」

「もうちゃんとご飯食べられるようになった?」


最近、会うたびにいろいろと心配して、訊いてきてくれる恋人。


「うん、大丈夫!」


アタシが言うと、彼は決まって黙ってしまう。

そのたびに、


(まずったな……)


と、反省するアタシ。



彼が聞きたいのは、そういう言葉じゃないのだろう。

愚痴を言うのも違うとは思うけれど、ちょっとこう、“弱み”というのか、“あなたにだけ甘えちゃいます”的なものがほしかったのかもしれない。


もちろん、彼のことは頼りにしてるし、彼の存在があるからこそ、いろいろなことを頑張ることができるのだと思っている。


だけど、どうも甘えるのは苦手。

心配されるのは苦手。


「大丈夫か?」なんて訊かれたら、たとえ大丈夫じゃなかったとしても「大丈夫!」と答えてしまう……。




今回の場合は本当に大丈夫ではあったのだけれど……いや、8年以上付き合っているわけだし、アタシ自身、自覚していないような何かを、彼のほうが感じ取っているのかもしれない。

だから、なんとなく頼られていないような寂しさを感じているのかもしれない。


とはいえ、自覚のないことを言葉にすることはできない。

じゃあ、どうするか。


同じ「大丈夫」と言うにしても、「あなたとこうして会えるから大丈夫」だとか、もっと言い方はある。

心配してくれる彼を傷つけないようにしなきゃと思う今日このごろ。