どうしてアタシは、今これを書いているんやろう??
ホンマやったら、デートのはずやのに……。
どうしてアタシは、「いいよ、いいよ」って言ってしまうんやろう??
ホンマは、「あ~ぁ」って思ってるのに……。
はじまりは、一昨日の夜にかかってきた電話だった。
「あのな、ひじょ~に申し訳ないんやけど、土曜日、アカンくなったねん……」
「あ、そうなんや」
(えぇ、うそぉ~!!)
「昨日の大寒波で、仕事に使う商品の搬送がストップしてしまって、今かなりパニック状態やねん。だから土曜日に休みが取れんくなった……」
「え~、大変やん(>_<) そっか、じゃあしかたがないね」
今ここで、「ヤだよぉ」って言えば、可愛い女だと思ってもらえるのかもしれない。
でも、ついついものわかりのいい女を演じてしまうのは、もうアタシの中に住み着いた性なのだろうか。
「ホンマ、ごめんな~!?」
「うん、いいよ~。がんばってな」
「ありがとう。……なんか前に会ってからずいぶんあいだがあいてしまったなぁ……」
「いいよ、いいよ、そんなん」
(もっとあいてたときもあるし……)
言おうかと思ったけど、やめといた。
そう、最近でこそ、月2回ぐらい会えるようになったけれど、昔は良くて月1回だった。
下手すると3ヶ月以上会えないこともあり、それに比べれば今回の“あいだ”なんて何でもない。
「来週はたぶん大丈夫やと思うし」
「うん、わかった」
彼と話しているうちに、だんだんと、心から納得している自分に気がついた。
アタシって、本気でものわかりがいいのだろうか?
それとも、単に騙されやすいバカなのだろうか?
そう言えば昔、ある男性から、「栞は男にとっては都合のいい女やわ」と言われた。
彼氏と数ヶ月、会えないこともある、と話したときのことだった。
「彼氏、浮気してるんちゃう?」
「え~、そういう人ちゃうよ」
アタシは、鼻で笑った。
「わからんで~。そう見えへん人に限って、影でしてたりするんやから」
「そんなもんかなぁ??」
「そんなもんやで。もしさ、ホンマに彼氏が浮気してたらどうする?」
アタシは少し考えた。
「う~ん……でも、それでも時間を見つけて会おうとしてくれるんなら、アタシはそれでいいかな」
「え、いいの!?」
ものすごく驚いたような顔で、彼はアタシを見た。
「だって、うちらって家が遠いし、休みも合わへん、会おうとするだけでもお互い苦労するやん。もし単なる遊びのつもりやったら、そんな不便な女、真っ先に切ると思うねん。でも、無理してでも時間作って会おうとしてくれる。アタシはそれだけで充分やな」
彼は、あきれたような顔をした。
「彼氏が自分以外の女と遊んでたら嫌じゃない?」
「でも、アタシだって今、彼氏以外の男の人と会ってるやろ? そのぐらいはいいんちゃうの?」
「じゃあ、エッチしてたら?」
さらに突っ込んだ質問をする彼。
「う~ん……それは嫌やけど、もしホンマにそういうことがあったとしたら、自分にも責任があるのかもしれへんし、彼氏を責めることはできひんな……」
「……栞ってさ、いい女やな。俺が彼氏になりたいわ」
「え??」
戸惑うアタシ。
「浮気をしても許してくれるし、会える時間がなくても文句言わへん。今まではたまたまいい男とばっかり付き合ってきたかもしれへんけど、悪い男やったら利用されるで。俺やったらたぶん、平気で浮気すると思うわ(笑)」
アタシは、しばらく黙っていた。
「栞はな、男にとっては都合のいい女やねん。だから手放さへんだけかもしれんで」
「……う~ん」
納得のいかない顔をしたアタシに、彼はさらに続ける。
「別にわざわざ切る必要もないしさ」
「そうなんかなぁ……。でも、そういうタイプの男の人って、アタシみたいな女に興味示さへんのちゃう?」
「いやいや、男なんて、遊びの女は、隣に並ばせなくないほどのブサイクじゃない限り、みな許容範囲やで」
アタシはそれを聞いて少しショックを受けた。
彼は、そんなアタシに満足した様子で、
「まぁ、俺の経験上、栞とその彼氏は続かへんな。俺みたいなタイプじゃないとアカンで」
と、自身満々な表情を浮かべる。
「え、でもさっき、自分なら平気で浮気するって言ったやん」
「うそうそ。そんなことするわけないやん! 栞みたいないい女がいれば。第一、俺らは家近いし」
言うことがコロコロと変わるヤツだなぁと苦笑するアタシ。
「でも、アタシは今の彼氏がいいねん」
「浮気されてたとしても?」
「うん」
アタシは、自分に言い聞かせるようにうなずいた。
「一途やなぁ。俺、マジで惚れるかも(笑)」
「もう、軽すぎ! ホンマに女なら誰でもいいんやなぁ!!」
彼の言う“悪い男”には、アタシのほうが魅力を感じないかも……と、少し思った。
あれからもう1年半。
“栞とその彼氏は続かへんな”と言われてから、倍の年月が過ぎた。
アタシと彼氏は今でも変わりなく続いていて、少なくともアタシは、前よりも彼のことを好きだと思う。
「“会いたい”とか言ってみたらいいねん。女の子からそんなこと言われたら、絶対飛んでいくで!」
「いや、飛んで来れるような距離ちゃうし(笑) 無理なこと言っても困るだけやろ?」
「困らせたったらいいねん! そんなものわかりのいい女、可愛くないで」
「……うん、わかってる。でも今はまだ無理……」
果たして、1年半経った今なら、無理だとわかっていても「会いたい」と言えるだろうか?
答えはやっぱり“NO”。
成長してないなぁ、アタシ。
でも、これでうまくいってるなら、ま、いっか。
マイペースで、“可愛い女”を目指していこう。
心の中ではいつも思ってるから。
会いたいよ♪
ホンマやったら、デートのはずやのに……。
どうしてアタシは、「いいよ、いいよ」って言ってしまうんやろう??
ホンマは、「あ~ぁ」って思ってるのに……。
はじまりは、一昨日の夜にかかってきた電話だった。
「あのな、ひじょ~に申し訳ないんやけど、土曜日、アカンくなったねん……」
「あ、そうなんや」
(えぇ、うそぉ~!!)
「昨日の大寒波で、仕事に使う商品の搬送がストップしてしまって、今かなりパニック状態やねん。だから土曜日に休みが取れんくなった……」
「え~、大変やん(>_<) そっか、じゃあしかたがないね」
今ここで、「ヤだよぉ」って言えば、可愛い女だと思ってもらえるのかもしれない。
でも、ついついものわかりのいい女を演じてしまうのは、もうアタシの中に住み着いた性なのだろうか。
「ホンマ、ごめんな~!?」
「うん、いいよ~。がんばってな」
「ありがとう。……なんか前に会ってからずいぶんあいだがあいてしまったなぁ……」
「いいよ、いいよ、そんなん」
(もっとあいてたときもあるし……)
言おうかと思ったけど、やめといた。
そう、最近でこそ、月2回ぐらい会えるようになったけれど、昔は良くて月1回だった。
下手すると3ヶ月以上会えないこともあり、それに比べれば今回の“あいだ”なんて何でもない。
「来週はたぶん大丈夫やと思うし」
「うん、わかった」
彼と話しているうちに、だんだんと、心から納得している自分に気がついた。
アタシって、本気でものわかりがいいのだろうか?
それとも、単に騙されやすいバカなのだろうか?
そう言えば昔、ある男性から、「栞は男にとっては都合のいい女やわ」と言われた。
彼氏と数ヶ月、会えないこともある、と話したときのことだった。
「彼氏、浮気してるんちゃう?」
「え~、そういう人ちゃうよ」
アタシは、鼻で笑った。
「わからんで~。そう見えへん人に限って、影でしてたりするんやから」
「そんなもんかなぁ??」
「そんなもんやで。もしさ、ホンマに彼氏が浮気してたらどうする?」
アタシは少し考えた。
「う~ん……でも、それでも時間を見つけて会おうとしてくれるんなら、アタシはそれでいいかな」
「え、いいの!?」
ものすごく驚いたような顔で、彼はアタシを見た。
「だって、うちらって家が遠いし、休みも合わへん、会おうとするだけでもお互い苦労するやん。もし単なる遊びのつもりやったら、そんな不便な女、真っ先に切ると思うねん。でも、無理してでも時間作って会おうとしてくれる。アタシはそれだけで充分やな」
彼は、あきれたような顔をした。
「彼氏が自分以外の女と遊んでたら嫌じゃない?」
「でも、アタシだって今、彼氏以外の男の人と会ってるやろ? そのぐらいはいいんちゃうの?」
「じゃあ、エッチしてたら?」
さらに突っ込んだ質問をする彼。
「う~ん……それは嫌やけど、もしホンマにそういうことがあったとしたら、自分にも責任があるのかもしれへんし、彼氏を責めることはできひんな……」
「……栞ってさ、いい女やな。俺が彼氏になりたいわ」
「え??」
戸惑うアタシ。
「浮気をしても許してくれるし、会える時間がなくても文句言わへん。今まではたまたまいい男とばっかり付き合ってきたかもしれへんけど、悪い男やったら利用されるで。俺やったらたぶん、平気で浮気すると思うわ(笑)」
アタシは、しばらく黙っていた。
「栞はな、男にとっては都合のいい女やねん。だから手放さへんだけかもしれんで」
「……う~ん」
納得のいかない顔をしたアタシに、彼はさらに続ける。
「別にわざわざ切る必要もないしさ」
「そうなんかなぁ……。でも、そういうタイプの男の人って、アタシみたいな女に興味示さへんのちゃう?」
「いやいや、男なんて、遊びの女は、隣に並ばせなくないほどのブサイクじゃない限り、みな許容範囲やで」
アタシはそれを聞いて少しショックを受けた。
彼は、そんなアタシに満足した様子で、
「まぁ、俺の経験上、栞とその彼氏は続かへんな。俺みたいなタイプじゃないとアカンで」
と、自身満々な表情を浮かべる。
「え、でもさっき、自分なら平気で浮気するって言ったやん」
「うそうそ。そんなことするわけないやん! 栞みたいないい女がいれば。第一、俺らは家近いし」
言うことがコロコロと変わるヤツだなぁと苦笑するアタシ。
「でも、アタシは今の彼氏がいいねん」
「浮気されてたとしても?」
「うん」
アタシは、自分に言い聞かせるようにうなずいた。
「一途やなぁ。俺、マジで惚れるかも(笑)」
「もう、軽すぎ! ホンマに女なら誰でもいいんやなぁ!!」
彼の言う“悪い男”には、アタシのほうが魅力を感じないかも……と、少し思った。
あれからもう1年半。
“栞とその彼氏は続かへんな”と言われてから、倍の年月が過ぎた。
アタシと彼氏は今でも変わりなく続いていて、少なくともアタシは、前よりも彼のことを好きだと思う。
「“会いたい”とか言ってみたらいいねん。女の子からそんなこと言われたら、絶対飛んでいくで!」
「いや、飛んで来れるような距離ちゃうし(笑) 無理なこと言っても困るだけやろ?」
「困らせたったらいいねん! そんなものわかりのいい女、可愛くないで」
「……うん、わかってる。でも今はまだ無理……」
果たして、1年半経った今なら、無理だとわかっていても「会いたい」と言えるだろうか?
答えはやっぱり“NO”。
成長してないなぁ、アタシ。
でも、これでうまくいってるなら、ま、いっか。
マイペースで、“可愛い女”を目指していこう。
心の中ではいつも思ってるから。
会いたいよ♪