「明日、予定入ってるかい?」

先週の金曜日に入ってきた彼氏からのメール。
「SHOCK」に行くことをメールしなきゃ、と思っていた矢先のことだった。



本当は2ヶ月も前からわかっていたことだったのに、なんだか気恥ずかしくて言い出せず、ズルズルと、いつの間にか前日まで持ち越してしまっていた。

「今日こそ言おう!」
デートのたびに、そう意気込んで家を出るのだけど、結局きっかけをつかめずに話せずじまい……。
かと言って、わざわざそれだけのためにメールするってのも大層かなと思ってしまうのだ。

とうとう迎えた前日、
(彼からの誘いはないかもしれへんけど、万が一あったらアカンから、その前にちゃんと言わんと!)
そう思い、携帯を開いたはいいけれど、どう書いていいのかがわからない。

(まだ仕事かもしれへんし、もうちょっとあとにしよ)
あて先だけを入力したメールを中止し、携帯を閉じる。
ついつい自分の勇気のない行動を正当化してしまうのは、アタシの悪い癖だった。


それから1時間後。
(あの人もこのテレビ観てるはずやから、これが終わってからにしよ)
またしても、ズルズルと正当化し続けていたアタシのもとへ、彼からメールが届いたのだ。

読んだ瞬間、いや、メールが届いた瞬間、「しまった!!」と思った。
でも、もう遅い。
自分のバカさ加減にほとほとあきれてしまう。

彼の誘いを断るなんて、今までしたことなかったのに……

しばらく後悔の海でおぼれかけていた。


しかし、ひとり後悔していてもしかたがない。
アタシはようやく携帯を開け、返信文を作成し始める。



素直に
正直に
ありのままを……




まず謝罪の気持ちを、
そして、今ちょうどメールを送ろうと思っていたことを、
さらに、恥ずかしくて言い出せなかったことを、
しっかりとコトバに心を込める。


彼は、すぐに了解してくれた。
いや、了解してくれることはわかっている。
だからこそ、つらい……。

おまけに、「急に誘ってごめんな。また誘うから」などと言う。
どうしてこの人はこんなにやさしいんだろう。
なのに、アタシは自分勝手な理由ですごく嫌な思いをさせてしまった。
防ぐことはできたはずなのに、これまた自分勝手な理由で、それを怠ってしまった。

だけど彼は、そんなアタシを責めるどころか、自分の非を探しさえしてくれる。
申し訳なくて……そして、すごく愛しかった。





月曜日、彼が再び誘いのメールをくれた。
今度の土曜日に会うこととなる。
いつもは、東京へ行くぐらいでお土産は買って帰らないのだけど、今回はお詫びと感謝の想いを託すため、しっかりと用意した。

バレンタインデーも近いけれど、それは翌週会えることを期待して、次へ回そう。
第一、土曜日に会うんじゃ、作る暇がない。
やっぱり、とびきりの愛を込めて、納得のいくものを作りたいもん。


アタシの想い、しっかりとあなたにとどきますように……