案の定、呉服屋さんに呼び出された。
オババはまた人様の家の花を摘んできた。
どこだかはわからない。
もちろん聞いてみても、曖昧な返事であっちだかこっちだか、山だか…
聞けば聞くほど笑ってごまかしている。
お客さんが来たので強制排除した。
今はオババの自宅。
仏壇に手を合わせるついでに居座ってみる。
鼻歌まじりに掃除を始めて、追い出しにかかっている。
あなたの面倒はみたくないから、帰った方がいいんじゃない?
隣(の家)の掃除した方がいいんじゃない?
終わったら私は仕事に行くから
あなたがいると(ゴニョゴニョ)
一人にできないから(ゴニョゴニョ)
要するに「出ていけ」と。
しきりに「仕事に行くから」を連呼する。
都度「休みです」と言うがもちろん覚えてない。
ていうか、聞いてない。聞こえてない。
何度も聞き返される。
音は聞こえているのだが、想定外の単語につき聞き取れない。
聞き取れたときは「あぁ良かった」と言う。
休みたいのか?
「あなたが帰ったら鍵を閉めて買い物に行くけど…」
とにかくグダグダと帰らせる為の言葉を吐き続ける。
自分は空気を読まずに呉服屋さんに居座るくせに、他人にはハッキリと言わずに空気を読ませようとする。
都合の悪い言葉は聞こえない。
ワガママの極致。