耳下腺腫瘍の手術後、かなり呼吸が苦しい状態から悪夢のような長い夜が過ぎて、翌朝になりました。朝6時が起床時間です。消灯時間が21:00なので超絶健康的な生活ですね。
まず検温(体温と血圧)があり、この時に両脚に装着されていた血流をつくる空気圧システム(耳下腺腫瘍の手術後これを付けていた人は過去にいなかった)が看護師さんの手で外されました。 まだ尿道カテーテルが入ったままなのでベッドから離れる事はできません。
そんな状態でも朝7時を過ぎると朝食が運ばれて来ました。
「常食だ。。」
過去にこの手術を受けた方々のように半粥からとかではなく、いきなり600Kcal超の常食フルメニューでした。
術後の食事は「噛む(咀嚼する)と痛む」と聞いていたので不安でしたが、おそるおそる食べ始めると
「あれ? 平気だ」
そもそも術後しばらくは「口が大きく開かない」と聞いていたので、固形物をすりつぶして食べるために小さなスリコギをアマゾンで購入して、いつでも使えるようにスタンバイさせていましたが不要でした。
しかし、悪夢の昨夜のダメージが体にいまだ残る状態で食欲はありませんでした。それでも「出された食事を半分以上、食べられるようになると点滴が取れる」と聞いていたので、それを目標に詰め込みました。
結局、この後の食事は全て完食していた(基本的に出された食べ物を残すのは避けるタイプ)のですが、点滴は手術2日後の夕食前になってようやく取れました。
あるいは点滴に痛み止めが入っていたのかも知れません。2日後の朝に点滴を取り換えた看護師さんに聞くと「この点滴には(他のものは)何も入ってないです」と言っていたので。
9時頃になると「13階の処置室で診察に呼ばれました」と看護師さんから声がかかりました。 処置室に行く前に尿道カテーテルが抜かれました。かなり痛い(抜かれた後のトイレはしばらくの間は激痛)と聞いていましたが、熟練の技なのか、ほとんど痛みはありませんでした。その後のトイレでも全く痛みを感じる事はありません。
処置室に行くとM先生の診察です。
M先生「状態はどうですか?」
自分「痛みは無いです。食事もほとんど食べました」
傷のところを少し押したりしただけで、この日の診察は終了。
12:00になると昼食の時間です、ようやく頭もハッキリしてきて、食欲も出てきて完食。
この頃、家族が見舞いに来てくれました。今年に入って倒れて救急車で運ばれた家族もいたので、心配をかけないように元気をアピールしました。
この後は何もする事が無いので時間を持て余します。。
持ってきた本の中から、軽く読めそうなコミック版「風の谷のナウシカ」を読み始めました。
首にはドレーン、右手には点滴、左手の指にはまだ医用テレメータ端末が。
左手のテレメータ端末については、入院時に持ち込んでいたタブレット端末で、型番などからその機能を調べて、これだけ体調が安定してきたらもう不要なものだろうとわかったので、自分で外してしまいました。
ヒマを持て余す時間が続くので、地下階にあるコンビニ(ファミマ)に行ってみる事にしました。 病室の扉を開けると、すぐ脇に看護師さんが業務用ノートパソコンに数値を入力していました。
「この状態で地下のコンビニに行くと驚かれますかね?」
点滴を引いて首からはドレーン(血が見えるパイプ+血袋付き)。入院前の外来診察時に何度か来た時には、このレベルのビジュアルの患者さんはコンビニには来ていませんでした。
特に問題無さそうだったので点滴を引きながら行ってみると、自分の姿を見た人が皆、道を開けてくれます。
ある人は立ちすくんで自分の全身をしばらく眺めていましたw
レジの男性は向こうから手を伸ばして自分が抱えていた商品を受け取り、レジ袋も同様にこちらの手元まで運んでくれました。
そんなふうに過ごしているうちに午後の検温があり、18:00になると夕食の時間です。
夕食が終わると消灯時間まではそんなに時間がありません。
自分が入院した8階のA病棟には小児科の入院患者もいたので、長い睡眠時間が必要な小児患者や、看護師さんの負担軽減も考えて、消灯時間になると照明を暗くしておとなしく寝る事にしていました。
普段、夜の9時に眠る事はほとんど無かったので、この時間に眠りにつくと午前4時頃には目が覚めてしまいます。その時間でもナースコールが鳴りっぱなしの夜が何度かありました。
病室の窓から朝が来るのを眺めているのも悪くないものでした。
大学病院の朝は早く、朝6時を過ぎると病室の窓から全体が眺められる病院関係者用の駐車場に車が少しずつ入り始めます。7時台になると何台も立て続けに来るようになり、8時台になると空いている場所を探して回る事に。
いつもそこに来るメルセデスやポルシェのような高級外車が全体の何割かあり、やはり医療現場はこれだけ重い責任を負わされる仕事なので高収入でもなければとてもやっていられないだろうなと、入院してみて感じました。
手術後2日目になると、夕食前の検温時に点滴が取れたくらいで、他は前日とほとんど変化の無い1日で、術後は大した痛みも無かったので、かなり退屈してきます。
病室からの眺めは良いのですが、それも毎日続くと退屈してきます。病棟のラウンジに行って違う景色を眺めたりしていました。
入院によって体力が落ちる事が心配だったので、よく歩く事を心がけていました。
点滴からの栄養と、3食ほとんど完食していたので、入院して逆に太ってきた事もあり。。
手術後3日目の朝の診察で、ようやくドレーンが抜かれて(この時、ドレーンが刺さっていた穴の所が少しだけ痛かった)、体に付いていたパイプ類は全て取れました。
「明日で圧迫が取れます。基本的に圧迫が取れると退院なので、明日でも明後日でもご家族にお迎えの連絡をして下さい」
え、もう退院の話なんですか。まだ手術後3日しか経ってないんですが。。
誰にも迎えに来てもらう予定は無いので、翌日の退院と決めました。
この間、診察の時には他の医師でも、主治医のM先生は外来の診察の前や、終わった後に何度も病室まで来てくれていました。
退院日の朝、朝食後に病室にM先生が来た時に
自分「退院後、何か特に気をつける事とかありますか?」
M先生「何もありません」
自分「この後シャワー浴びても平気ですか?」
M先生「全然大丈夫です」
過去に耳下腺腫瘍で手術をされた方々には「退院後一週間は入院時と同様に唾液が出やすい物はあまり食べないように」とかいろいろあったんですが、そうした話も一切無く。
手術後は入浴もシャワーも浴びる事ができない日が続きましたが、自分は資生堂の「水のいらないシャンプー」を持ち込んで使っていました。ステマではなくこれは結構使えました。シャンプーした時のような爽快感はありませんが、洗髪できない事で生じる痒みや臭いは、これを使う事で数日間ならばそこそこ解消できそうに感じました。
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体は泡のセッケンを付けた濡らしたタオルでまず拭き、次に水でしっとり濡らしたタオルでよく拭いていました。
同じ病気で手術をされた他の方々にくらべて、あまりにも退院が早いので、逆に退院後すぐに単身生活に戻って普通にやっていけるか不安だと、ある看護師さんに軽い気持ちでお話したところ、退院前に複数の看護師さんがメンタル面のケアで病室に来ては、いろいろとお話をしてくれました。
自分は何もしなくても3食出してもらえて、看護師さんは皆さんとても親切で優しく、自分はただ安静にしているだけの甘やかしてもらい続ける生活が毎日続いたので、このままでは自分がダメになってしまいそうな別の不安もあったので、最後はそうした甘えを振り切る思いで病院を後にしました。
かわいい看護師さんお2人に見送られて、後ろ髪を引かれる思いでしたが。。