今日はある人の伝記の様な本。


既読の本だが、何回読んでもその人生には感心してしまう。




14冊目


読了日 2011年6月16日


読んだ本 「真剣師 小池重明」 団鬼六



筆者の団さんは官能小説で有名だが、将棋の世界でも名の知れた人である。


先月惜しくも亡くなってしまった。


本作は団さんが一時断筆していたのを作家活動を再開した1作目。


取り上げられている「小池重明」は真剣師(賭け将棋を生業とする者)として有名な人物であり、アマ日本一にも輝いたことのある人である。


描かれているのは、彼の少年時代から死に至るまでの44年間におけるエピソードを本人の懺悔録や本人への取材をもとにして書かれている。



一言でいえば、ろくでもない人物。


飲む、打つ、買うは当たり前。

人妻と駆け落ちすること3回。

寸借詐欺騒動で誌面を賑わす。

恩人の金品を拝借しては逃走、逃亡を繰り返す。


だが、将棋はめっぽう強い。


そして敵は多いものの、多くの人に愛され、憎めない性格。



一見相反するよような評価が本書を読むと妙に納得できる。


いかにして彼のような人間が形成されたのか、凡人たる自分には考えの及ぶところではないが、彼の壮絶な(本人にはそれが普通だったのであろうが・・・)人生の一端を知るにつれ、最早痛快ささえ感じる。



将棋に興味のない方でも、彼の人生にちょっとでも興味が沸いたら是非読んでいただきたい。


彼の他に類を見ない人生と、彼に対する筆者の思いがきっと何かを残すだろう。