壊滅

 

 

先日、ベニオチョウがトランペットコーラルを啄むため、60cm水槽に移した話で終わりました。

 

結論から言うと、これが最大の間違いでした。

 

私はいくつか海水水槽を立ち上げていますが、それぞれ水槽のキャラクターがあり、許容できる生体数ややギリギリで飼育している水槽が多いです。60cm水槽は、まだ余裕があると思っての移動でした。

 

元々先住魚としてフウライチョウチョウウオとカクレが2匹おり、3匹とも健康状態は良好でした。

そこへベニオチョウを入れたわけですが、ベニオチョウとフウライチョウチョウウオの体格差が7cmと10cm程度の差がありました。

しばらく観察していたところ、やはり先住のフウライチョウチョウウオが追いかけておりましたが、隠れ場所があり、翌日には追いかける頻度が落ちているように見えていたこと、そしてベニオチョウも先住魚も、食欲は落ちておらず、特に病気らしい感じもないため、このまま仲良くやっていけるかと思っていました。

 

3日目頃に、いつものように餌をあげると、ベニオチョウがあまり餌を食べません。よく見ると体表が白い斑点が多く出ており、この時点では私は白点病になってしまった、と思い、急ぎ別の隔離水槽に入れ、様子を見ることにしました。

 

しかし翌日には、ベニオチョウは亡くなってしまいました。あまりにも急峻な経過でした。

 

ただ、仕事もありゆっくり観察できる時間もなく、なんでこうなったんだろうと色々考えていたところ、これはウーディウム病なのではないかという考えに至りました。

 

水槽は決してバクテリアのバランスが悪いと言うことはなく、かなり状態は安定していました。ウーディウム病を経験したことはありませんでしたが、以前30cm水槽でカクレクマノミを飼っていたときに、ショップから買って水合わせをして数日で2匹とも亡くなった事があり、その際にカクレ病という病気ではないかと判断した経緯があったのですが、あの時のような足の速さを感じていて、魚の体表も同じような経過を辿っていました。

 

 

であれば、非常にまずい状況だと考えました。なぜならば、基本的に同じタンクメイトはまず助からないからです。

しかし、帰宅後に60cm水槽を確認すると、魚たちは特に異常がなく、餌もよく食べていました。

杞憂だったかと安堵していたのですが、悪い予感は当たるもので、翌日帰宅し水槽を見ると、阿鼻叫喚と言うべき状況になっていました。

 

1匹のカクレが亡くなってサンゴ砂の上に横たわっており、皮膚にはカクレ病と同じような白いベタっとした感じが出ていました。その隣でフウライチョウチョウウオが、皮下出血跡と全身の白いモヤっとした感じで覆われ、息も絶え絶えになっていました。皮下出血斑は、恐らくフラフラして泳いでいた時にライブロックなどにぶつかったのではないかと思いました。もう1匹のカクレは体表に白点がたくさん出ておりましたが、泳ぎは問題ありませんでした。

 

正直、フウライチョウチョウウオは厳しいと思いましたが、ライブロックを全て破棄し、サンゴを別の場所へ隔離し、急ぎキュプラミンを購入しにショップへ。

 

 

アンモガードも一緒に購入しました。銅の試験薬は売っていなかったので、シーケムの試験薬をアマゾンで購入しました。

 

さっそく適量を規定通りに投入しましたが、数時間後にはフウライチョウチョウウオが息を引き取りました。

 

翌日銅の濃度を測ったところ、規定値に達しておらず、追加のキュプラミンを滴下。残っているカクレは粘膜の状態が悪化しており、バケツリレーをすることにしました。現在の60cm水槽周りの様子です。

 

 

 

 

あっという間にのんびりした風景から、殺風景な水槽に変わってしまいました。

 

間違いなくウーディウム病と考えます。恐らくベニオチョウが持っており、完全に除去できていなかった状態で、この水槽に入ってきたことで喧嘩が起こり、タンクメイト全てにストレスがかかり、ウーディウム病を発症したのだと思います。

 

不思議なことに、このタンクには他にサツキハゼが2匹いるのですが、この子たちは体調に全くの問題がなく、ピンピンしています。

以前カクレ病を起こした水槽で、そのあと割とすぐにハタタテハゼを入れたことがあったのですが、その時も確かハタタテハゼがピンピンしていたのを覚えています。ハゼはやはり病気には滅法強いですね。そしてチョウチョウウオは本当に病気になりやすい。カクレはその中間といった感じです。

 

シーケムの銅の検査薬は正直いって判別がわかりにくく、セラの試験薬を取り寄せています。2週間程度は治療適正値を維持し、病原体を抹殺するつもりです。

 

今回の件を通じて、改めて検疫水槽や、キュプラミンを扱えるようになることの重要性を痛感しました。白点病はバケツリレーで良いとは思いますが、検疫水槽があれば、そこへ移して銅で治療すれば良いのです。ただ、無脊椎動物はキュプラミンで死にますので、サンゴや貝、ヤドカリなどは入れることはできません。サンゴ水槽の知識と経験は少しずつ増えてきていましたが、魚の飼育についてはまだまだ経験と知識が足りないと痛感してしました。検疫水槽については今後どのような形とすべきか、検討中です。

 

なんとか生き残ってくれている1匹のカクレが、ウーディウム病を克服してくれることを祈るばかりですが、どうなるでしょうか。当面はバケツリレーを続けます。

 

実は同タイミングで、45cm水槽のヌメリトサカにヒラムシがついている事がわかり、駆除しておりました。Coral RX PROを購入し、既定の方法で使用、その後にDIPに漬けて戻しました。ヒラムシは綺麗になったように見えます。少し縮んでいましたが、アミノ酸などを投与して次第に調子を戻してきました。

 

 

黄色っぽいのはアミノ酸などを投与したためです。ここの水槽はだいぶ藻が減ってきて、見た目はかなり綺麗。

 

 

センジュイソギンチャクは、FeとIを微量ながら投与していたところ、最近動くようになってきました。動けるだけの体力が回復してきたのでしょうか。正直このまま衰弱していくのかと思っていたので、想定外です。ポリプは相変わらず短いのですが、よく動き回っています。

 

 

最後に90cm全景を。30cmのハイマツは白化が進んでいたのでニッパーで切断し、DIPに漬けて健康な部分をフラグ化しました。初めてフラグを作成しましたが、どのくらい生き残るでしょうか。ショウガは光が当たっていないところの白化は起きましたが、ハイマツと異なりそれ以上の白化が起きず、ポリプは咲いています。スギノキは今のところ大丈夫。

 

正直、色々ありすぎて大変な週末でした。チョウチョウウオはやはり簡単ではないと実感しました。しかし、ここで諦めはしません。

思っている以上にデリケートな魚であり、できる限り余裕を持った飼育で、できれば恐らくチョウチョウウオ類に関しては同一タンクで1匹だけとし、他は別魚種のタンクメイトはいて良いと思いますが、そのチョウチョウウオを丁寧に飼っていく事が肝なのかなと思っています。

他の魚水槽で、ヤッコやチョウチョウウオの多頭飼いをしておられる方のブログなどを見て、こういったものなのかと思っていましたが、思っている以上に難しいことだったのですね。