気付き

 

淡水水槽自体は、思い返せば大学生頃に初めてから、なんとなくやめたり再開したりを繰り返してきました。今と繋がっている淡水水槽は、7年ほど前から始めたのではないかと思います。

 

 

レイアウト、ソイル、水換え、ライト・・・。

色々やるのですが、今までやってきた中で、一番今が上手くいっていると思います。理由は明白で、水換えをサボらなくなったからです。あと、立ち上げ初期に試薬で成分評価をしっかり続けたからです。

 

最初頃は、これをめんどくさがるんですよね。なんとなくやるというか、外部フィルターの清掃もサボって、水換えも次第に頻度が落ちて、コケが生えて綺麗にするけど、水草に生えてどうしていいのか分からなくなってヤマトヌマエビを入れても上手くいかなかったりして。

 

亜硝酸、硝酸塩の硝化反応を理解し、溜まれば水換えをする。リン酸は吸着剤で除去。CO2を規定通り添加する。消灯時は曝気する。時々カリウムや鉄剤の補給。最初にイニシャルスティックなどを底床に入れておく。週に1回、1/3ほど水換え。時々水草をトリミングする。たったのこれだけなのです。1−2ヶ月ほどでバクテリアが安定し、コケなども生体に任せておけばほぼ手入れ不要の状態になります。餌はかなり与えている方ですが、全く問題ありません。

 

ただ、これを初心者のうちは、すごくめんどくさく感じるんですよね。でも、海水水槽を初めてから、淡水水槽のこれらのルーチンワークが、どれほど簡単だったか、思い知らされることになりました。

 

海水水槽と淡水水槽の最大の違いは、やはり生体やサンゴの値段だと思います。特にサンゴが高い。とても学生さんが気軽に手を出すことができないぐらい高い。

 

 

生体は、物によりますが、値段としては正直この程度か、といった程度です。というのは、頻回に買うことはないから。そしていきなり初心者が高級なヤッコやチョウチョウウオに手を出すことはないから。

 

海水は、溶存酸素量が淡水とは比較にならないほど少なく、上手く曝気するシステムを構築していないと、容易に酸欠を起こします。ですから、水槽容量で言えば、概ね10Lでデバスズメダイ1匹程度が限界です。ということは、60cm水槽でもせいぜい5匹で程度なのです。スキマーを入れることで、もう少し許容できる数が増えるとは思います。私もそうしています。

 

そして、亜硝酸、硝酸塩の硝化反応の流れと、脱窒反応の理解をすること。ORP値に従い、酸化還元反応が起きることを理解すること。脱窒を理解することは、硫化水素、硫酸還元についても理解することを意味します。基本的に脱窒を起こすシステムをタンクかフィルター、サンプ内に形成すること。水流を理解し、曝気をした溶存酸素の多い海水が水槽内を循環するように気をつけること。これだけで硫酸還元を過剰に恐れずに済むこととなります。

 

そしてサンゴは、決して水草の代わりになるものではありません。これが、淡水から海水を始めた時に、一番理解できない部分でした。水草の代わりになるのは、海藻です。海草も代わりになりますが、難易度が跳ね上がります。海藻と海草は、違います。SONOさんが色々と記事を上げてくださっていますので、興味があれば見てください。海藻も海草も、1つ水槽を立ち上げておりますが、海藻は一度根付くと、爆発的に増えていきます。ただ、一定の照明時間後に溶けていきますので、これが自然のサイクルなのだと理解し飼育することが大事です。水草とは似て非なるものです。

 

そして、海藻と海草は、いずれもまだよくわかっていない部分が多く、これから少しずつ情報が集まっていく部分であること、入手が難しく、単調なカラーとなりがちなので、初心者にはお勧めしかねることから、最初はカクレクマノミなどの生体の導入と、サンゴの導入といったことになると思います。

 

 

ここで1つ挫けそうになるのが、サンゴといってもソフトコーラル・LPS・SPSといった大きな区分があり、ここをちゃんと理解しておく必要があります。

 

難易度はソフトコーラル<LPS<SPSといったところであること、ソフトコーラルは比較的安いものもありますが、それでも数千円以上はすること、LPS以上であれば、ほぼ1万〜2万円前後はすること、最初はソフトコーラルから始めることが多いと思いますが、次第にLPSの誘惑に負けて購入することになること、水槽のバクテリアが立ち上がっていないと、亜硝酸が検出されない程度の水質では、サンゴが調子を崩すことがあること、サンゴは一度調子を崩すと立て直すのが大変なこと、特にLPSはブラウンジュリーを起こすとどんどん痩せていくこと、それぞれのサンゴに合わせた水質、照明の程度、水流の強さ、毒性と他の珊瑚との相性などを理解する必要があり、これは飼ってみないとわからない部分も多いと思います。調子が悪いと明らかにポリプの咲き具合が悪くなり、それが続くと次第にサンゴは死に近づいていきます。かといって位置を変えたりするとその都度調子を崩すため、一度サンゴはここという場所に置いた後は、頻回に変化を与えることは極力避けなければいけません。

 

よく海水水槽が、サンゴ水槽と魚水槽に大別されているのは、そういうことなんです。サンゴを一番に考えて水槽を調整するのか、魚を一番にしていくのかで、やることが異なるのです。でも、初心者のうちはどっちもやりたいというか、魚から入るようになると思いますが、生体の導入数は限界があり、次第に飽きてきますので、絶対にサンゴを入れることになります。そして壁にぶつかることが多いです。サンゴは1つ1つの値段も高く、なるべく落としたくないと、ここで必死に勉強するか、挫折してやめるか。海水水槽は、必死に色々と知ろうとしない人には、絶対に合わない趣味だと思います。

 

海水水槽で必死に色々と頑張っていると、淡水水槽の水換えが、どれだけ簡単なことか気づきます。水草も淡水魚も、基本的にはタフなので、サンゴや海水魚ほど気を使わなくて良いことが多いからです。海水魚は白点病になるとコントロールが難しく、とくにサンゴを入れている場合、治療はバケツリレー程度しかありません。白点病は避けて通ることはできません。淡水の白点病と異なり、海水の白点病は、魚だけの水槽にしていない限り、バケツリレー程度の治療しかできません。キュプラミンは無脊椎動物には使えないからです。しかし白点病となった場合、生体を狭い水槽の中で捕獲し隔離するのは大変です。サンゴもライブロックも移動させることになるため、水槽内がひどい状態となるのです。

 

 

先日カクレクマノミが白点病となり、その後なんとか復調しましたが、本当に大変でした。立ち上げから3ヶ月程度経過しており、亜硝酸など検出していませんでしたが、本当の意味で水槽が立ち上がっていなかったということは、こういうことなのかと、痛いほど思い知らされました。殺菌灯の導入や白点病の治療についても調べあげ、できる限りの手を尽くしました。スキマーや外部フィルターの清掃、定期的な水換えなどは当たり前に行なっていました。それでも、普通にこういったことは起きるのです。

 

こういったことを経験していく中で、次第にどう調整をしたらいいのか、バクテリアがどのように定着していくのか、自分がどういったサンゴが好きで、どう配置したらいいのか、レイアウトはどうすると水流とサンゴの配置がうまくいくようになるのか、底砂はどの程度ひくのか、ナチュラルシステム寄りにするのか、強制濾過を組み込み水換えをどの程度の頻度で行うのか、添加はどうするのか、照明はどうするのか、こういったことが決まってくるのだと思います。これらのことをある程度のレベルまで理解するために、経験と知識を得るのに、私は3ヶ月はかかりました。

 

 

こんなことを書いておいてなんですが、Pの評価を行うため、レッドシーの試薬をやっと書いました。今日確認したところ、0.1ppm程度のようでした。思っていたよりは低かったです。立ち上げ当初から、リン酸吸着剤を入れていたのがよかったのかもしれません。

 

なんだか難しいことばかり書いて申し訳ないです。ただ、淡水水槽から海水水槽を始めてみようと思う方は、他にもいると思います。情報が色々と出てきて、よくわからないことも多いと思うし、身の回りに色々と聞ける人も、普通はいないと思います。その中で試行錯誤して得た知識は、やはりまとめておくべきだと思い、記事にしました。とりとめのない内容で、本当はもっと各項目毎にまとめていくべきだと思うのですが、本日は思うことを思うがままに書いてみました。