こんにちは。今回の「はてな?」はこちら。


Q:妊娠中&産後に尿漏れをするのはなぜ?おならが我慢できないのはなぜ?


私も一人目を出産後、「笑った時に軽~く尿が漏れる」という経験をしました。そして、まだ若いのに…と相当ショックを受けました。妊産婦さんの体に何が起きているのでしょう?



A:尿漏れもおならが我慢できないのも理由は同じ、「骨盤底筋群がゆるむから」です。


まず「骨盤底筋群って何?」というところからお話します。わかりやすい図を載せているサイトを見つけました。

http://www.furukawamiho.com/kotsuban/kotsubanindex.htm


この図の中の膣括約筋、外肛門括約筋、肛門挙筋など骨盤の底にある8の字状の筋肉の総称を「骨盤底筋群」と言います。


※右側の図を見ていただくと、8の字状になっているのがわかりやすいと思います。


骨盤底筋群は文字通り「骨盤の底」にあり、膀胱や子宮、直腸などが下がらないようにハンモックのように下から支え上げる役目を果たしています。


この筋肉群がゆるむため、尿道口をコントールしきれない→尿漏れ、肛門をコントロールしきれない→おならががまんできない、ということになります。


ちなみにこの骨盤底筋群は体を下から支え上げているので、ゆるんだまま放置しておくと、腰痛、肩凝り、膝の痛み、O脚、X脚…などの原因にもなりかねません。私も一人目の時に体験しましたが、「出産後、何となく体型がだらしなく下がって見える」のは、この骨盤底筋群がゆるむことも一因です。


骨盤底筋群の場所と重要性を理解したところで、先へ行きます。


Q:妊娠中&産後に骨盤底筋群がゆるむのはなぜ?


A:骨盤底筋群がゆるむ原因をいくつかご紹介します。


  1. 赤ちゃんと羊水の重さが骨盤底筋群にかかるから。

    ハンモックの上に常に重たい荷物が乗っている状態が、約半年ほど続きます。ハンモックが弱らないほうが不思議なのです。

  2. 出産に備えて、妊娠中からリラキシンという筋肉や靭帯をゆるめる働きをするホルモンが出ているため。

    ちなみにこのホルモンは骨盤周辺の筋肉や靭帯だけでなく、全身の筋肉や靭帯などをゆるめます。妊産婦さんの腰痛や坐骨神経痛などの原因の一つにもなっています。

  3. 出産時に過度の負荷がかかるため。

    赤ちゃんの頭が産道や膣口を通り抜けるときに、当然のごとく負荷がかかります。

  4. 妊娠中は運動不足になりがちなため。

    経過が順調な妊婦さんであれば、安定期に入れば運動をすることは可能ですが、妊娠初期はどんなに健康な方でも運動はNGです。だから妊娠すれば全員もれなく「運動不足」になります。また、産後1ヵ月は休息が必要なので、当然ここでも「運動不足」になります。

ということで、妊娠する、出産する=骨盤底筋がゆるむということを意味します。これは残念ながら、「骨盤底筋群がゆるんでくれなければ出産できない」ので仕方がないのです。


帝王切開であれば、ゆるみにくいのでは?という声もよく聞きますが、妊娠しているというだけですでに骨盤底筋群はゆるむのと、帝王切開でも胎盤は膣口から出すこと、産後の回復に自然分娩の方より時間がかかること、などを考え合わせれば、差は少ないのではないかと思います。


こうなってくると、当然次の質問はこうなります。


Q:ではどうしたらいいの?


A:適切な時期に適切なトレーニングをすれば、骨盤底筋群を鍛えることができます。キーゲルという方が考案した「キーゲル体操」がお勧めです。

  1. まず、できるだけ予防を

    何度も言いますが、妊娠初期は運動ができません。そして、安定期以降も常に運動ができる状態にあるとは限りません。

    もし妊娠前にこのブログを読んだというラッキーな女性がいたら、ぜひ今からでもトレーニングをスタートすることをお勧めします。2人以上産みたい、という方も、妊娠していない間にトレーニングをしておくと、妊娠中の腰痛予防、安産、産後の回復などに良い影響を与えます。

    骨盤底筋群を鍛えておけば、妊娠&出産によるゆるみは最小限に抑えることができ、また、産後の回復もスムーズに進む可能性が高くなります。

    特に「会陰切開をしたくない!」という方は、妊娠前からのトレーニングが必要不可欠です。

  2. 妊産婦さんが運動できる時期
    • 妊娠初期:トレーニングはNGです!
    • 安定期以降~出産直前まで:経過が順調で、気分的に問題がなければ運動OKです。
      ※経過がどんなに順調でも、「やりたくない」と思った時に無理にやることはお勧めできません。
      ※運動中にお腹が張ったり、不快感がある場合は、すぐに運動をやめ、お休みをしましょう。
    • 産後:産後一か月はできるだけ休息を取りましょう。その後、経過が順調であれば6週目以降から運動を始めても大丈夫です。

    ★ちなみに私もほぼ毎日のようにトレーニングを続けています。 骨盤底筋群は加齢によっても緩みます。いつまでも自分の脚で歩きたい、と願っている方は、ぜひ今から行動を起こしましょう。


  3. 運動のやり方

    脚を腰幅程度に開いて椅子に座ります。※足の裏が床にしっかりつくように、また、脚を平行にする(ガニ股、内股にならない)ように気をつけます。

    全身の緊張をゆるめます。※特に肩やあごの力を抜きましょう。

    おしっこを我慢するようなつもり(またはタンポンを中に押し込むような感覚)で、骨盤底筋群だけを締めたり、ゆるめたりを繰り返します。


    ※骨盤底筋群は締めるだけではなく、ゆるめるという感覚がとても大切です。質の良い筋肉とは筋肉を締めたり、ゆるめたりが自在にできるしなやかさを持った筋肉のことを指します。骨盤底筋群をゆるめるという意識が、分娩時に赤ちゃんを押し出す手助けにもつながることでしょう。

    ※初めのうちは、骨盤底筋群だけを締めようとしても、全身が緊張してしまうかもしれません。お休みを入れながら、無理のないように、少しずつ練習しましょう。筋肉を締める動きは比較的簡単なのですが、この必要のない部分をゆるめて、必要なところだけを締めるという技術は、習得までに時間がかかることも多いので、可能な方は妊娠前からトレーニングすることをお勧めします。…しつこいですね(笑

    ※妊娠中に行う場合は、くれぐれも「違和感があったらすぐやめる」ということを忘れないようにしましょう。

    ※仰向け、横向き、四つん這い、立ったまま…など、好きな体勢でも大丈夫です。

  4. 運動の回数、頻度

    当然ですが、運動の効果は運動量によって大きく変わります。骨盤底筋群は地味で小さな筋肉なので、地味にコツコツ鍛える必要があります。

    実際にやってみるとわかりますが、初めのうちは思った以上に疲れやすいと思います。1回の練習は5~10回程度で構わないので、1日に10回程度を目標に練習しましょう。

    私は生徒さんに「パブロフの犬」のような条件反射の状態を作ることをお勧めしています。例えば「トイレで排尿を済ませた後、携帯でメールを打った後、信号待ちをするとき…など、「この動作をするときにキーゲル体操をする」とあらかじめ決めておき、条件反射的にトレーニングができるようになるまで習慣づけを行うのです。

    また、産後は「授乳後にやる」と決めておくことをお勧めします。

    「つい、くせでやっちゃった!」となるところまで練習しましょう。

骨盤底筋群は小さいながらも「縁の下の力持ち」なのです。このブログを読んだが最後、今日からキーゲル体操を始めましょう♪


ものすごーく当たり前のことですが、美&健康は一日にして成らず。産後に体型を戻したいのであれば、妊娠前からの準備が必要なのは当然のことです。

私も2人出産するまで知らなかったので、今、声を大にしてたくさんの方にお伝えしています(笑


なるべくたくさんの女性にこの情報が届きますように♪